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チームわが家:社会学理論的枠組み(詳細版)

「ひと・こと・もの」に頼りながらの両立&子育てを提案しているチームわが家。この記事では以下の記事でご紹介した理論的枠組みについてもう少し詳しくご紹介しています。

 夫婦の家事・育児分担はどのように決まるのか。先行研究では、相対的資源差、夫婦間勢力、時間的余裕説、性別役割分業意識説、家庭内需要説、夫婦間コミュニケーションが分担を決定する主な要因とされています。(石井 2013;中川 2010a)。チームわが家1.0はこれらの考え方に依拠しています。
説明の都合上、この記事では理論の順番が前述の記事と少し変わっていますので、目次を頼りに読んでいただけると幸いです。

1. 親役割の形成

1-1. 役割形成

 社会学の分野では、Mead(1934=2002)が、一般化された他者の役割と態度を自分のものとする行為を「役割取得」(Role Taking)と定義している。このMead の役割取得の概念を発展させたのがTurner(1990)であるが、他者の役割と態度をそのまま自分自身に内面化するのではなく、複数の他者との相互作用を通して他者の役割期待を自分なりに解釈、継続的に修正し、必要に応じて再形成するとし、これを「役割形成」(Role Making)と定義した。

 役割理論と関連しているのがアイデンティティ理論であるが、近年のアイデンティティ理論では、人は複数の役割を持ち、それぞれの役割における小さなアイデンティティの集合体として自我を形成しており、それら複数の役割アイデンティティは他者との相互作用による顕現性の違いに応じたヒエラレルキーにより構成されていると考えられている(Stryker & Burke 2000;船津 1998, 2000;上野 2005)。

 以上から、人は他者との相互作用によって役割を形成、再形成することで、複数の役割アイデンティティを自己の中に形成しており、親役割も複数の役割アイデンティティの一つとして他者との相互作用により自己の中に形成されると考えられる。

1-2. 役割葛藤

 Merton(1957=1961)は、個人が受け持っている社会的役割には社会構造的に規定された期待があり、その期待に即して行動しようとするが、複数役割の両立が難しい場合は複数の役割間の「板挾み」、すなわち「役割葛藤」を経験すると述べている。また、Goffman(1961=1985)は、人が役割形成を行う際に他者との役割期待と自己が望む期待との間に乖離がある場合、また、複数の役割を上手く遂行できない場合に葛藤を経験すると述べている。また、「印象操作」を行うことでその葛藤を克服するとしている。(Goffman 1961=1985;船津 1998)。「印象操作」とは、他者の役割期待に対して、必要に応じていい印象や時には悪い印象を与えるような表面的な演技を行い、その役割との距離、すなわち「役割距離」を調整する行為である。人は、印象操作を通して他者に自身と役割との距離を提示することで、葛藤を回避したり軽減したりする。さらに、Hochschild(1983=2000)は、この印象操作に加え、社会的に期待される感情ルールと適合するように自己の感情をコントロールする「感情管理」(emotion management)という概念を提示した(船津1998;Hochshild 1983=2000)。このような印象操作や感情管理を通して、人は自分が保有する複数の役割のバランスを調整する。

 印象操作や感情管理に以外にも人は様々な調整を行なうことで葛藤を克服している。船津(1998)は、人々は他者とのことなる役割期待とのズレに対して悩み、苦しむ「役割コンフリクト」を経験し、その葛藤を乗り越えるために複数の異なる役割期待を取捨選択する「役割選択」や、相異なる期待間での妥協の範囲内で行動する「役割中和」や「役割調整」、また、場面や状況によって自己を使い分ける「役割コンパートメント化」を行う等、様々な調整を行いながら多様な自己を形成すると述べている。

 また、役割葛藤には「家庭人」と「職業人」のように、個人が保有する複数の役割の遂行の際に生じる「役割間コンフリクト」と、一つの役割自体の中に複数の役割期待がありその期待が矛盾する場合に生じる「役割内コンフリクト」があり、複数の役割を保有している限りこれらの葛藤は不可避であるとされている(Merton 1957=1961;杉浦2013)。

