日向灘に広がる冷や汁の世界

冷や汁

 宮崎県の平野部を中心とする郷土料理。アジ、イワシなどの魚、ゴマ、味噌などをすり合わせたものを炙って、だし汁でのばして冷やしてご飯にかけた料理。夏の食欲が出ないときでもサラッと食べられるのが魅力です。

歴史

 原型は鎌倉時代に全国各地で存在。暑い夏、農民たちが麦飯に生味噌をのせ、それに水をかけて食べていたことが始まりといわれています。山地の多い宮崎県の農民たちにとって、江戸時代には、米はきわめて貴重。そのため、麦飯を使用。時間や食欲のない時でも充分な栄養補給や体力回復のためのファストフード。かつては、宴席の締めの役割も多かった冷や汁。しかし、今では宮崎の夏の風物詩に。

伝統的な調理法

 タイ、アジなどの魚を焼き、身をほぐし、骨を丁寧にとります。すり鉢に白ゴマ、ほぐした魚の身、味噌を入れてすり合わせます。それを、すり鉢の内側にぬりつけて、炭火の上にさかさまに伏せ、味噌の表面に焦げ目がつくくらい炙ります。焼いた味噌をだし汁でといて、味噌汁より濃いめの汁に調整し、冷やし、きゅうりをのせ熱い麦飯に冷汁をかけて食べます。タイ、アジがない場合は煮干しで代用します。

さつま

愛媛県南部、八幡浜市。この地域で食べられているのが、さつま。

歴史

 漁師がパサパサの麦飯をおいしく食べるための工夫から生まれた料理。 
名前の由来は諸説あり。有力な説は3つ。

  1. 鹿児島県から伝わった説。

  2. だし汁がよくなじむように茶碗によそったご飯を十字に切った見た目が薩摩藩の島津家に見えた説。

  3. 妻を補佐する意味の佐妻からきている説。

伝統的な調理法

 タイなどの焼き魚をほぐしてすり鉢で麦みそと混ぜてだし汁で溶きます。短冊切のこんにゃく、薬味をごはんにのせてたれにかけます。
 麦みその素朴な味と薬味(ネギ、ミカンの皮)が調和してさっぱりとした味わい。栄養価の高い麦飯にかけて食べるのが定番。

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