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2020年代を通じて実現すべき「令和の日本型学校教育」の姿

 いつもお世話になっております!tmのサムです!今日は文部科学省答申より、「令和の日本型教育」について考えていきます。

はじめに

 文部科学省は令和3年1月26日に答申を出しました。そのタイトルが『「令和の日本型教育」の構築を目指して』です。

 社会の変化が加速度を増し、複雑で予測困難となってきている中、子供たちの資質・能力を確実に育成するためには新学習指導要領の着実な実施が重要です。
その中でも、2020年代を通して実現を目指す学校教育を「令和の日本型学校教育」と呼びます。

 その根幹となす考え方が、
 ①ICTの活用と少人数によるきめ細やかな指導体制の整備
 ②個別最適な学び
 ③協働的な学びの3点です。

①ICTの活用と少人数によるきめ細やかな指導体制の整備

 GIGAスクール構想によって、児童一人一台のタブレット端末が保証されましたね。これをこれから効果的に活用し、児童の資質・能力の育成に取り組んでいくことは、もう言わずと知れたことでしょう。なぜこれほど遅れて児童生徒一台のタブレットが世界各国より遅れてしまったのか。この要因はいくつか在りますが、情報技術の進歩の他に、日本の一斉指導スタイルが一定の成果をあげ続けていたことが原因ではないでしょうか。いずれにせよ、このようなチョーク&トークによる一斉指導のスタイルは完全に過去のものとなり、新たな授業の形ができることは間違いありません。

 さらに、政府は小学校2年生から中学校3年生までの上限を、公立小学校においては、これまでの40人から35人まで縮小しました。これにより、少人数によるきめ細やかな指導体制を整備すると文部科学省は言っています。

 余談ですが、サムは大規模校に勤務しており、今まで38人、40人、36人のクラスを担任してきました。35人も、40人も変わらないんじゃないか?と思われるかもしれません。確かに1クラスが35でも40でも大した差はありません。教室が狭いな〜くらいの差です。でも、これが4クラスだったら?

 40人のクラスが4クラス=160人までを4人の担任が見ていたわけです。しかし、上限35人になることで、141人以上の学年は5クラス並行になるわけです。40人ギリギリが、上限35人になることでクラスが増え、1クラス28人程度になるわけです。これは大きな差ではないでしょうか?

②「個別最適な学び」を正しく理解するその前に

 2014年ごろから、「アクティブラーニング」という言葉が流行って、その後「主体的・対話的で深い学び」、「カリキュラム・マネジメント」等、教育の流行りの言葉が生まれてきました。次に流行るのは「個別最適な学び」ではないかとサムは考えています。きっとこれからはこの言葉が教育書籍のタイトルや帯を飾るのではないでしょうか。

 この「個別最適な学び」、以前西川純教授の本でご紹介させていただきました「個別最適化の教育」とは少し文言が異なりますので、あらかじめ違うものだということはご承知おきください。

 さて、この「個別最適化の学び」、結論から申し上げますと、

「指導の個別化」+「学習の個性化」=「個に応じた指導」=「個別最適な学び」

という形に細分化することができます。それでは、ここから一つずつ説明していきます。

③指導の個別化

 答申では、指導の個別化を次のように書いています。  

 全ての子供に基礎的・基本的な知識・技能を確実に習得させ、思考力、判断力・表現力等や、自ら学習を調整しながら粘り強く学習に取り組む態度等を育成するためには、教師が支援の必要な子供により重点的な指導を行うことで効果的な指導を実現することや、子供一人一人の特性や学習進度、学習到達度に応じ、指導方法・教材や学習時間等の柔軟な提供・設定を行うなどの「指導の個別化」が必要である。

 まとめると、

①教師が支援の必要な子供に、より重点的な指導を行うこと

②子供一人一人の特性や学習進度、学習到達度に応じ、指導方法・教材や学習時間等の柔軟な提供・設定を行う

 この二つが「指導の個別化」にあたりますね。今までも個別指導が大切と現場では言われていましたが、これからはさらにきめ細やかな指導が大切となるわけですね。ただ、②に関しては、今まで実現することは極めて困難でした。しかし、これからICTが導入され、それぞれの児童の進度に合わせてAIが判断し、的確な教材を提供してくれます。個人が、それぞれの速度に合わせて勉強することができるわけです。