 以上、役割理論について概観したが、親役割の形成においても家庭や職場において様々な相互作用があり、その際に葛藤を経験すると考えられる。しかし、現代の日本においては育休を取得するのは母親が圧倒的に多く、出産後に主体的に世話役割を担うのは母親であるため、子供の出産の際の環境や経験する相互作用に夫婦間で差異があると推察される。以下でその違いに関する先行研究をレビューする。

1-3. 父親と母親の親役割の形成

 親役割は発達的な過程を通して獲得され、母親の役割形成と父親の役割形成はその形成時期に差があるとされている。母親の役割形成は自身の体の変化や母親学級等で提供される情報との相互作用により妊娠期からすでに始まっていることや、出産後も母親の方が父親より世話役割を多く担うことから夫婦で役割形成に差異が生じることが先行研究で指摘されている(中垣・千葉 2013;高見他 2009)。 

 また、父親と母親では親役割の獲得の時期だけではなく、その過程にも差異があることが先行研究で報告されている。岩下(2011a)は育児期の夫婦6組へのインタビュー調査を行い、夫婦の役割意識と家事・育児参加について分析した。その結果、妻にとって「母親となること」は、仕事をすることと全く異なった社会に属することを意味しており、 帰属する社会の変化に伴い、役割アイデンティティのヒエラルキーも職業人から母親へと変化するとしていた。一方、夫にとって「父親となること」は、仕事を軸とした日常の中における「神秘的な」の出来事として認識される傾向があり、妻よりも親となったことへの距離感を感じている反面、仕事は常に目の前にある現実として認識していることが明らかとなった。岩下は、この夫婦間の違いについて、ママ友ネットワークがある母親は親役割の顕現性が高まり、会社ネットワークで過ごす時間が長い父親は職業人役割の顕現性が高まるとし、夫婦間のネットワーク環境の違いの影響を指摘している。

 庭野(2007)も親役割の形成に環境が関連しているとし、父親の役割意識を育む環境としては、父親が世話役割に携わるだけではなく、子供と二人きりの時間を持ち、世話役割を行うことが重要だと述べている。庭野は父親を対象としたインタビュー調査を行い、父親が世話役割を受容する過程と意識を調査した。その結果、子供と父親のみの時間を持ち、世話役割を行うことが世話役割へ至る重要な契機であり、夫と妻の育児内容の格差を縮める要因であると述べている。また、父親は世話役割を行う過程で性別役割分業意識、仕事への意識、他者への感受性が高くなる等の内面の意識の変容があり、それが父親としてのアイデンティティを獲得へと繋がっていると示唆している。

 親役割については、「世話役割」と「稼得役割」等に細分化され、その多次元的構造と顕現性についても研究されている。舩橋(1999)は、父親、母親問わず、親の子供に対する基本的な役割を、①子供の成長に必要な経済的資源を供給する「扶養」(provider)、②子供の社会規範の学習や価値観・行動様式の確立を支援する「社会化」(socializer)、③子供が出来ないことを援助する「世話」(career)に分類し、細分化されたそれぞれの役割に対する意識は役割の遂行に関係していると述べている。また、Pasley et.al(2014)は、世話役割と稼得役割について、父親役割意識の中で稼得役割を重んじる者は長時間労働をする傾向があり、世話役割を重んじる者は家事育児に積極的であるとしている。また、前述した研究(岩下 2011a)においても、職業人役割の権限性が高い夫が稼得役割を担うことで、妻が家庭責任を担う意識と関係し、家事・育児分担にも影響していると述べている。さらに、佐々木 (2012)は、父親としての親役割観が職業人としての役割観より高いと子育て参加行動が多いと述べており、父親としての役割観を育む環境づくりが重要であると指摘している。

