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全国ジュニア自転車競技大会 四日市ロード

三重県四日市市で、全国ジュニア競技大会サイクルスポーツフェスティバルが行われました。

今回トップカテゴリーのジュニアクラスは、2005年2006年生まれの主に高校2年3年生が全国から参加しました。

コースは9kmの周回コースを11周、約100kmで争われます。

参加したのは、高校2年生のYAMATOです。昨年はU17クラスに参加して、最後のスプリント勝負で他の選手と接触し落車、苦い経験をしました。今年は上位入賞を目指します。

レースはスタート直後からアタックが繰り返され、一気にペースが上がりました。

2周目、2名の逃げができ、一瞬ペースが緩んだところ、有力選手によるアタック、そして8名ほどの追走集団が発生します。これに乗らなければ勝負に絡めません。YAMATOもそれを承知で、全ての脚を使って追いかけます。

しかし、追走集団に届かず、集団に戻ってしまいます。

レース中盤、追走集団との差は、どんどん開いていきます。
「みんなでまわそう」そんな言葉を投げかけますが、協調体制は取れません。


レース終盤、メイン集団の人数も減り、動きはチグハグになり、もうどうにもなりません。

そこで、チームの先輩がYAMATOに告げます。
「俺が集団を引くから、脚を貯めておけ」
「次の坂でアタックするから、付いてこい」
YAMATOは、指示に従います。
そして、集団から抜け出すことに成功しました。

前から落ちてきた選手を吸収しながら、ラスト1周
先輩「あとは一人で行け」
YAMATO「2人で回しましょう」
先輩「いいから行け」

YAMATOは先輩を置き去りにします。
ここで悩んでいたら、ここまでの先輩の苦労が水の泡になります。


そして、ゴール

6位

勝負に絡めなかった悔しさと、先輩を置き去りにした申し訳なさで涙が止まりません。

5位までは、今年の選抜、インターハイ、国体、そして国際大会、世界選手権で大活躍した選手がズラリと並びました。そんな大会に一つも参加すらできなかったYAMATOが、その選手たちに続き入賞しました。


YAMATOのコメント
良かった点
落車を落ち着いて回避できた。
粘った。
風向きを理解して後ろに付けた。

改善点
重要な逃げに乗れなかった。
ダッシュ力不足。単純な力不足。
無駄足が多かった。
勇気がなかった。

一人では何もできず、足もなく、助けてもらったレースだった。来年は自分も後輩を連れて行ける先輩になりたいと思った。


今回もいい経験をさせてもらいました。
トップとの脚の違いは歴然でした。「まるでスピードが違う」と感じたようです。違いがわかるようになっただけでも、成長している証拠です。順調です。

NHKで放送されたスポーツヒューマンで、なでしこジャパンキャプテンの熊谷紗希さんが、大切なことを話していました。
「私は若い選手より、スピードがない。よーいどんでスタートすると、必ず負ける。だから、相手の動きを予測し、先に動くようしたら戦えるようになった。」
と言っていました。

ここに大きなヒントが隠されています。
「集団前方にいるから大丈夫。アタックされたらついていけばいい。」では遅いです。背後から追い越された時点で、大きなスピード差があります。そこから同じスピードまで上げるのにパワーを使い、さらに追いつくには相手以上のパワーがなければ追いつきません。スピードに自信があれば、それでも通用するかもしれませんが、スピードがない選手が戦うには、マークしている選手が腰を上げた瞬間に踏み始めないと間に合いません。それには、常に相手が見える位置にいる必要があります。

プロレースならアシストがいるので見極めが難しいですが、ジュニアの場合、特に今回のレースでは比較的わかりやすかったと思います。しかし、わかっていてもできないのがレースです。

それでもロードレースはただ頑張ればいいというものではなく、他のスポーツと同様、考えて試合をする必要があります。ヒルクライムやTTなら力勝負になりやすいですが、ロードレースは力で劣っていても、展開次第で勝負できる競技です。今回は、有力選手にすごいスピード差で追い越されたようですが、「なぜ、そんなスピード差になったのか、どこでアタックされたのか、コーナーを使われたのか、アップダウンを使われたのか、その時自分はどこにいて何を考えていたのか、どうすれば追走集団に乗れたのか」真剣に考え、次に生かさなければ意味がありません。「千切れたから次回頑張ろう」では、同じことを繰り返してしまいます。脚も大切ですが、頭も使えるようになると、さらに面白いレースになると思います。

YAMATOのために、多くの応援団が駆けつけてくれました。


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