見出し画像

油性マジックの【魔術】

折り紙を趣味にするようになってかなりの年月が経過しているが、特に此処数年、この趣味に関しては若い頃とは比べ物にならない位に【知恵】がついた。今日はその【知恵】のひとつを紹介したい。

折り紙を趣味にする方は、例えば文具屋や100円ショップで折り紙用紙を買い、使用する際にどの色が一番無くなるのが早いだろうか。
これは折る対象により様々では無いかと思う。
例えば花を折る人なら先ず葉に使う緑色と、花の色が真っ先に消えるだろう。くす玉やユニット折り紙を作る時にビビッドな色合いの紙を手に取る方も居よう。
それを見越してかどうかは知らないが、通常の折り紙用紙のアソートは赤、黄色、青、緑、ピンク…と言った色の用紙のラインナップが中心になっている気がする。

然しワタクシは普段、動物や幻想生物をメインに創作しているので、前述の色の使用頻度が極めて低い。真っ先に無くなるのは黒や白、灰色、茶色系統の色で、特に黒や白は単色100枚入りの品を買ってストックする位には使用頻度が高い。
結果、使われなかった赤、黄色、青…と言った紙が大量に余り、いつも持て余していた。

こうした紙の有効利用策として、近頃用いている手段が【折り紙用紙の裏側を油性マジックで染めて表側の色の風合いを変える】である。
大抵の市販の折り紙用紙の裏側は白くなっている。この白い面を油性マジックで染めてしまうとあら不思議、全く思いもよらない風合いになり用途の幅が広まるのだ。論より証拠、実例を此処に列挙しよう。


何て事ない普通の折り紙用紙(赤、黄色、青)

これの裏面を…

黒の油性マジックでがっつり染める

乾いてからひっくり返すと…

何と臙脂がかった茶色、苔色、濃紺に

こんな渋い色合いの折り紙用紙はまず市販の折り紙用紙セットでは入手困難である。

コツとしては、表側から見て塗りムラが無くなるまで何度か重ね塗りする事、その際一度に染めようとせず何度か間隔を開けて塗布する事。また、部屋の換気はしっかり行う事。
(紙の厚みも加味するのが望ましい。100円ショップの折り紙用紙は割と薄手である事が多くインクの染み込みが良いが、文具屋で販売されているような少しお高めの折り紙用紙だと厚みがあったりパルプの乗りが不均一だったり…で、インクが均一に染み込んでくれない事がままある)

今回は黒での事例を紹介したが、勿論黒以外の油性マジックでも同様に裏面を染める事で表面の色味を変える事が可能だ。元になる折り紙用紙とマジックペンの色の組み合わせは多種多様。但し紫や紺色と言った元々濃い目の色や、パステルカラーの紙にはあまり効果がない(極端な場合ただの黒い紙になる)のでオススメしない。

また、紙の色を変えずに裏側の白だけを別な色に染めて両面の色を作品に活かすと言う手もある。
その際はごく薄い紙(ワタクシは機械漉きの半紙を使っている)を元の折り紙用紙よりやや大きめにカットしてから油性マジックで染め、裏白を変えたい折り紙用紙にスプレーボンドで接着し、乾かしてから余分なところをカットしてやれば良い。

苺(笠原邦彦先生の考案による作品)
赤い紙の裏に黄緑に染めた半紙を貼った用紙で作成

これまで幾つかのメーカーの油性マジックで折り紙の【染め】を試した結果、マジックペンの界隈では老舗である【寺西化学工業株式会社】のマジックペンが一番相性が良い事が判った。インクの染み込みが良く、乾燥も早いのがありがたい。
寺西化学工業さんのマジックペンは太さも色も豊富だが、個人的には筆先が太いペンが気に入っている。一度に広範囲に塗れるのが理由だ。
色によっては詰め替え用のインクも販売されているので、若しこの一文を読んで実際にやってみたいと思われた方は、特に使用頻度が高いペンに関しては詰め替えインクも合わせて購入する事を推奨する。勿論、換気は忘れずに。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?