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ボランティアは老後の楽しみ?

体当たりNPO運営記(31) 2018年4月記
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「私、ボランティアは老後でいいかなと思って」
そう言って、NPOから抜けたメンバーがいました。
この言葉を思い出すたびに、今を生きる主婦が抱えるいろいろなモヤモヤを感じて、わたし自身、もっと悶々としてしまいます。

まず、今の子育て世代の余裕のなさ。
小学校のPTA、子どもの習い事の送迎、習い事でも保護者会のようなものがあり、弟妹がいればその幼稚園保育園でも役割があります。それから自治会の子供会。子どもが外で遊ぶのも放置はしておけず公園でなんとなく見守りつつ近所のママ友と延々と立ち話。どっぷり遊びや送迎に付き合った後の夕食に後片付けに寝かしつけ。子どもの用事をこなしているだけで、あっという間に自分の時間は目減りしてしまいます。

今の子育て世代にとっては、すでにあふれそうなコップをこぼさないように、そろりそろりと運んでいるようなものです。残り少ない「自分の時間」にNPO活動を入れたらあふれてしまう。子どものための時間を減らすか、自分のコップを大きくするか、どちらかしかありません。コップをあふれさせたくないし、大きなコップに乗り換えるのは面倒だし勇気が必要だから、あえてそれをしない。NPO活動は子育て中の人生の中から排除される傾向にあります。

ちなみにわたしはNPO活動とは、コップを大きくするためのものだと思っています。
世の中はどんどん変化している。子育て中は、実は社会や制度とつながりその矛盾がよく見えてくる時期です。例えば横浜市なら、待機児童ゼロと言いながら実はその裏に隠れ待機児童が千を超える単位で存在していたり、女性活躍の名の下に家事も育児も仕事の負担も軽減できない忙しさ息苦しさを感じている女性が多かったり、産後うつや孤独な育児に悩む女性や、子どもの貧困の問題も目立ってきています。
時代時代によって生まれる社会課題に対して、それは時代のせいなのか、社会のせいなのか、生きにくさをただ受け入れやり過ごし不平不満を流すのか、選択肢はそれしかないのか。自分がまず知り考え行動すれば、少しずつ道は拓け改善し、自分の子どもの時代にはかなわなくとももう少し先によくなる可能性はあっても、それが自分や子どもに直結しなければ動きたくない、そんな消極的やり過ごしが多いように感じています。

先輩女性が「女性が社会制度、政治を身近に感じるのは、子育て中だと思う」とおっしゃって、まさにその通りで、わたし自身はだいぶ政治的に動いている方だと思うのだけれども、30代の投票率の低さからも、多くは政治に関心すら持たない、政治と暮らしが関わっていることにも意識が向いていないことの表れなのではないかと思います。そのこと自体が実は環境問題よりも危機的な状況ではないかと思い、子育て中の女性たちに社会的な制度や課題に関心を持ってもらいたいという気持ちが前のめって、今メディアを運営しているわけなのです。

だから、入り口は幅広く、でも入ってみたら、自分と社会がつながる様々な仕掛けが用意してあって、気づいたらちゃんと社会と接点をもって「ソーシャルアクションしていた」みたいな、結果的に社会活動、エコ活動となるような、NPO活動をデザインしていきたい。表からみるとなんだかよくわからないNPOですが、裏は結構真面目なんです。笑。


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