見出し画像

ローカルメディアって、縫い物みたいだ。

プラスチックごみと教育、政治をつなぐ、「まわしよみ新聞」で縫い合わせる

昨日(2/18)の神奈川新聞に、「給食牛乳のプラストロー 横浜市立小で4月廃止 児童の要望受け紙パックなど仕様変更」という記事が載りました。前日の横浜市議会で、地元・青葉区の藤崎浩太郎議員が「令和5年4月からストローを使わないで済む紙パックとバイオマスプラスチックストローを全市で導入し、3.6tのプラスチック削減が実現することが答弁されました」と報告し、子どもたちの活動が、政治を、教育を、動かしたことが発表されました。

おそらく藤崎議員が2/17に教育長との答弁をしている間、私は地元青葉区で「3R夢な暮らし講演会」の運営をしていました。冒険写真家で、NPO法人海の森・山の森事務局の豊田直之さんの、約20年に及ぶ海洋プラスチックごみ削減のための活動を、美しい写真と共に紹介いただきました。

豊田さんと私のツーショット。密かにうれしいですw


豊田さんは長年横浜市の小学生向けに、環境出前授業を行っています。ESD教育でも有名な横浜市日枝小学校でも子供たちが2018年から、給食の牛乳でプラスチックのストローを使わない活動に取り組んでおり、横浜市に本社をおく乳業メーカーが子どもたちの脱プラ活動を視察にきて、プラスチックストローを使わない牛乳パックの開発を検討している、エコプロダクツでも2年ほど前からプラストローを使わないパッケージの試作品を提案している、という話を講演でされていました。


新聞各社の1面の見出しを見るのって単純に楽しいです

2/18に私は、アートフォーラムあざみ野で「まわしよみ新聞」のワークショップを行いました。自宅から朝日新聞と朝日中高生新聞、読売中高生新聞を持参し、コンビニで読売新聞、毎日新聞、日経新聞、産経新聞、東京新聞を買い求め、コンビニに売っていなかった神奈川新聞をスタッフの真菜ちゃんに買ってきてもらいました。絶対に神奈川新聞は外せない、と思っていたからです。

https://morinooto.jp/infomation/mawashiyomi23/

最初にミニレクチャーをしました

まわしよみ新聞ワークショップの楽しみ方はいろいろありますが、同じ日の新聞が何をどう伝えているのかを見比べるのもよし、個々の記事から自分の関心を深めるのもよし、自分の「推し」を見つけて楽しむのもよし。自分の気になった記事を3つ切り抜いて、それを同じグループのメンバーに「何が気になったのか」「おもしろかったのか」を説明して、他者の意見や着眼点を知って、みんなで切り抜きをスクラップして一つの新聞を作る、というものです。

彼女が見つけてくれた神奈川新聞の記事

参加者の一人が「森ノオトで紹介していたwelc0meの活動が神奈川新聞に出ていた。学校給食で来年からストローを使わないことになった」と記事を切り抜き、発表をしました。参加した小学生たちはくちぐちに「すごい」「小学生でも変えられるんだ」と驚いていました。
小見出しにあった「こんなに早く実現 びっくり」は、物事を動かす時に「議会を通じた政策提言」というスピード感の速さと、一方で豊田さんはじめ市内のさまざまな環境NPOが地道に活動を積み重ねてきたことが、まるで川の水脈のようにつながっていることで実現できた、両方の側面があると思います。


「じっくり新聞を読み比べる時間ってあまりないから、楽しかった」との皆さん

こうした地元の活動を取り上げてつなげるのは、やはり神奈川新聞、タウンニュースのようなローカルな新聞が強い、と改めて思いました。森ノオトはちょっとそれとは異なるスタンスで、どちらかというと活動している人(取材を受ける人)に近い目線の、等身大の仲間的な存在です。ただ、NPOという「活動主体」でもあるため、講演会やワークショップの「現場」でダイナミックに各地の活動のつながりを実感できる役得があると思いました。

みんなの記事の共通点を見つけて見出しをつける

welc0meの活動と豊田さんの大岡川での活動は異なるものだけど、それぞれの現場で積み上げてきた実績や提言が、「横浜市の学校給食からプラスチックストローをなくす」という一つの目標で結実したことを、この2日間でリアルな感動を伴って実感できました。2018年の活動や記事が、2023年に縫い物のように一つの新聞にできる、そんな「場としてのメディア機能」を感じる2日間になりました。
実は森ノオトの「あおばを食べる収穫祭」でも、welc0meの皆さんには活躍してもらっていたのです。これも、積み重ねの一つだと思います。

「まわしよみ新聞ワークショップ」では、普段知っている子たちが「こんな視点を持っているのか」「こんなことが好きなのか」という光を見て、また「みんなで一つの新聞をつくる」というプロセスでは、他者の視点や好みを一つの軸でつなぐ(見出しをつける)といった、共同作業が生み出すポテンシャルを実感しました。

「僕の好きなサッカーについて深く知ることができた」「KODOMO新聞(小学生向け)と中高生新聞では、同じ内容を扱っても、年表のあるなしの違いがあって、深さが違う」……この子の比較力、すごい

メディアって、おもしろいな。さまざまなものを媒介して、双方向(多方面)につなぐことができる。ローカルメディアだからこそ、媒介する力、medium=間をつなぐ力が「あの人」「あの子」というリアリティをもって伝わります。さらに、存在し続けることによって蓄積した時間軸で、早渕川と大岡川の活動がつながっていく。すご〜い、ダイナミック。
この感動をどう届ければいいんだろう、と、拙い文章で一人熱く書き殴っている日曜の朝です。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?