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テクパンの私的博物誌

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自然や様々な生物に関するお話
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2023年9月の記事一覧

メガラニアの記憶

メガラニアの記憶

随分昔の話になるが、アボリジニ(オーストラリアの先住民の総称)の神話伝承の本を読む機会に恵まれた事がある。
カモノハシの由来譚とか、コトドリが何故様々な動物や鳥の鳴き声を巧みに真似る事が出来るのかの理由とか…大変面白い話がたくさん収録されていた。

その収録された伝承の中に、ゴアンナ(オーストラリアでオオトカゲの仲間を指す語)に関する興味深い内容のものがあった。ざっと紹介しよう。

細部は違うかも

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侮るなかれマングース

侮るなかれマングース

マングース…と言う語を聞いて、皆様はどんなイメージを持たれるだろうか。

今は動物愛護の観点から廃れたが、嘗て沖縄では【ハブとマングースの一騎打ち】なんて言う血腥いショーが名物となっていた。ワタクシが子供の頃、マングースはどのような図鑑でも毒蛇の不倶戴天の敵と言う事になっていて、ハブ(ホンハブ)との格闘ショーもそうしたイメージからのアイディアなのだろうと思う。
然し事実は巷説とは大違いで、小さなヘ

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奇跡の復活

奇跡の復活

2010年の事だから今から13年前の事になる。

国際保護鳥のひとつでもあり、日本では【野生絶滅】にカテゴライズされていたトキ(朱鷺)の飼育個体が佐渡ヶ島に放鳥され、野外で営巣。生まれた雛が無事に成長し、独り立ちしたとの報が巷を騒がせた。

前年に東京都の多摩動物公園にトキが搬入され、非公開エリアで人工飼育により数が増えたのにも驚いたが、このニュースにはもっと驚いた。

中国の山奥に最後の野生トキ

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山の道化に御用心

山の道化に御用心

たまたまInstagramにて、海外の思弁進化クラスタの方の投稿を見ていたら、人間並みの知能を身に着けたオウムが支配する未来の地球を描いた作品に会った。それを見て思い出した事がある。以下、嘗てmixiにて記した文章に加筆を施してお届けする。

ミヤマオウムと言う鳥が居る。
オウム目フクロウオウム科に属するニュージーランドの固有種である。英名ケア(Kea)は特徴的な甲高い鳴き声に由来すると言う。【山

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