 以上のように、出産やその後の子育ての過程において夫婦の間で環境的な違いがあり、それが夫婦それぞれの親役割の形成に影響している。また、親役割は多元的であり、環境の違いやネットワーク、また、世話役割の遂行量によって、その顕現性が異なることから、夫が父親役割を獲得しやすいような環境を整えることが夫の世話役割の遂行を促進し、親役割、その中でも世話役割の顕現性を高めると考えられる。

1-4. 父親と母親の役割葛藤

 子供の誕生は、夫婦にとって大きな出来事であり、親役割への移行の際に葛藤と調整が必要である(Belsky & Kelly 1994=2005;中垣・千葉 2012)。母親の葛藤については、親役割と個人役割という自己のアイデンティティの葛藤について論じられており、特に葛藤が育児ストレスや育児不安となっていることが明らかにされている(柏木 2003;大日向 2001)。

 父親も母親と同様に役割形成の過程において葛藤を感じるが、母親と違い父親の場合は家事・育児の遂行の欠如に起因している。中垣・千葉(2013)は、母親の役割獲得の時期と言われる産後4ヶ月頃の父親に対して役割意識に関する調査を行った。その結果、この時期は母親が大半の世話役割を行っており、父親が子育てに関わる機会が少ないため、母親と役割受容に差異があり、父親は父親役割を肯定的に受容しているものの、父親としての役割が果たせていないことに葛藤を感じていた。

 松田(1993)によると父親のストレスは、産後6週間から8ヶ月月ぐらいまで間持続し、父親は母親に比べて意識の切り替えが困難であるとされている。さらに、父親は育児への制約感があり、子供への感情が観念的であるが、母親のように育児に直接的に関わることで母親の親意識に近くなっていくことが報告されている。また、三井・喜多(2005)は、役割葛藤と育児の行動量は有意な負の相関を示し、育児の行動量が多い父親は父親自身のストレスを軽減するとしている。

 母親、父親、それぞれの役割葛藤とは別に、夫婦間における役割葛藤と調整に関する研究も報告されている。結婚期に構築された夫婦間の役割遂行のルールやパターンは、子供の誕生により再構築されるとされているが、神谷・菊池(2004)は、夫婦間の役割観のズレは、新婚期より育児期の方がズレが大きくなっており、育児期の夫婦の役割観のズレは実際には調整されていないと報告している。また、神谷(2013)はこの夫婦間のズレを夫から妻への情緒的な関わりで補償していると述べている。さらに、加藤・金谷(2006)は、共働き夫婦間のワーク・ライフ・コンフリクトの視点から、「夫婦でスケジュール調整をして仕事や家事をこなす」「夫婦でお互いの都合を調整して家事や仕事をやりくりする」といった夫婦間役割調整対処は、夫と妻双方の結婚満足度を上昇させ、「親としての役割を果たそうと努力する」「大変でも家事も仕事もおろそかにしない」といった家庭役割充実対処は、夫の結婚満足度と仕事満足度を高めると報告している。

 以上のように、夫も妻も親役割の形成において葛藤を経験するが、それぞれで、また、夫婦間で対処や調整を行っていることが明らかとなっている。特に父親については、世話役割の遂行が葛藤を軽減させることが示されている。しかしながら、現代の日本では30代で16%、40代で16.6%の男性が週60時間以上の長時間労働を行っている(総務省 2015)。また、育休を取得した男性も女性に比べると圧倒的に少なく、取得期間も短い。したがって、父親が世話役割を遂行する時間の確保は困難であり、社会や家庭において職業人役割に加え親役割を担うことを期待されている父親は大きな役割間葛藤を抱えていると推測される。

2. 親役割の遂行

 親役割の遂行、特に夫婦間の家事・育児分担の規定要因については、多くの研究が行われている。これらに関係する先行研究を概観するにあたり、まず、夫婦における家事・育児の役割分担において広く援用されている勢力理論について述べ、その後、それぞれの規定要因に関する先行研究をレビューする。

