「アイデンティティを作り上げたものづくり」 - 保護者インタビュー #06
テックプログレスに通学する親御様に、通学のきっかけや通学で生まれた変化や成長、ご家庭での子育て方針などを聞くインタビュー企画。
第6弾は、ロボットコース受講生への初インタビューとして、「三好たいせい君(中学1年)」のお母さまにお話を伺いました。
「ロボットが成長の柱になっている」ともいう3年間の変化は、「子どもの好きを育み、伸ばしたい!」と考える親御さまにとって、多くのヒントが隠れていました。
-やりたいことはあっても、それを実現する方法やスキルを持ってなかった-
本日はよろしくお願いします。
通学して、もう3年が経つんですね!
最初のきっかけなど覚えていらっしゃいますか?
イベントのチラシを見かけたのが最初だったと思いますが、そのときに「これだ!」と思いました。
それまでもいろんな習い事をさせたのですが、外で遊ぶより家でコツコツ工作とかが好きな子だったので興味を持つものがなかったんです。
水泳、空手、ピアノなどやらせてみましたが、どれも興味がないようで続きませんでした。
外で遊ぶ事より、ものづくりして遊ぶほうが好きそうだったから、ロボット動かすのは合うな、と思ったわけですね。
そうですね。
ロボットコースはカリキュラム上、まず課題(ミッション)が与えられ、それを解決していく「課題解決型」の力がつきやすいと言われています。
一方で、自ら目標を設定して取り組む子が出づらいという側面も抱えています。
そうしたなかで、たいせいは自分で作りたいロボットを設定して、それに向けて製作を進める珍しいタイプだと言えます。
お母さんから見て、この3年のなかで感じられる変化などありますでしょうか?
もともと、ものづくりが好きな子だったので、「こういうのが作りたい」というのは根底にはあるんだけど、それを実現する方法やスキルを持ってなかったんですね。
最初は「歯車ってすごい」というところから始まって、ビジュアル言語からテキスト言語に変わって、多くの挑戦していくなかで、プログラミングにはいろんな可能性があって、様々なパーツを組み合わせることでいろんな動きが作れることに気づいてきたんです。
それが重なってくると、「次にこんなこともできるかな?」と考え始める。
課題をひとつずつクリアしていくことで知識やスキルが向上し、そのなかで「これができるなら、こんなこともできるんじゃないか?」と、自発的に取り組む内容を考えられるようになったんですね。
-自分がわからないからこそ、可能性の種をつぶさないように-
そうだと思います。
今、取り組んでいることを説明してくれるんですけど、理解できないので正直段階が上がっているのかわかりません。笑
ただ、「こういうパーツを買って!」と言われたときに買ってあげている感じです。笑
普通だったら、子どもが何やっているかもわからない状態だと買うのをためらってしまいそうです…
私がロボットについてよくわかっていたら、買う買わないの判断ができると思うんです。
ですが、私ではそのパーツが必要なのか、必要でないのか、そこの判断すらできない。
だから彼が「やってみたくて必要なんだ」と言うならば、使ってみなさいと買うようにしています。
ものすごく高価なら、さすがに考えるんですけどね。笑
「それが可能性の種になるんだったらそれは惜しくないよ」と本人には言っています。
自分がわからないからこそ、彼を信じて、可能性の種を潰さないようにしているんですね。
例えば、それが「ゲームを買ってくれ」と言った場合にはどうなるんですか?
買わないです。笑
それは本人も買ってもらえないとわかっていて、欲しかったら自分でお金貯めて買うと思います。
これを将来に活かしたいという思いが本人の中にあるのがわかるので、親が道筋もわかってないのに遮断するのはいけないので。
保護者様が子どもたちに与えるちょっとした環境や機会の差は、のちのちにものすごく大きな違いを生むと思います。
他にはなにかありますか?
できることが増えて、自信につながっていると思います。
中学校でもロボットを作る部活に入っているのですが、ここで学んだことが部活でも活かされて、それによって友だちから認められて、一目置かれる。
ロボットによって自分のアイデンティティを作り上げて、それが彼の芯になりつつあると思います。
好きなことが強みに変わり、その強みが自信に変わったわけですね。
※自作しているロボットパーツの一部
-トラブルでどうしようもないことに対する耐性がついた-
たいせいの強みといえば、動じない落ち着きや他者への優しさがあるように思います。
昨年の発表会では、年齢が低い子がパートナーでしたが、置いてけぼりにすることなく、パートナーのやりたいことに耳を傾けて、譲ってあげる様子がとても印象的でした。
こうした性格は昔からそうなのでしょうか?
昔からの性格ですね。
妹がバレエを習っている関係で、彼にも運動をさせようと昔バレエを習わせていたんです。
やはりあの世界は男子が少数のため、お兄さんたちは年下の男の子を可愛がるんです。
そうした影響を受けて、自分も下の子には優しくする・教えてあげる、という姿勢が身についたんだと思います。
なるほど。
そうした経験が彼の優しさを作っているんですね。
なので、「小さい子ができないのは当たり前」というのは自ずと理解しているんだと思います。
ただ、あのときは悔しかったみたいです。(上記ロボコンの結果は惜しくも2位!)
