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小4の壁:3つの壁はなんだか厄介だけれど愛おしいかも?

前回お伝えした「小1の壁」。反響が大きく、やはり沢山の人が不安を感じていることがわかりました。

今回は「小4の壁」について。「小1の壁」セミナーの時によくついでにカバーして欲しいと言われます。「ついでに」カバーできるほど簡単ではなく、書いてみたら、やはり小1の壁より難しく、小1の壁と同じかそれ以上に丁寧に対応する必要があるなあというのが実感です。

そもそも「小4の壁」って何?

小1の壁同様、子どもの成長にともなって起きるいくつかの変化の総称です。小1の壁は環境面の変化が主なので、壁の数は多いのですが比較的親が調整可能です。

一方、小4の壁は子どもの成長や内面に関することが主なので、親の調整のみでどうこうできないというのが特徴です。さらに、10歳は第二次性徴期の入り口にあたり、子どもの身体と心が大きく変化する時期です。親子関係も変化します。それが、壁を壁たらしめている一番大きな要因かもしれません。

小4の壁は3壁。少ないけれど。。。

小1の壁は10壁ありましたが、小4の壁は以下の3壁。数は圧倒的に少ないです。しかも、子どもの成長に必要な変化、ネクストステージへの大事なステップで、実は喜ばしいことなんです。ただ、一つ一つがちょっと大きめでちょっとやっかいです。そして、個人差が大きい。以下、それぞれについて説明しますが、お子さんに合わせながら適宜参考にしてください。

「壁」ではなく成長のための「変化」。そう思うと喜ばしいことに感じるかも?

変化1 生活面の変化

一つ目は生活面の変化です。これは比較的オペレーションをどうするかという話で対応しやすい変化ですが、親子それぞれの希望との折り合いをつけるのが難しい場合もあります。

上のスライドにあるように、学童に通う子は学年が上がるにつれて少なくなります。地域によっては低学年が優先で高学年は抽選だったり、高学年は少し遠い学童へ異動となることもあります。

また、学童に通い続けられる環境があったとしても、同じ学年の子が減ることで次第に行かなくなる場合もあります。わが家の三兄弟のうち学童に通ったのは三男だけですが、小3ぐらいから週に何回かになり、小4になるころにはほとんど行かなくなりました。

学期中はよいのですが、問題が長期休み。成長したとはいえ、自分で1日をコントロールするのはまだまだ難しいのが現状です。かといって、親の希望を一方的に押し付けるのもちょっと。。。では、どのように環境を整えたらいいのか、下のスライドの検討ポイントを参考に考えてみましょう。

まず「誰と」「どこで」「どのように」過ごしたいかを一緒に考えてみる

新年度前でも、新年度が始まってからも良いので、放課後をどのように過ごしたいと思っているかを子どもに聞いてみましょう。もしかしたら友達同士でそういう話がもう出ているかもしれないし、出ていないかもしれません。「みんなどうするって言ってる?」と聞いてみると良いかもしれません。

子どもの希望を聞きながら子どもの特性や生活環境に照らし合わせてすり合わせましょう

まずは「誰と過ごすか」から考えてみると自然と「どこで」「どのように」が見えてきます。近くに親族がいて、子どもといい関係があれば親族と親族の家で過ごす。学童の先生が大好きな場合はそのまま学童の先生や友達と学童で過ごす。学校の友達と過ごしたい場合は、放課後児童クラブや児童館を活用するのも良いでしょう。サッカーが好きなわが家の三男はサッカー教室をそれまでのユルユル系からガッツリ系に変更し、回数を増やしました。

学年があがるにつれて、大人と過ごす時間より子ども同士や一人で過ごす時間が増える傾向にありますが、子どもによっても違います。住んでいる地域の環境によっては、子どもの希望をすべて受け入れることができない場合もあるでしょう。子どもと考えが違う場合はよく話し合いながら折り合い点を見つけていきましょう。

ルール決めが安全&安心の確保につながる

「どのように過ごすか」を考える際に、大切なのはルール決めです。ルールは子どもを縛るものではなく、安全&安心を確保するために必要です。以下に主なものをあげてあります。はじめのうちは少し厳し目に設定し、学年があがるにつれて微調整しましょう。

・困った時の対処法(誰に、どう助けを求めるか)
・一人で留守番時のルール(施錠、電話&訪問は出ない等)
・親の連絡先 と親以外の連絡先
・連絡手段(携帯電話を持たせるかどうか&使い方のルール)
・友達と過ごす際のルール(時間、場所の制限、友達の家に行く時のルール)
・鍵の管理(鍵を持たせるかどうか)

なかなか守れないのが普通。繰り返し確認しましょう

長期休みの選択肢

長期休みの選択肢はあまり多くはありません。学童に行かない場合は長期休みの初め、中盤、終わりで対応を変える必要があります。

休みに入ってすぐは、夏は学校のプールに行けたり(コロナ禍は中止)、学校解放があったり、塾の特別講習があったりと、どうにかしのげるのですが、中盤になるとこれらもなくなり、いよいよどうする?という状態になります。