2-1. 夫婦間勢力理論

 勢力理論とは、夫婦間の資源の差から夫婦間に勢力格差が生じ、それが家庭内のジェンダー平等・不平等に影響しているとする理論である(石井クンツ 2013)。この分野で多くの研究に影響を与えたのがBlood & Wolfe(1960)の資源理論である。ここでいう「資源」は夫、または妻がそれぞれ所有する学歴、収入、社会的地位等を指し、夫婦間においてこれらの資源をより多く有する方が「勢力=ものごとの決定権」を持つとされている。しかし、Blood & Wolfeが提唱したこの理論は、決定事項のウェイト、つまり重要性を考慮していない点、また、決定の結果のみを重視した点で批判を受けた。この批判に対し、勢力は意思決定のみで測定できるものではなく、その過程で起きる葛藤や緊張の調整、また、分業の状態などの関連の全体像で把握するべきであると唱えたのがSafilios-Rothschild(1970)である。さらに、Scanzoni & Scanzoni(1988)は夫婦それぞれに「権力の領域」があり、より専門性の高い者がその領域で権力を持つと述べている。また、その領域において夫婦間の勢力がぶつかると葛藤が生じるとしている。

 夫婦の勢力関係を規定するもう一つの重要な要因がジェンダー・イデオロギーである(松信 1995; 菰渕 1991,1992;Scanzoni & Scanzoni 1988)。夫婦それぞれがどのような役割規範を持っているかは夫婦間の役割期待にも影響し、それが親役割の形成や遂行にも関連する。

 このように、勢力には意思決定の過程とジェンダー・イデオロギーの影響があるとされているが、Komter(1991)は両方の側面を考慮し、夫婦間の勢力関係を①顕在的な対立を引き起こす「顕在的権力」、②対立の表面化を回避する「滞在的権力」、③不満を顕在化させない「目に見えない権力」に分類した。「顕在的権力」は、夫婦間で意見の食い違いがあった際に夫婦で対立し、どちらの意見が通ったかによって顕在化する。「滞在的権力」は夫婦間で夫婦のどちらかが最初から相手の権力が自分より強いことを認知しており、そのために対立を回避するという概念であり、夫婦のどちらかに不満が残る。最後に、「見えない権力」も「滞在的権力」と同様に夫婦間でどちらか一方の権力が強いことを認識しているが、それを当然のこととして捉えており不満を感じないという概念である。このKomterの理論は妻の就労選択の研究にも用いられている(三具 2007;岩下 2011b)。

 以上の先行研究より、夫婦間の勢力を規定する要因として、夫婦が所有する資源の他、特定の領域における専門性、社会的役割規範が影響していることが分かった。また、意思決定の結果のみではなく、その過程においても勢力が関連していることから、夫婦間の役割形成の過程やその際に生じる夫婦間の葛藤や調整、また家事・育児分担等、様々な場面で夫婦間勢力の影響が見られると考えられる。

2-2. 夫の家事・育児参加を規定する要因

 夫婦の家事・育児分担に関する先行研究においては、その規定要因として、相対的資源差、時間的余裕説、性別役割分業意識説、家庭内需要説、夫婦間コミュニケーションが主にあげられている(石井 2013;中川 2010a)。

 まず、相対的資源差説は、先に述べた勢力理論、資源理論から派生している。学歴、収入、年齢、職位等、夫婦それぞれが保有している資源の差が夫婦間の勢力に影響し、より資源の少ない方が家庭内において育児や家事という無償労働をより多く行うとされ、多くの先行研究で支持されている。(石井クンツ 2009, 2013;松田 2000, 2006;岩井・稲葉 2000)。また、所有する資源のうち妻の家計貢献度は家事参加に影響しているが、育児参加には影響していないとする研究(Ishii-Kuntz & Coltrane 1992)や、夫婦間の年齢差の影響は見られないとする研究(Ishii-Kuntz et al. 2004)もあり、家事と育児によって影響が異なる。