いい経験ですけどね。
結果はもちろん悔しいでしょうが、あの場面での献身的な姿勢はたいせいらしく、ものすごく評価に値するものでした。
※昨年のロボコンにて
中学校のロボコンでも、同じ学年で1グループ作るみたいなんですけど、自分以外は未経験者というなかで、自分ひとりで進めるのでなく、チームで進めるところは苦労しているようです。
仕事は決して1人でできるわけではなく、協力しながら進めることが大切になるので、たいせいの持つ優しさは社会に出てからも必ず活きると思います。
母:
こういうもの(ロボコン)ってトラブルが付き物じゃないですか。
そうした場面に対する耐性やどうしようもないことを飲み込む力も身につきました。
中学1年生のときのロボコンがまさにそうで、たいせいの班のロボットが本番で動かなくなり、替えのモーターもなかったため、どうしようもなくて負けてしまいました。
本人からは「トラブルでね」としか聞きませんでしたが、どうやら後で学校の先生から聞いた話では、学校ではモーターを毎年使いまわしていたらしく、古くて壊れてしまったとのことでした。
それまで長い期間をかけて準備してきたのに本番にそういうことが起きるのも、本当はすごく悔しいと思うんですけど、自分は班のなかではリーダーで、そうした事態も含めて対応できなかったことを自分で飲み込めた、というのはいい経験をしたなと思います。
悔しい経験から学びを得て、次につなげているのは素晴らしいです!
それがあったからこそ、先ほどの発表会のように「こういうこともあるんだ。じゃあ次はどうするか?」と考えられるようになりました。
そうした姿勢は、大人になってくるといい意味で諦めがつくようになるといいますか、自然と身についてくる部分でもあるかと思いますが、中学生の時点で「トラブルも付き物だ」と割り切って飲み込める子は珍しいですね。
本人も焦ったし、かき乱されたと思うんですけど、チームメンバーがいるからその子たちのためにも自分が混乱できなかった、と。
そういう経験を通して、少しずつ大人になってきたかなと思います。
ロボットを通して、いろいろ学び取っていますね。
ロボットが彼の成長の柱になっています。
-ものづくりは、彼にとって自分を表現するひとつの手段-
将来的にも、ロボットやものづくりの道に進みたい、という思いはあるんでしょうか?
そうですね。
自分はロボット関係や、なにかを作るのが好きだ、と。
だからそうした道に進みたいという希望は持っているようです。
たいせいは今、中学2年生ですし、そろそろ進路も具体的に考える時期ですね。
ここが大変なところなんですよ。笑
やはり将来、希望する関係の仕事に就くためには、理系大学に進む必要もあって、こうして普段ものづくりに打ち込んでいるだけではいけないですからね。
得意・苦手教科の偏りも大きくて…
得意な教科と苦手な教科はそれぞれ何ですか?
数学が得意で、国語と英語が大変なことになっています。笑
本人も自覚してると思うのですが、語彙力が乏しいんです。
これは小さい頃からそうで、だからこそ手でモノを作るという遊びにシフトしていったんだと思います。幼稚園の先生にも「こういうことしたんだよ」と話すことは少なくて、完成したものを「ほら!」と見せるのが好きでした。
だからこそ、彼にとってものづくりは、自分を表現する手段でもあるんですね。
言葉ではなく、モノを通じて、自分を表現していると。
お母さんもそうした道に進むことを応援されているんでしょうか?
自分の好きを活かしていけることが一番幸せだと思うので、活かすための進路に進んでもらえればいいかなと思っています。
自分が思うところには行き着けないかもしれないけど、それでもそういう方向に向かっていることは大事だと思うので。
ロボットなり、なにかのものづくりに携わっている道ですね、高専もいいのかなと。
高専については通学生からたまに相談を受けますが、15歳という早い段階で人生の大きな方向性を「決めることができる」という考え方もあれば、「もう決めてしまうのか」という心配もあるようです。
このあたりお母さんはどのように捉えていらっしゃいますか?
私は、特にしたいことが決まってないまま行ける大学に行って、卒業する頃に「さあ何やろう?」だったのですが、たいせいの場合は自分の好きがハッキリしているので、そこに行けるのが一番幸せなのかなと。
なにやってもしんどさはありますからね。そこに「好き」があるかどうかだと思います。
そういう意味では、中学校でロボコンに出場する機会に恵まれ、高専や大学ではどのようなことをするのかイメージが湧いているのも後押しになりますね!
そうだと思います。
-テックプログレスへの要望と今後の課題-
それでは最後になりますが、テックプログレスへの不満や改善要望はありますか?
不満はないですね。
今後、「自分でこんなものを作っていきたい!」となったときに、突破口が見えず壁にぶつかることがあると思うんですけど、そうしたとき、親ではサポートできないこともあるのでアドバイスを頂けたらなと思います。
ありがとうございます!
最近のたいせいは、わからないことがあっても自分で考えて、調べて解決しながら進めているので、僕らが必要ないほどに主体性が身についていると思うのですが、できる限りのサポートをしていきます!
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