見出し画像

ChatGPTでビジネス戦略を考える:初心者向けガイド(Part 4)ビジネス戦略の具体化

はじめに

前回、Part 3ではビジネスにおけるデータ解析の意義と、ChatGPTを用いたデータ解析を行うための方法について、Part2より少し踏み込んだ説明を行いました。

今回のこのpart4では、通常版(無料のGPT3.5もしくは有料のGPT4での非API版)のChatGPTとのやり取りを使用したフローをご紹介します。

なお、この連載の目標の一つは、初心者の方に、ChatGPTを使ったアプリケーションを開発する(つまりシステム化する)ための大まかな考え方をお伝えすることにあります。

今回ご説明する流れはシステム化の際、要件定義や基本設計に流用できるものです。
それを念頭に於いて読んでいただければ幸いです。

ビジネス戦略の具体化フロー

まず、ChatGPTとの対話の具体例を記載します。各ステップや流れについての説明は後に記載していますので、ざっと流れを掴んでください。

ステップ1: 初期クエリ

ユーザー: 「5年以内に実現可能な健康食品のビジネスアイデアを出してください。」

ChatGPT: 「健康食品のビジネスとして、フェルメンテーション(発酵)を用いた新しいタイプのプロバイオティクス飲料の販売を考えてみてはいかがでしょうか。」

ステップ2: レビュー&リファインメント

ユーザー: 「そのプロバイオティクス飲料はどのような特徴を持つべきですか?」

ChatGPT: 「この飲料は、独自の発酵プロセスを経て、通常のプロバイオティクスよりも高い生存率と消化吸収を誇るべきです。」

ステップ3: さらなる深掘り

ユーザー: 「その飲料を市場に投入する際のマーケティング戦略は何ですか?」

ChatGPT: 「初めに、健康意識の高い若者やアスリートをターゲットとし、SNSとインフルエンサーを活用したバイラルマーケティングを行います。次に、実際の効果を証明するための臨床試験の結果を広報することで、信頼性を高めます。」

ステップ4: 最終ビジネス戦略

ユーザー: 「販売チャネルはどうするつもりですか?」

ChatGPT: 「オンライン販売を主軸とし、健康食品店やスポーツジムでも販売を行います。さらに、定期購入制度を導入してリピート購入を促します。」

この対話例の構成は以下のようになっています。

  1. ステップ1: 初期クエリ - まずはChatGPTにビジネス戦略のアイデアを問い合わせます。

  2. ステップ2: レビュー&リファインメント - 初期の出力を受け取った後、クエリや与えられた回答をレビューして精緻化します。このステップは、さらなる精緻化が必要な場合に自身に戻ることができます。

  3. ステップ3: さらなる深掘り - アイデアを精緻化した後、ビジネス戦略を具体的にするために更に深い質問をします。このステップも、「レビュー&リファインメント」ステップに戻ることで反復的な改善が可能です。

  4. ステップ4: 最終ビジネス戦略 - ChatGPTの入力と自分自身の洞察に基づいて戦略を確定します。確定した後、新しい戦略を探索するために初期クエリに戻ることができます。

対話例の流れ(ChatGPTを用いてビジネス戦略を練るためのフロー図)

ちなみに、上記フロー図は、ChatGPT plus(有料版)のpluginsモードで、whimsicalダイアグラムをステップ1~ステップ4の箇条書きを入力することで生成したものです。

フロー作成の留意点

試行錯誤

上で記した例は、簡略化のために1例に留めていますが、各ステップとも1回でベストな回答が出てくると思わない方が良いです。
問いかけ方を変えて、何度も試行して、出てきた結果から良い所をつまみ食いするつもりでいてください。
何度か繰り返したようにChatGPTは普通の人間より多くの知識を持っていますし、試行錯誤を繰り返したり、リテイクを要求しても人間ほど簡単に挫折はしません。
(後述「試行錯誤の具体例」の項目で具体的なやり取りの例を示します)

ただし、これは通常版の話です。
API版の場合は、リクエスト量(応答トークン量)に応じた従量制課金が行われますので、無制限に試行錯誤していると使った分だけ課金されるので、基本的な方針としては、通常版で試行錯誤しながら、処理の流れを洗練させていき、ある程度固まったフローを元にシステム化した方が良いでしょう。

話が前後しますが、自動化システム化すべきかどうかについても、検討が必要です。

APIを使ったシステム化・自動化が適している場合

  1. スケーラビリティ: ビジネスが拡大していく過程で、多くの問い合わせやデータ解析が必要になる場合。

  2. 統合: 既存のビジネスプロセスやシステム(CRM、ダッシュボードなど)と連携が必要な場合。

  3. 継続的なモニタリング: リアルタイムまたは定期的なデータ解析とフィードバックが必要な場合。

  4. カスタマイズ: 特定の業務ロジックやデータセットに対するカスタマイズが必要な場合。

  5. 自動化: ルーチン的なタスク(例:市場調査、報告書生成など)を自動化する必要がある場合。

通常版の利用が適している場合

  1. 手軽さ: インストールやセットアップが不要で、すぐにでも使い始められる。

  2. 低コスト: API利用には費用がかかる場合が多いが、通常版は低コストまたは無料で利用可能。

  3. 柔軟な試行錯誤: すぐにフィードバックを得られるため、アイデアの試行錯誤に便利。

  4. 個別の深掘り: 特定の質問やシナリオに対して、手動で深く掘り下げることができる。

  5. 直感的な操作: インターフェースが直感的であり、非技術者でも容易に利用できる。

決定のポイント

  • ビジネス規模: 小規模であれば通常版でも十分、大規模ビジネスではAPIの方が有利。

  • 目的: 単発の問い合わせやアイデア生成なら通常版、継続的な業務やデータ分析にはAPI。

  • リソース: システムの開発・運用に投資できるリソースがあるか。

試行錯誤の具体例

  • 既存のビジネスフレームワーク、ビジネスモデルに沿った方向で話を進める

必要があれば、どんなビジネスフレームワークがあるか、どんなビジネスモデルがあるかをChatGPTに説明してもらうところから始めることも出来ます。
挙げてもらったビジネスフレームワークや、ビジネスモデルを適用したらどのような戦略が考えられるかを、ビジネスのアイデアと組み合わせることでアイデアの幅を広げることが可能です。

以下のスクリーンショットはその例です。(ChatGPT4を使用しています)
ビジネスモデルキャンバスをご存知でない方は、「ビジネスモデルキャンバス テンプレート」で検索するなどしてみてください。

大事なことは、仮にユーザーが「ビジネスモデルキャンバス」を知らなくても、そういう回答が出てきて、ユーザーが新しい知見を得た上で、次の深掘りのプロセスに進める、という点です。

また、初回のやり取りで、スクショの回答がいきなり出てくることはまずないでしょう。
プロンプトの設計をしていくことで、品質の高い回答が出てくる可能性は高まりますが、ユーザー側の理解が浅くなる可能性があります。
単に答えを出すだけならそれでもいいですが、特にIT系の経験が浅い人が、システム化の検討(要件定義、基本設計)を行う際には、理解を深めるために、多少の試行錯誤はするべきだというのが個人的見解です。(理解が浅いとトラブルが発生した時にどこが問題か検討をつけられず行き詰まる可能性が高くなります)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?