 さらに、妻の年収が妻から夫への育児参画に対する意識に影響しているとの報告もある。大和(2006)は、育児期の夫の育児参加は妻の収入貢献度が30%未満の場合、妻は夫に「子供と遊ぶ事」を求め、収入貢献度が30%以上の場合は「子供の世話」を求めており、妻の収入貢献度が高い場合は、妻は夫により世話役割を求める傾向があるとしている。

 時間的余裕差説は、夫婦の間で自由な時間をより多く持つ方が家事・育児をより多く担うとする説である。時間的余裕は夫婦間の就労時間や通勤時間によって測られ、夫の就労時間や通勤時間が短いほど夫の家事・育児参加が多くなると考えられている。育児参加については、妻がフルタイムで労働時間が長い場合(松田2001)、また、母親が就労していて、父親の就労時間や通勤時間が短い場合(Ishii-Kuntz et al. 2004)は父親の育児参加が高まる。家事参加についても、妻の勤務時間と夫の勤務時間が夫の家事参画と育児参画の両方に有意に影響している(Ishii-Kuntz & Coltrane 1992;松田・鈴木 2002)、また、夫の帰宅時間が早いと夫の家事参加が増える(永井 2001)等、多くの先行研究でこの説を支持する結果が得られている。一方で、夫婦間で就労・通勤時間が同じ程度である共働き家庭においても、妻が夫より家事や育児を行っている(Ishii-Kuntz & Coltrane 1992)、また、夫婦両方の労働時間が影響するとしながらその傾向は妻の労働時間が夫の労働時間より長い時のみ支持されるとしている結果も見られ(松田・鈴木 2002)、基本的には妻が中心となって家事・育児を担い、時間的制約のために妻が全てを担えない場合に夫が担うという傾向がある。 

 性別役割分業意識については、妻と夫、それぞれの意識が夫の家事・育児参加に影響していると考えられる。まず、夫の性別役割分業意識については、その影響を支持している報告(永井 2001;石井クンツ 2004;西岡 2004)と支持していない報告(加藤他 1998;松田 2006)の両方があり、結果が一貫していない。また、庭野(2007)は平等主義的な性別役割分業意識はもともと持ち合わせているものではなく、家事育児を行う過程で構築されると述べている。

 妻の性別役割分業意識については、妻自身が自ら「家事育児は自分の仕事」と認識し、すすんで家事育児と仕事の二重役割を担う傾向が報告されている(乾 2011)。中川(2010b, 2011)は、夫が家計責任を多く担うことが妻の家庭責任を強化していると報告しており、妻の家庭役割負担意識は、夫との稼得役割の負担意識と相互関係にあると考えられる。

 現代の性別役割分業観は「男は仕事、女は家庭」という一元的なものでは計れないもの、また流動的なものであるとして性別役割分業観の多次元的構造や流動性についても研究されている(大和 1995)。さらに、多くの研究で母親としての愛情を理由として女性が家事・育児を母親である自分の役割であると自ら位置付けており、(大和 1995;伊藤 2010;佐野 2010;末盛 1999)性別役割分業意識に愛情やケア意識が影響しているとしている。

 家庭内需要説とは、子供の数が多い、子供の年齢が低い、親と別居している、近くに頼れる親戚がいない等の事情により家庭内における家事・育児の絶対量が多くなると夫の家事・育児参加が促進されるという説である。先行研究においては、子供の数が多いほど夫の家事負担が多くなる(Ishii-Kuntz & Coltrane 1992;永井 2001; 岩井・稲葉 2004)、子供の数が多く、子供の年齢が低いほど、夫の育児参加が増える(Ishii-Kuntz et al. 2004;加藤他1998)という報告がある一方、子供の年齢が高いほうが、父親の育児参加が増えると報告している研究(Ishii-Kuntz & Coltrane 1992)や、子供数が少ないほど父親の育児参加が増えるとしている研究(大日向・新道 1994)もあり、結果に違いが見られる。