実家に帰省する場合は、子どもだけ祖父母の家に先に帰省させ、後で親が合流する人も多くいます。また、民間が主催する体験型のキャンプや島留学に参加することもできるでしょう。思い切って海外のプログラムという選択肢もありますが、お金もそれなりにかかります。子どもの希望と予算と親の仕事の都合を考えながら考えてみましょう。以下、いくつかの選択肢です。

地域によって違います。お住まいの自治体で確認を

ちなみにわが家は塾には行かず、ほぼ近所に児童館に友達と入り浸りでした。児童館のカードで入出記録が親にも分かるので非常に助かりましたし、ときどき様子を見に行くことで、児童館の職員のみなさんとも顔見知りになってとても安心でした。また、地域サッカーをやっていたお陰で地域の大人とのつながりも強く、地域特性に助けられた点も大きかったです。

変化2 学習面の変化

学習面の変化は二つに分けられます。まず学習内容の変化。特に算数は抽象的な概念が入ってきたり、普段の生活であまり扱わない分数や小数がでてきます。また、テストで扱う問題の量が増えたり、思考力を試される問題があったり、解答するのにスピードが求められます。習う漢字も6年間で最多、文章題も増え、読解力も試されます。

学習内容と学習に対する意識が変化

次に学習に対する意識の変化。塾に行く子どもたちも増え、友達が自分が知らない勉強の話をしているのを耳にして不安になる子もいます。また、兄弟/姉妹がいる友達が、上の子の受験の話するのを耳にすることで、学習と将来のつながりを意識したり、他者との比較で焦りを感じる子もいます。

この時期は、まず「今はわからなくても大丈夫だよ」と伝え、「わからない」「できない」と安心して言えることが大切です。かといって、バタバタと忙しい平日に毎日子どもの勉強を見てあげるのは大変だし、余裕がないとイライラして子どもにキツく言ってしまうこともあります。平日に時間をとることが難しければ、「どのへんがわからない?週末に一緒に考えてみようか」と伝え、時間と気持ちに余裕がある時に復習し、「わからない」を「わかった」に変換してあげると良いでしょう。

この時期に話題にあがるのが中学受験です。大都市圏ではクラスの半分以上が受験という地域もあります。親は将来のことを考えますが、子どもは「仲の良い友達と一緒に受験したい」「みんな受験しているから自分も」と気軽に考えている場合が多く、親との意識の差でぶつかるケースもよくあります。「小3から塾に行かないと間に合わない」など、周りからのプレッシャーもありますが、地元の中学校や受験する中学校を複数見に行って、いくつかの選択肢を見せた上で、焦らずに子どもと話し合ってみましょう。

変化3 内面の変化

3つ目の変化は内面の変化。ティーンエイジャーへの入り口です。思春期に片足を踏み入れるのがこの時期です。身体の成長や気持ちの変化に子ども達も戸惑い、子どもとの距離感に親が戸惑い、親子でどうしたらいいか分からなくなります。「あんなに可愛かったのに・・・」と凹む時期です。

そして、この戸惑いや微妙な距離感のせいで、これまでの二つの変化への対処も思うようにいかないということが起こります。ちょっとやっかいです。

親子で戸惑う時期。イラっとくることもありますが、適度な距離で心は離さないようにしましょう

前は素直に聞いていたのに、急につっかかってきたり。何か聞いても「別に」「フツー」としか答えなかったり、と思ったらベラベラしゃべったり。バカにしたような態度をとったり、トゲトゲしたり。でも、基本的にはまだ子どもなので、やっぱり甘えたい。ツンデレ状態です。時々愛おしいけれど、ほぼほぼ厄介です。

ここで大切なのが、子どものアップダウンに親が巻き込まれないことです。一喜一憂しないことです。ツンデレが始まったら「おっ!ついにきたか!」と客観的に眺めるのがコツです。反抗しても基本的にはまだ子どもで不安だらけです。安心してイライラしたり、トゲトゲしたり、モヤモヤしたり、ツンツンさせてあげるとよいと思います。

ただ、親も子もいつも真正面から向き合うと疲れてしまいます。そんな時には家族以外の関係があると助かります。いわゆるナナメの関係です。わが家の子ども達にとっては、学童時代にお世話になった先生や児童館の先生、地域サッカーの仲間達がそうでした。一緒にあーでもない、こーでもないと言いながら子育てできたことで、私たち親も助けられました。

親にとっては仕事の責任が重くなったり、忙しい時期かもしれませんが、時には仕事を早く切り上げて、子どもがいつも行っている公園や児童館に行ってみたり、週末に一緒に地域で過ごしたりすることで、親も視野を狭めずに子どもを見守ることができると思います。

また、子どもの成長とともに、親自身の働き方を考えるよい時期です。自分自身の成長のために何かを学んだり、新しいことを始めたり、親自身も成長の機会をするとよいでしょう。子どもとの距離感を保つこともできますし、親自身がチャレンジする姿を子どもにも見せることができます。

子どもが「子」から「個」へとぐーっと成長する時期。そして、親自身も成長する機会です。面倒なことも多々ありますが、厄介で愛おしいこの時期も期間限定。子どもとともに成長していきましょう。

参考:文部科学省:子どもの徳育の充実に向けた在り方について(報告)