自分の「♪」みつけ⑤

近頃、いわゆる「個人事業主」という方を見ていると「本職って何?」と聞きたくなる方が結構いらっしゃいます。

私の知っている人に、ある生物の研究者であり、アウトドアのガイドもやり、農業もやり、ミュージシャンもやっている方がいます。この方は「お仕事は?」と聞かれるととても答えづらく、悩んだあげく「う~ん…色々やっている個人事業主です」と答えているらしいです。

よく日本人はカテゴライズすることが大好きだといわれますが、何らかの項目別に分類しないと落ち着かない国民性なのでしょうか。

私は音楽を聴くことが好きでCDショップ(いまだにデータのダウンロードで音楽を聴くのが好きじゃないので)の棚をよく眺めます。洋楽が好きなのでそっち系の棚を眺めると「ロック」というコーナーと「ヘヴィメタル」というコーナーがあります。「んっ…『ヴァン・ヘイレン』はどっちに入るんだ?」

「洋楽」とか「海外ロック」と大雑把なコーナー分けをしてあれば迷わずそのコーナーの「V」のところを探せば済むのですが、下手に細分化するとかえって分かりづらくなることもあるのです。

また、日本人は1つのことに集中せずに色々なことに手を出していることをあまり良しとしない感覚がありますね。好きなことは1つにしろ!みたいな(笑)

時々、「キャンプと山登りはどっちが好きなんです?」と聞かれることがありますが「はっ?…どっちも好きだけど」

中には仕事量の増減リスクを減らすために色んな業種に仕事を分散させている方もいらっしゃるようですが、ほとんどの方が自分の好きなこと、得意なことを色々やっていたら勝手に色んな業種に手を出していたという人が多いようです。

先程のどっちが好きの話ではありませんが、私はキャンプをしたり、山歩きをしたり、釣りをしたり、ランニングをしたり、写真を撮ったり、バードウォッチングをしたり、地域の文化を調べたり、本を読んだり…色んなことをやっているようですが、それぞれが「信州の自然を楽しむ」ための活動であって、全てが1つの目的でやっていることです。

さらに細かく見ると…私の好きな写真撮影。元々は鉄道好きが高じて中学生の頃に電車の写真を撮ったのが始まり。そのあと一旦鉄道への興味がなくなり風景写真を撮るように。子供ができてから子供を連れて電車を見に行くようになり再び電車を撮るようになり、その頃からある著名な鉄道写真家さんの手解きを受けるようになったからベースは鉄道写真と言えるかもしれません。ただ、最初に写真の撮り方を教わったのは風景写真を撮っていたウチの親父。最近は自然観察の資料として植物や昆虫の写真を撮ることも多いし、街角の人に声をかけてポートレートを撮らせてもらうこともある…私にとっては「何を撮るか?」が興味の中心ではなく「撮ること」自体が好奇心を擽るものだからです。

アマチュア写真家のおじさんは必ずカメラの話で盛り上がると「どんな写真を撮るんですか?」と聞いてくる。「何でも」と答えると嫌な顔をする(笑)

写真家のハービー山口さんの有名な逸話に、世界的に有名なパンクバンド「クラッシュ」のボーカル兼ギタリストのジョー・ストラマーと偶然出会った話がある。

当時既にパンクムーヴメントの中心的存在だったジョーを目の前にした山口青年はこんな機会は二度とない!と恐る恐る彼に撮影許可を請うと快諾。そんなジョーが山口青年との別れ際に放った言葉「撮りたいものは全て撮るんだ。それがパンクだ。」

私はこの話をハービー山口氏から彼の撮ったジョーの写真の前で直接聴いたのだが、ずーっと鳥肌が立っていた。

パンクは私より上の世代のムーヴメントということもあり音楽のジャンルとしても正直あまり好きではなかったが、その話を聴いてからパンクムーヴメントの本質に触れたような気がしてカッコよく思えてきた。

そう…「やりたいことは全てやるんだ。それがパンクだ。」

あっそうそう…写真家ハービー山口氏の『良い写真とは?』という彼のツイートをまとめたエッセイ集は、自分の「♪」をみつける後押しをしてくれる1冊になると思いますよん🎵

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