エスコンフィールド 大谷翔平にはなれなくても
21日まで予定されているプロ野球のセ・パ交流戦。日本ハムの新球場「エスコンフィールド」のカープ戦に足を運んだ。
球場のある北広島市は広島県人が開拓した縁深い土地。メディアも「広島ダービー」と盛り上げ、観客席は札幌ドーム時代よりはるかに多い赤いユニホーム姿が見受けられた。
新球場には、開幕直前に大泉洋が司会を務め、EXILEなどが出演した「STARTING LIVE」で足を踏み入れていたが、野球観戦は初めて。
球場の造りが公認野球規則に抵触しているとの指摘を受けただけあって、バックネット裏からのバッテリーの近さは特筆ものだ。
外野席にそびえる「TOWER11」はホテル、サウナも備えた施設。1階コンコース側の壁面にはメジャーで活躍する大谷翔平、ダルビッシュ有両選手のウォールアートが装飾されている。
10年前まで日本ハムの取材担当だった自分は、ダルビッシュ投手のメジャー移籍への過程を追った連載や、大谷選手のドラフトから入団までをつぶさに取材しただけに、思い入れは人一倍深い。
壁画の近くで懐かしい人に再会した。大谷選手と同じ2012年ドラフトで5位指名された元投手、新垣勇人(あらかき・はやと)さんだ。27歳で東芝から入団したオールドルーキー。入団時には新人特集で取材させてもらったことがある。
プロでは1勝しかできなかったが、一発芸などの持ちネタの多さから「ギャグモンスター」とも称された人気者だった。
引退後は東芝に戻って投手コーチを務めたが、新たに「カキシード」という会社を立ち上げ、今年はエスコンフィールドにキッチンカーも出店。古巣のシャウエッセンを使ったホットドッグを購入し、記念撮影させてもらった。今は神奈川と北海道の2カ所に拠点を構えて行き来しているという。
プロ野球界は、年次や年俸に関係なく、年上が食事代を出すのが習わしだ。大谷選手から兄貴分として慕われていた新垣さんが「1億円プレーヤーになっても僕がおごるんですよ」とこぼしていたのを思いだした。
「カキシード」は「柿の種」をもじった名称だと思うが、野球を柱に、未来への種をまく、さまざまな事業を手掛けていくようだ。起業家の先輩として、姿勢を見習いたい。新垣さんなら、プロ野球界ではつかめなかった、輝きに満ちた人生をきっと送れる。
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