見出し画像

パンダの絵

前職を退くより更に前の、昔の話。

まだワタクシが絵を【描けていた】頃…それも恐らくは40年近くイラストを描き続けた年月の、最晩年辺りの頃だった。(ワタクシが一時期、絵を描けなくなった件については下記の記事を参照の事)

それまでPCを用いデジタルでイラストを描いていたワタクシが、急にアナログに回帰する事になった。
PCが故障したのである。
当事ワタクシは睡眠障害が深刻で昼夜の逆転が酷く、医師からは「睡眠リズムに影響する」との理由でPCの買い替えは控えるよう言われた。そこで久々にアナログに回帰した次第である。アナログイラスト回帰黎明期当時、使用した画材は100円ショップのスケッチブックと水彩色鉛筆、それと水彩絵の具だった。後に水彩絵の具が水彩色鉛筆に代わった。
題材は鳥の絵が主だったが、トラやパンダの絵も描いたりした。
(この時描いたアナログの動物画は、正確にはカウントしていないが150点は下らないと思う。勿論現在もちゃんと保管してある)

この作品群に関しては、医師の勧めでプロの画家に見て貰う機会があった。その際、画家が
「動物の絵を好んで描くようだが、モデルはどうしているのかね」
と聞いて来たので、以前は動物園でスケッチしたものを手本に描いて居たが睡眠障害によりそれが不可能になった為、手持ちの図鑑や写真資料を幾つも並べて比較検討したり、YouTubeの動画を観てイメージを固めて描く旨を伝えた。
すると画家は白けたような顔つきになり、

「本物を見ないで描いた絵は【ホンモノ】じゃない」

無表情にそう一蹴した上で、更に

「資料無しで描けないのなら動物画なんて描いてはいかん。明日からは動物画を描くのを辞めて、手近なものを何でも良い、良く観察して模写する事から始めなさい。話はそれからだ」

と宣った。どうもワタクシが、特定の資料(ないし特定の画像)を丸ごと複写して描いていると考えたらしい。

後々になって、かの画家に引き合わせてくれた人物が「あれはあなたの絵を否定した訳じゃ無くて、ちょっとした解釈の違いからの言葉だから、気を悪くしないで欲しい」と言い訳するのが更にしんどかった。正直な話、傷口に塩を塗られるような気持ちになったものだ。
この邂逅以来、前述の画家にはもう長い事会っていない。恐らく今後も会う事は無いのだろう。

話が逸れた。

さて、絵の具画でパンダを描くに当たっては、子供の頃に少しばかり嫌な思い出がある。

小学校に通っていた頃の話。
図画工作の時間に「好きな動物の親子を描きなさい」と言う課題が出された。
当時からパンダが好きだったワタクシは、迷う事無く題材にパンダを選んだ。

やがて完成したパンダの絵を見て、担任の教師が一言。

「ダメだダメだ。画用紙の白い部分が残ってるじゃないか」。

とんでもない言い掛かりであった。何故なら、担任教師が言う「白い部分」には限りなく白に近いクリーム色で彩色してあったからである。
それなら…と今度は少し濃いめのクリーム色で彩色して再提出したが、教師の評価は曲がらなかった。
そうして担任教師に言われて何度も着色し直して居る内に、描かれたパンダは黄土色と黒と言う、パンダにあるまじき色に成り果ててしまった。
その内担任教師は嫌がらせ(?)に飽きたのか、茶褐色のパンダもどきを見て、
「まぁこれで良かろう」と折れた。

そして後日。
廊下に張り出された作品群の中には、白いウサギの絵や、白い馬の絵があった。ワタクシが描いた、黄土色と黒のパンダもどきは、勿論級友の嘲笑の的にされた。

今となっては全てが遠い思い出である。

折角なので、記事の終わりに過去に描いたパンダの絵を一点、お目にかけて締めとしたい。因みに2019年頃の作品である。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?