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teamKOIが生まれたとき

きっかけはたしかに、新型コロナウイルスの感染拡大だった。思うように山に登ることができない日々がやってきた。それどころか、日常が大きく変わった。大打撃を受けた経済も国際関係も、社会全体があらたな枠組みを探ることになった。

それと同じぐらいウイルスを前にして、まるで山で吹雪に遭うような環境にさらされたのは、人と人との関係ではないだろうか。新型コロナウイルスの感染を防ぐには、人と人との接触を減らす、ハイタッチサーフェスなるもの、つまり周囲と共有するものを減らすという方向が示された。それは、これまで人類が歩んできた道を否定するようなものだ。

登山もしかり。山に登るという行為が己の歓びや愉しみのために脈々と続いているのも、人と人とのつながりがあり、互いに共感する力をもつことが大きく寄与していると思う。自然の営みに心がふるえたり、山に登る行為そのものが面白いというのが根幹にあるのは、まちがいない。しかしそれだけで、登山はここまで広がりをもっただろうか。そこに仲間がいたことは、とても大きい。仲間というのは、一緒に山に登る者だけではない。時空を超え遠くにいる、出会う機会もない見知らぬ山を愛する者の存在も含まれる。

team KOIは、ある者がある者に声をかけたことが始まりだった。そこからは、電話一本でみんなが集まってくれた。「非常事態宣言」というセンセーショナルな事態だったからだけではない、と信じている。その証拠に、いまも意見交換を繰り返し、なにかを生み出そうとしている。でもいつか、「集まってくれて、本当にありがとう。ところで、なぜ集まってくれたの? あのときの気持ちは?」ってメンバーひとりひとりに聞いてみたい。声かけた分際で何それ?って言われそうだけれど。

私たちは戦争を知らない世代だ。紛争に巻き込まれたことも、国が分断したことも、母語を取り上げられた経験もない。大きな歴史のうねりに飲み込まれたことがない。新型コロナウイルスほど、自分ではどうにもできない外部の力で、自分たちの生活や人生が揺さぶられたのは、初めての経験だった。

たしかにきっかけは、新型コロナウイルスだった。けれど、team KOIは、それだけではないと思っている。9人のたったひとつの共通点は、山が、登山が好きでたまらないということだ。山に関わることを仕事にもしている。医師のふたりは救急の専門であるが、野外医療や被災地医療、離島医療に挺身し、山岳関係者たちとの交流も深い。team KOIをきっかけに、さらに豊かで健全な、そして愉しい登山の世界を作りたい、と思っている。

チームの名前には由来があるのだが、KOIという音はいろんな日本語にかけられると、後付けながら気づいた。そのなかのひとつは「来い」。ちょっと荒っぽい言葉であるが、「山に来てね」「このチームにもぜひ来てね」という意味も兼ねている。独りよがりになりたくない。山を、登山を愛する皆さんと繋がっていきたいと思っています。

まだまだ生まれたての赤ん坊ですが、どうぞよろしくお願いします。
                             (柏澄子)

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team KOI
柏澄子(ライター、日本山岳会理事)
山田淳(やまどうぐレンタル屋、フィールド&マウンテン)
浅井悌(医師、利尻島国保中央病院副院長、日本山岳ガイド協会ファーストエイド委員、災害人道医療支援会理事)
稲垣泰斗(医師、北里大学医学部総合診療医学特任助教、ウィルダネス メディカル アソシエイツ ジャパン 医療アドバイザー)
近藤謙司(国際山岳ガイド、アドベンチャーガイズ、日本山岳ガイド協会理事)
佐々木大輔(国際山岳ガイド、日本山岳ガイド協会理事)
佐藤泰那(編集者、KUKKA)
花谷泰広(山岳ガイド、甲斐駒ヶ岳・七丈小屋)
柳澤太貴(赤岳鉱泉・行者小屋)

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新型コロナウイルスの流行を機に、今後の登山活動を考えるべく集まった山を愛するメンバー。山岳ガイド、医師、山岳旅行ツアー会社、山小屋事業者、メディアなどそれぞれの立場から参画。日本の登山社会が健全に活発に発展していくよう、これからもさまざまな活動を行ないたいと考えている。