 夫婦間のコミュニケーションが夫の家事育児参画に影響を与えることは、多くの先行研究において報告されている(Ishii-Kuntz 2003;竹内 2007;佐々木 2009;中川 2010a)が、コミュニケーションの種類は様々である。妻から夫への家事育児に対する「促し」や「働きかけ」が、夫の育児参加を促進する(Ishii-Kuntz 2003;中川 2010a)とする研究や、家事分担の夫婦の対等性において「夫婦の会話」が大きく影響しているとしている研究(竹内 2007)もある。さらには、妻から夫への「愛情」が父親の子育て参加を促し、さらには、子供の父親に対する親和性を高める(佐々木 2009)と報告している研究もある。

 一方、アメリカにおける研究では、妻から夫へのネガティブな働きかけが夫の家事育児参画へマイナスの影響を与えることも報告されている(Allen & Hawkins 1999;Schoppe-Sullivan et al. 2008)。

 このように、妻から夫への働きかけが「依頼」「期待」「愛情」など、ニュートラル、またはポジティブな場合は夫の家事育児参加を促進するが、「批判」というネガティブなものである場合は、夫の家事育児への参画を抑制することが先行研究より明らかとなった。つまり、「働きかけ」の有無だけではなく、その「働きかけ」の内容も影響するということが推測できる。

3. 夫の家事・育児参加の夫婦関係への影響

 夫の家事・育児参加は夫、妻それぞれと夫婦関係に様々な影響を与えることが先行研究により明らかにされている。柏木・若松(1994)は父親が家事・育児に参加することで、父親の子供に対する肯定的感情を強め、母親の子供に対する否定的感情を弱めると述べている。同様に、父親が親役割を受容することは、母親への育児負担感を軽減させる傾向がある(森永 2015)。つまり、父親の家事・育児参加や父親の役割受容が妻の育児負担を軽減させると考えられる。さらに、三井・喜多(2005)は、夫婦関係への影響を指摘し、父親の家事・育児遂行及び、父親の情緒的サポートが充実した夫婦関係を築き、育児の共同感を高め、夫婦関係を強化していると述べ、この夫婦間の相互作用が夫の家事・育児参加意識を限定的ではあるが促進しているとしている。  尾形・宮下(2003)は、妻が専業主婦の家庭と共働きの家庭について父親の母親に対する協力的関わりが夫婦関係や妻の養育行動にどのように影響するかを乳幼児の親を持つ夫婦に対するアンケート調査のデータをもとに検討した。その結果、専業主婦の家庭では「夫・妻とのコミュニケーション」が妻の養育行動に影響を与え、共働き家庭においてはコミュニケーションだけではなく「夫の家事への援助」が影響していることを明らかにした。また、夫の関わりは母親の養育行動に直接影響しているのではなく、まず夫婦関係に影響し、それが母親の育児ストレスや養育行動に影響することを指摘している。

 以上のように、父親の家事・育児遂行は夫婦で家事・育児を遂行しているという共同感を強め、それが夫婦関係の強化につながり、その結果として母親の養育行動に影響していることが明らかとなっている。

3-1. 父親の家事・育児参加と母親の就労

 母親の就労形態の選択を規定する要因として、「末子の年齢」「夫の所得」「親の同居の有無」「学歴」「夫の就労形態・職業」「夫の労働時間」「性別役割分業観」等があげられるが、中でも末子年齢と家事育児のサポートの有無は大きな規定要因とされている(鈴木 2001;中原2010)。

 中原(2010)は、有配偶女性の就労選択に関する先行研究のレビューにおいて、未就学の子供がいる場合、正規雇用率とパートタイム雇用率が共に下がるが、子供が小学生以上の場合、パートタイム雇用率が上がること、また、「親の同居」「夫が公務員か否か」「夫の帰宅時間」等、家事・育児の負担をサポートする量が増えた場合、正規雇用率は上がるが、パートタイム雇用率には有意な影響しないと報告している。このことから、夫の家事・育児サポート量は妻が正規雇用で就労するかどうかの選択に影響していると考えられる。

