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宿痾

所謂【自律神経失調症】を発症してぼちぼち10年以上になる。近年、この自律神経失調症が急激に悪化。それと時同じくして手足の末梢神経が損傷し、諸々の不便を託つようになった。もう3年位経つだろうか。
最も、兆しらしきものは社会復帰の前からあったような気がする。

あれは社会復帰を果たして初めての冬だったか、若しくはその一年前の冬の事だったかと記憶している。
珍しくその年の冬コミに一般参加を思いついた。
Twitterで当時切り盛りしていたアカウントで告知したら、幾人かのフォロアさんから是非自ブースに立ち寄ってくれとお声掛けを頂いた。

そして、いよいよ翌日は冬コミ第一日目と言う日の夜。
突然足腰が立たなくなった。
年末の事とて病院にも行けず、ワタクシは泣く泣く冬コミ参加を諦めた。

そしてその日を境に、ワタクシの手足はしばしば弛緩するようになった。
原因が判らず、医師に相談しても帰ってくるのは「気の所為」と言ういい加減な返答ばかり。
思い余って大枚を叩き、大病院で脳の検査を行ったが、特に異常は無いとの話だった。
然し手足の弛緩、それにより足腰が立たなくなる症状は依然として続いた。
日常生活にも随分と影響が出た。
一番つらかったのはそれまで平チャラで出来ていた長時間のウォーキングが全く出来なくなった事と、10分以上ペンが握れなくなり結果として趣味の一つであった絵が描けなくなった事(最も筆を折った理由はそれだけではなくメンタル的な理由もあるのだが)である。

何度も薬を変えられて、その度に薬が合わず体調を崩していたある日、ワタクシはこれまた長らくの持病である変形性頚椎症の検査の為に、かかりつけの整形外科で久々にレントゲン検査を受けた。
その結果、以前変形していた第六頚椎と第七頚椎は変化が見られなかった一方、第一頚椎に著しい変形が認められ、その頚椎の歪みが手足とリンクする神経を強く圧迫している事が判明した。
変形性頚椎症は基本的になってしまえば完治に繋がる治療法は無いと言っても過言ではない(外科手術で骨を削ると言う荒療治は存在するが、手術が失敗した際に半身不随になるリスクを伴う)。出来る事は日々のリハビリ位のものである。それでも何もしないよりは…と、ワタクシはそれ以来月に一度のリハビリと、週に最低一度の長湯を継続するようになった。以来、少なくとも足腰が立たなくなる程手足が弛緩する事は無くなった。
…まだ完治には程遠いが。また現段階では、手足の弛緩の全てが変形性頚椎症による訳でも無いらしい…つまり、謎はまだ残されたままだ。

上記は所謂【内部障害】なので、傍目には全く障害があるようには見えない。その為かたまに外部から「お前の抱えている障害なんか他の人に比べたら大した事ではない」と評される事がある。
電車内でヘルプマークをカバンにつけているのを「何処にも障害なんかないのに何故つけてるんだ」と知らない人間に罵られた事もある。
仕事帰りに優先席に座っていたら「退けろ」と壮年男性に足を踏まれた事もある。

何より、未だに長い時間歩けない為に、コミケ始めイベントの類に全く参加出来なくなったのは惜しむべき損失と言わねばならない。

変形性頚椎症及びそれに由来する手足の弛緩は、これからも重い十字架となってワタクシの背中にのしかかり続ける事だろう。【宿痾】とはまさにこれだな、と今は傍観の境地にある。

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