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【詩】さよなら自由と放埒の日々

ビルの谷間の地平の向こう
白い朝陽が昇ってく
夜の帷(とばり)と月と星とを
追い払うように眩しく

年齢(よわい)を重ねて
嘘も覚えて
穢れた大人に変わってく
幼い時代の浄(きよ)い自分が
追憶の彼方遠ざかる


ごくありふれた人生よりも
全てを変えてみたかった
夢は破れて背中の翼
もがれて空から墜ちた

さよなら自由と放埒の日々よ
あの日の願い 色褪せる
「来世でもう一度逢えたらいいね」
キミは泣きながら微笑んだ


さよなら自由と放埒の日々よ
あの青春は戻らない
全てを忘れて今を生きる事が
唯残された道


ビルの谷間の夜明けの空を
朝陽が白く染めていく


※【放埒】(ほうらつ)と言う語には【酒色や女色にだらしがない様】と言う意味も含まれるようですが、この詩ではもうひとつの【勝手気ままに振る舞う様】の解釈で用いています。

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