 鶴光・久米(2016)は夫の家事・育児負担が妻の就労に正の影響を与えること、さらに、妻の就業を支えるものとして遠くに住んでいる親やベビーシッターからの「たまのサポート」ではなく、夫の家事・育児負担、親の同居や保育園の利用などの「日常的なサポート」であると報告している。また、夫の家事・育児負担が大きいほど、妻は非正規ではなく、正規雇用として働くこと、また、就業時間も伸びると指摘している。これは、先に述べた中原の指摘や内閣府(2006)の調査において自らパート・アルバイトを選んだ母親が「育児等の負担がなければ正社員を選択した」と報告されていることにも合致している(内閣府 2006)。  佐野(2010)は、出産後も就労を継続している女性のグループと出産児に退職した専業主婦のグループにグループインタビューを行った。語りの分析から、佐野は就労を継続しているグループでは、妻だけではなく、夫も妻の収入が生活を豊かにするという認識があり、夫も家事・育児に積極的に協力していたと報告している。つまり、夫の家事・育児負担が妻の就労に影響すると同時に、妻が稼得役割を担うことは夫が家事・育児負担を担うことにも影響していると考えられ、次に述べる夫婦間の世話役割と稼得役割の代替性とも関連していると言える。

3-2. 夫婦間の役割の代替可能性

男女の性別役割分業について、男性が家庭に参画するという「一方方向」ではなく、女性も男性と同様に経済活動に参画するという「双方向」の議論が必要であると指摘されている(Rosaldo & Lamphere 1974)。Scanzoni & Scanzoni(1988)はRosaldo & Lamphereの指摘を様々な夫婦の事例を用いて検討し、夫婦が役割を平等に担うためには、夫の家事・育児参加だけではなく、妻も稼得役割を担う夫婦間の役割代替可能性(role interchangeability)が重要であると指摘している。さらに、Scanzoni & Scanzoniは、妻の就労や妻が経済活動に参画できる機会を所有しているかどうかが夫婦間の勢力にも影響することを指摘しており、夫の世話役割遂行と妻の稼得役割遂行の代替可能性が夫婦間の交渉(negotiation)にも影響すると述べている。

日本においては、role interchangeabilityの概念は「役割代替性」として検討されている。松信(1995)は、Scanzoni & Scanzoni(1988)の枠組みを用いて夫婦の役割関係について量的データを分析した。二人キャリア夫婦(夫婦ともに正社員、専門職または技術職)と二人稼ぎ夫婦(妻は非常勤やパートタイム)、一人稼ぎ夫婦(妻は非就業)を比較したところ、役割代替性が高く、平等主義的特徴を示したのは二人キャリア夫婦のうち子供を持たないカップルのみであった。松信によると、「職業人役割」を持つ女性でも、母親の場合は「母親」としてのジェンダー・イデオロギーの影響で、自ら家事・育児を担っていた。また、松信は、二人キャリア夫婦においても、妻は仕事と家庭の両立を前提としている場合は、妻の稼得役割負担が弱いため妻のキャリアが夫のキャリアと同等の重要性を持っておらず、夫婦間の役割代替性が成立していない可能性を示唆した。しかし、先に述べたように、女性雇用者増加の4割を占めているのは年収100〜149万円の非正社員女性であり、社会保障制度の中で就業調整を行っている女性も多い(大嶋 2016)。つまり、妻が夫の同等、またはそれ以上の稼得役割を担っている共働き家庭は少なく、夫婦間の役割代替性の強化のためには、松信が指摘しているように、夫の世話役割の代替性のみではなく妻の稼得役割の代替性の強化が必要であると言える。  妻の稼得役割の代替性について水落(2007)は、家計内生産理論を用いて、共働き・核家族世帯を対象にした量的調査のデータを用いて妻の家計貢献率と妻の家事分担率の関係を分析した。推定方法により結果の違いはあったものの、妻の家事分担率1%の増加が家計貢献率1.4-1.6%の減少をもたらしていることが明らかになった。この結果から水落は、「夫は仕事、妻は家事・育児」という役割体制のまま共働き家庭が増え、妻の家計貢献率が上がることで夫婦間で葛藤が生じると問題を提起している。

