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NoMaps 札幌の気温が上がった5日間

 札幌を舞台に、新しい技術やアイデアでビジネス創出を目指す目指す交流イベント「NoMaps」(実行委主催、https://no-maps.jp/2023/)が13~17日、市内中心部の各地で開かれた。トークセッションや展示会、交流会など100を超えるイベントが行われ、「札幌の気温が上がります」のスローガン通り、熱量にあふれた5日間となった。
 「NoMaps」は2017年に始まり、7回目。毎年この時期に行われる札幌国際短編映画祭に合わせ、「映像と親和性の高いITや音楽の連携した企画を」と、札幌の経営者や学識経験者らが中心となって生まれたイベントだ。
 参考としたのは、米テキサス州で毎年3月に開かれる複合イベント「サウス・バイ・サウス・ウエスト(SXSW)」。10日間の期間中、世界中から約20万人ものクリエーターやファンらが集まるという。
 「NoMaps」も、新型コロナで2年間はオンライン中心となったが、昨年から通常開催となった。まだコロナが収束していなかった時期にもかかわらず、道外はもとより、海外の起業家とも交流できたのは新鮮だった。
 また、昨年からは中島公園でLEDライトの付いたランタン700個を打ち上げるイベントも同時開催。参加者全員でカウントダウンを行い、秋の夜空を幻想的に彩った。
https://www.youtube.com/watch?v=_8lAXiK4oPU


 これまで10月中旬に実施してきたが、会期を1カ月間前倒しした。総合プロデューサーの五十嵐慎一郎さん(株式会社大人 代表取締役社長)は「そもそも、10月はちょっと寒いなというのがあった。それと、『食』もテーマの一つにしたかったのですが、手を広げるのは簡単じゃない。ならば『さっぽろオータムフェスト』とタイアップした方がいいのかなと考えた」と語る。大通公園に毎年200万人を超える来場者を集める一大イベントとの連携で集客力を高める狙いだ。


 と、前置きが長くなってしまったが、会場だけでも20カ所以上と、規模を拡大した今年は、街中を走り回っても味わい尽くせないほど同時多発的にイベントが繰り広げられた。「BIZ(ビジネス)」「SOCIAL(社会)」「EDU(教育)」などに加え、目玉のカテゴリー「SPORTS」では、つい先日まで30度を超えていた札幌にスノーボードパークが設けられ、多くの人の目を引きつけていた。


 登壇者も豪華な顔ぶれだった。街中のビストロを使った「キックオフトーク」には、クラウドファンディングサイトを運営する「株式会社CAMP FIRE」創業者の家入一真氏が招かれ、朝7時開始にもかかわらず、店内は熱気であふれていた。


 大樹町の宇宙ビジネスの展望を語るセッションには、宇宙事業を手がけるインターステラテクノロジズ創設者の堀江貴文氏が、黒川豊町長らとともに出席。堀江氏は「国立公園に登録されても誘客にはつながらない。大樹町は世界自然遺産登録を目指すべきだ。僕は開発制限がかかる前に宿泊施設などを整備する」と持論を展開していた。


 芸術関係の展示もユニークだった。北1条公共地下歩道で行われた「ARアート・ストリート」では、平面の作品に付いたQRコードリーダーをスマートフォンのカメラで読み込むと、3D作品と現実の空間を重ねて撮影可能に。地下コンコースに樹木が生えたり、計画されている地上への階段が映し出されたと、仮想と現実がないまぜになった風景を楽しめた。

 イベントの醍醐味は何よりも人との交流だ。トークセッションが終わった後は誰でも気軽に名刺や連絡先交換ができる。夜にはバーベキューを囲む交流会も。現在は起業準備中で名刺を持たない身なので参加を見送ったが、来年からはさまざまな業種の方と交流を深めていきたい。
 同様の催しが国内で開かれているかは把握していないが、知的好奇心のおもむくまま、より良い未来や社会、そしてビジネスを考えるきっかけをくれる新機軸のイベントは、ますます注目度を高めていくだろうと確信した5日間だった。脳が疲れたら、「さっぽろオータムフェスト」で全道のグルメに舌鼓を打つのも良し。毎年9月中旬は、遠方からでも足を運ぶ価値があります。

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