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信頼はなぜ裏切られるのか

書名:信頼はなぜ裏切られるのか―無意識の科学が明かす真実
著者:デイヴィッド・デステノ
出版社:白揚社
発行日:2015年11月17日
読了日:2020年8月9日
ページ数:302ページ
8月 :5冊目
年累計:26冊目

この本はすごく面白かったです!
信頼とは何なのかが論理的にわかる本です。
様々な仮説を立てて、それに対して心理実験や
研究データから解き明かしていきます。

<こんな人におすすめ>

・信頼とは何か?を論理的に知りたい人!
・誠実さだけが信頼だと思っている人!
・なぜ政治家、権力者は信頼度が低いのか知りたい人!
・お金を持つと急に人が変わる理由はなぜ?!
・恋人に嘘を疲れた、浮気された、なぜ嫉妬する?!
・子供がいつ頃から親や周囲を信頼するのか知りたい
・心理学が好きな人

信頼ってなんですか?

評判が良ければ信頼できますか?

誰かを信頼する際、
あの人は「信頼できるか」を問うべきではない
正しくは、「現時点で信頼できるか」どうかである

信頼できるかどうかは
その人が置かれている環境によって左右されてしまうという事。

これって盲点だと思います。

その人が疲れているかもしれない
ストレスが溜まっているのかもしれない
外部要因も関係してくる。

また、評判も過去のものであって
将来も続くとは限りません。

評判は個人の不変的な特性を表しているわけではない

これって重要かなって思います。
結構忘れがちです。

正直な人は正直で嘘つきは常に嘘つき?
直感的には正しそうですが、過去20年の科学的なデータからは
人間の道徳性が非常に変わりやすい事は
はっきり示されている様です。

では、なぜ正直な人は正直を続けられるのか?

それは、日頃対処する通常の状況が、動機という点で
大きく変化していないから。
複数の心的なメカニズムが安定したバランスを保っているから。

これは一理あるなぁ。

あと、信頼には”誠実さ”だけでなくて
”能力”も重要であるという事。

仕事で尊敬できる人や学生時代の教師は
最高に優しい人ではないかもしれないが
能力はあったはずである。

能力が欠けていたら、正直さに価値はない。

何かわからない事があったとして
それを親友に相談したとして
必ずしもその答えに適するスキルを親友が持っているかわからない。
その親友のアドバイスを聞いて
悲惨な結果になる事もありますよね。

あと、子供に関するお話で一番面白かったのがこれです。

子供は信頼できない人より信頼できる人から
話を聞いた時のほうが、同じ情報でも
よく覚えている事が確認されている。

つまり、試験で言うと、知識をどれだけ覚えていられるかは
勉強量だけではなくて、教師への信頼度にも左右されるらしい。

確かに、すごく授業が面白くて頭もよくて尊敬できる先生だと
楽しいから勉強するし、知識の定着も早くなりますよね。

研究結果によると生後6ヶ月の赤ん坊でも
信頼できる人と信頼できない人を見分ける事ができるみたいです。
どうやって実験したの?って思う人は
本を読んでみてください。
すごく面白い実験でした!

恋愛においても、パートナーに対して
身勝手に振る舞ってしまう事がある。

ただ、それは本心でなくても相手は誤解して受け取る。

人間の心には「根本的な帰属の誤り」
というバイスが備わっている。

特定の行為を引き起こした原因が
その人の置かれた状況ではなく
その人の性質にあると勘違いすることもある。

もしかしたら、何か事情があるかもしれない
それはその人の性格ではないかもしれない。

ちょっと踏みとどまって考える事が大事ですね。

嫉妬についても面白い発見がありました!

数分前に知った相手にも嫉妬を感じる。

利益の交換などがなくても
長期的な結びつきができるかもしれないという
将来の見込みに対して嫉妬を感じるわけですね。

そもそも、嫉妬というのは

「過去志向ではなく、将来志向の感情」

互いに頼れる大切な関係を守りたい
あるいは修復したいという気持ちが起こすのが嫉妬です。

嫉妬は人を苦しめるのではなくて
今後、多くの利益をもたらしてくれそうな関係を
期間の長い短いに関係なく守るための心の現れなのです。

次は”権力と金”です。

政治家や資産家、権力者は横柄で信頼できない。
そんな感情を持っている人は多いと思います。
最近なんかは、”上級国民”なんていう言葉も出てきて
より一層、信頼されなくなっています。

まず、地位が高い人は自分の周囲に何でもあって
他の人を頼る(信頼)する必要がないからなんですよね。

研究結果からは、社会階級の高い人は
自らが信頼できない人間であることをはっきり自覚していて
それでも良いと思っているみたい。

開き直りじゃん!

では、そういう人は子供の頃から
信頼されていなかったのか?!

決してそうではないみたい。

弱者が大成功したり
職場で大出世したり
宝くじで大金があたったり
芸能界で大成功したり
…。
そうなると性格が変わってしまいますよね。

もともとは信頼されていたのに
周囲の人と比べた時の自分の位置によって決まるのです。
生まれもったものでもないし
生まれた貧富の差で信頼度は決まるものではない!

ミダス王のようになってはいけない

ギリシャ神話のミダスは黄金が好きなあまり
神から望みを叶えてやろうと言われて、
自分が触れたものが黄金に変わるように望んだ。

結果として家族に触れる事も
家族を抱きしめる事もできなくなって
黄金への願望がミダスを孤立させる。

やっぱりお金は怖いですね。
お金を彷彿させるようなものや願望は
メカニズムが違えど同じ作用をもたらす事は
心に留めておく必要がありそうですね。

そして、人は他者の信頼の裏切りには
厳しい目を向けるが、自分の信頼の裏切りには甘い。

こういう事を肝に命じて
豊かな人生になるように歩んでいきたいですね!

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