 役割代替性が高くてもそれが実現できない場合もある。松田(2007)は、夫婦における役割分担は働き方戦略として性別役割分業戦略と共働戦略に分けられ、夫婦の家事・育児及び稼得役割の代替性が高い夫婦ほど状況に応じて柔軟に戦略を対応でき、それが夫婦の豊かさや幸福につながると述べている。しかし、出産や結婚等のライフステージの影響により、希望する働き方戦略と実際の働き方戦略が一致していない場合も多い。調査の結果をうけて松田は、ライフステージによって希望する希望する働き方戦略を取れないのは、社会環境の問題があることを指摘し、女性だけの問題ではなく、働く環境を含めた男性の問題として捉えるべきであると提言している。

 また、役割代替性が高い夫婦においてはコミュニケーションが重要であるとされている。渡辺(1994)によると性別役割分業の夫婦と共働きの夫婦では、夫と妻に求められる役割はもちろんのこと、求められるお互いの夫婦関係へのコミットメントも大きく異なる。性的役割分業の夫婦の場合、一方が仕事、他方が家事、育児と夫婦の役割が専門がしているため、「スペシャリスト型夫婦関係」となり、夫婦の役割が補完的であるがゆえに夫婦間の調整はあまり必要ないとしている。一方、共働き夫婦を「ジェネラリスト型夫婦関係」とし、この夫婦においては夫と妻が担う役割の代替性が重要であり、そのために家庭内協業や調整やコミュニケーションの強化が必要であるとしている。

 さらに、妻の稼得役割の代替性が夫婦間の勢力に影響を与え、さらに妻の就労選択影響していることも報告されている。三具(2007)によると、夫婦が共に働くことは夫婦の対等な関係に影響すると考える人が4割以上存在し、そのうち、既婚女性についても「働くこと」自体が夫婦の対等性に影響していると考える人よりも「収入の影響」が夫婦の対等性に影響していると考える人の方が多いことを指摘している。その一方で、収入の多い夫が就業を継続するという決断が「目に見えない権力」として作用し、妻が出産を機に離職するという決断が、夫が就業を継続するという決断の「残余部分」での決定であるとも述べている。

 妻の就労が夫の性別役割分業意識へ影響しているという報告もある。Zuo & Tnag(2000)によると、妻の就労は夫の稼得役割を軽減し、非伝統的な性別役割分業になるとしている。また、中川(2015)は妻の収入と夫のワーク・ライフ・コンフリクトを12歳以下の子供を持つ父親へのアンケート調査の分析を通して、妻の収入が高いほど、夫の性別役割分業意識は非伝統的となり、夫のワーク・ライフ・コンフリクトも低くなることが明らにした。このことから、妻が稼得役割を担うことで夫の稼得役割に対する責任が低くなり、それにより性別役割分業意識が非伝統的となった結果、夫の家庭参画を促進し、ワーク・ライフ・コンフリクトも低くなると示唆している。つまり、妻が稼得役割を担うことにより、夫の世話役割が促進されるため、夫婦間の役割代替性が高まると考えられる。

 以上、共働き家庭の増加に伴い夫が世話役割を担うことが必要であるとされてきたが、夫の世話役割の促進のためには、妻も稼得役割を担う夫婦間の役割代替性が重要であると言える。さらに、働く母親にとっても稼得意識は就労継続を促し、また、それに伴う家計への貢献度が家庭内での平等感、ひいては、夫のさらなる世話役割の遂行に影響していると言える。

参考:
林田香織(2017)妻にとっての夫の育児休業-育児休業取得のタイミングと期間に注目して- お茶の水女子大学 修士論文

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