見出し画像

カーボンプライシング

経営者、カーボンニュートラル関連事業を立ち上げる担当者が一番気になるマネタイズ、収益化だと思います。将来の環境への貢献はもちろんのこと、経営もきちんと持続させていくためには必要不可欠ですよね。

今回紹介するのが「カーボンプライシング」で、CO2 に価格を付ける政策になります。

CO2排出量規制による排出枠を超過した場合の「ペナルティ」を罰金として徴収し、排出削減による「インセンティブ」を報奨金としてお支払いします。ペナルティもしくは、インセンティブを判断し、どのくらい支払う、もしくは獲得できるのかを評価する方法は多様にあり、各社は強みを活かしたマネタイズ方法を生み出すことができます。ここではマネタイズ方法やビジネスモデルのお話しませんが、ヒントとなる内容を共有したいと思います。みなさんの事業検討にぜひ役立てていただけると嬉しいです。

まずはカーボンプライシングの存在意義を考えてみましょう。それはやはりCO2排出規制に強制力をもたせるためです。法律やルールによる効果は限定的で、やはり個人や企業は「お金」に間接的もしくは直接的につながるとすぐに動きます。決していやらしいことではなく、資本主義社会では基本原理です。(間接的にお金につながることは例えば企業のブランディングなどをイメージしてもらえれば理解しやすいと思います。)この原理をうまく活用して排出者の行動を変容させる経済的手法が「カーボンプライシング」です。

具体的には、CO2 の排出量に比例した課税を行う「炭素税」や、排出量の上限規制を行う「キャップアンドトレード制度」、「カーボンクレジット」をはじめとした市場でのクレジット取引などさまざまな手法があります。

炭素税(Carbon Tax)

ネーミングから想像できるように、二酸化炭素(CO2)や他の温室効果ガス(GHG)の排出に対して課される税金が炭素税です。各国で導入が進んでおり、2021年の環境省資料を参照すると、日本は二酸化炭素排出量1tあたり289円となっており、その他主要先進国であるスウェーデンの1万4400円やフィンランドの9624円等と比較すると、非常に低い税率になってます。(2018-2020年の為替平均を使用して計算)

キャップアンドトレード(Cap and Trade)制度

この制度は、政府がGHG排出に対して上限(キャップ)を設定し、排出許可(証書)を企業や施設に対して配布することで運用されます。排出許可は通常、1証書が1トンのCO2排出に相当するとされ、キャップは年々厳しくなり、排出量の総量が削減されるように設定されます。しかし、すべての企業が排出許可の通り制限できるわけでもないため、必要に応じて他の企業から排出許可を購入することができます。これがトレードになります。また、このあとで説明するクレジットを購入することでも排出許可を超過した分を相殺することができます。

カーボンクレジット(Carbon Credit)

カーボンクレジットは、企業や組織がGHG排出を削減した分をクレジットとして取得できる仕組みです。具体的には、再生可能エネルギー発電、森林保全、廃棄物処理の改善などに取り組みによって削減できたGHG排出量をクレジットとして保有し、取引市場で自身のGHG排出を相殺するために、国や企業が買い手として購入します。キャップアンドトレード制度と非常に似ているが、自社の排出枠の空き分を排出過多の企業などにトレードするわけではなく、脱炭素のプロジェクトを実施して生成したクレジットを入札などの購入方法で買い手に売る制度になります。つまり、排出枠を割り当てられた分が取引できる最大であるという制限はないのです。また、会社単位でなくとも、誰もが主催できるプロジェクトからクレジットが生成されるという点において大きく異なると言えます。

これまで、カーボンプライシングについて説明してきましたが、みなさんまだ少しイメージつきにくいですよね。次回は日本と海外の具体的な取り組みにを紹介すること、イメージしやすいようにしますね。

個人的な考え

ちなみにここで説明した3つのカーボンプライシングについて、現状の日本において炭素税だけが法的義務として支払わなければなりません。そのため、私なら企業で新規事業を立ち上げるなら、残りの2つの制度はうまく活用してインセンティブを取得する事業にします!社内の既存取り組みでクレジットとなるものはないか、そして新たな事業でクレジットを大量生成するなど。。。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?