 ただし、これには注意点もあります。「ICTを使うことが目的とならないこと」、「従来型の学習観における機械的なドリル学習等に偏ったICTの活用に偏らないようにすること」、「補充的・発展的な学習を行う際には、例えば知識及び技能の習得にあたって、ICTを活用したドリル学習等を組み合わせていくことも考えられるが、合わせて思考力、判断力、表現力等や学びに向かう力人間性等の育成も十分に行われるよう、計画的に指導を行うことが必要である」と答申では述べられています。注意点を意識した上で、効果的にICTを活用していきたいですね。

 ちなみにサムは、従来通りの機械的なドリル学習で知識及び技能を習得させるつもりで、授業ではより発展的な探究的活動を取り入れたいと考えています。詳しくはまた今度記事にできたらと思います。

④学習の個性化

 答申では、指導の個別化を次のように書いています。 

 基礎的・基本的な知識・技能や言語能力、情報活用能力、問題発見・解決能力等の学習の基盤となる資質・能力等を土台として、幼児期からの様々な場を通じての体験活動から得たこどもの興味・関心・キャリア形成の方向性等に応じ、探求において課題の設定、情報の収集、整理・分析、まとめ・表現を行う等、教師が子供一人一人応じた学習活動や学習課題に取り組む機会を提供することで、子供自身が学習が最適となるよう調整する「学習の個別化」も必要である。

 難しいのですが、ここでの書いてある言葉をサムなりに整理させていただきます。

①基礎的・基本的な知識・技能や言語能力、情報活用能力、問題発見・解決能力等の学習の基盤となる資質・能力等を土台として、

 この部分は、各教科の知識・技能、学習の基盤となる資質能力を土台にすると書いてあるので、要は各教科の学びを生かして、ということでしょう。

②幼児期からの様々な場を通じての体験活動から得たこどもの興味・関心・キャリア形成の方向性等に応じ、

 この部分は、子供の興味関心や、「こんな人なりたい」、「こんな職業に就きたい」という思いに応じ、という風に言い換えられると思います。

③探求において課題の設定、情報の収集、整理・分析、まとめ・表現を行う等、教師が子供一人一人応じた学習活動や学習課題に取り組む機会を提供することで、

 ここでは、各教科の探究活動(総合的な学習の時間を核とするもの)を通して、と言い換えられるでしょう。

④子供自身が学習が最適となるよう調整する「学習の個別化」も必要である。

 子供自身の学習が最適になるように、というのは、子供の学びや成長に最適となるように調整するようにするということでしょう。

 まとめると、「学習の個別化」とは、各教科の学びを活かし、子供の興味関心や「こんな人になりたい」、「こんな職業に就きたい」という思いから、各教科の探究活動を通して、子供自身の学習が最適となるよう調節することであると言えます。(あくまでサムの訳です。色々な読み取り方ができると思いますので、暖かく見守ってください。)

⑤「個に応じた指導」=「学習の個別化」

 「指導の個別化」と「学習の個性化」を教師視点から整理した概念が、「個に応じた指導」であり、この「個に応じた指導」を学習者視点から整理した概念が「個別最適な学び」です。

⑥まとめ〜「個別最適な学び」とは〜

 教師が支援の必要な子供に、より重点的な指導を行い、子供一人一人の特性や学習進度、学習到達度に応じ、指導方法・教材や学習時間等の柔軟な提供・設定を行う。そして、各教科の学びを活かし、子供の興味関心や「こんな人になりたい」、「こんな職業に就きたい」という思いから、各教科の探究活動を通して、子供自身の学習が最適となるよう調節することが「個別最適な学び」です。

 今日のところはここまで!いつもお忙しい中ご覧くださりありがとうございます!自分なりに答申をマインドマップに整理しました。誤字脱字もありますが、何かの参考になればと思い、置かせていただきます。なお、答申を文章そのままで整理したので、膨大なキャンパスとなっております。ご覧になる際は、ズーム機能を上手にご活用ください。


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