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6月FOMCプレビュー【更新版】

今回のFOMCで75bp利上げ観測が高まり、市場予想の変化が生じたため、6月FOMCの見通しを更新しました。

  • 75bpの利上げに対する期待は、金利先物で急上昇している

  • 消費者予測では、6月の年間インフレ率は3.3%から5.4%に急上昇

  • 新しいFRB予測資料は金利上昇とインフレを示すだろう

パウエルFRB議長は、市場を驚かせることを好まない。

FRBの誰かがWSJのバックグラウンドのインタビューに答えた模様で、WSJのFRB担当のニック・ティミラオス記者は「FRBは今週、0.75%の利上げを考えているようだ」との記事を、米国東部時間13日午後3時過ぎに公開しました。

CME FED watchでの金利予測は、この記事が公開される前では、50bpの利上げを70%前後と見込んでいましたが、公開後は75bpの利上げをほぼ完全に織り込み、リスクはさらに100bpの利上げを想定しつつあります。

5月のFOMC以後、市場は少なくともあと2回の50bpの利上げが行われるものと想定していました。
6月10日に発表された5月の米国CPIが、8.6%という過去4年間の最高値と、前月比1%の上昇で、このシナリオに狂いが生じ、FRBがより急速な利上げを実施するのではとの観測が強まっています。

そこで、当初のシナリオを更新し、改めて3つのシナリオを検討します。

▼当初のシナリオはこちら

75bpの利上げ

75bpの利上げがベースになりました。
市場は、前述のWSJの記事以前からこの可能性に動いていましたが、掲載後からその動きが加速しています。
国債利回りは6月に入り急騰し、10年債はパンデミック後の高値を30ポイント以上更新し、2年債はイーブンカーブを逆転させる勢いです。

株式はNASDAQとS&P500が弱気相場の領域に入り、ドルはすべての主要ペアで大きく値を上げており、米国の金利上昇と世界的な景気後退への懸念という2つの動機によって動かされています。

これらの傾向は、75bpの利上げによって強化されると想定します。

100bpの利上げ

ベースシナリオより可能性は低いですが、無視できない想定になります。
利上げがインフレに対して有効であるために、過去、FF金利はインフレ率以上に引き上げられてきました。
CPIが8.6%の現在、それは不可能ですが、FOMCメンバーは景気後退でさらなる利上げができなくなる前に、できる限りFF金利を引き上げたいと考えているのかもしれません。
第2四半期のGDPは7月のFOMCの翌日、7月28日に発表されます。
次の2回の会合で100bp引き上げ、その後、景気後退に対する世論の反発で停止を余儀なくされれば、FRBは年末の目標である3.0%の上限を達成する可能性が高くなります。
もしFRBが1%の利上げを選択した場合、最近の株式、国債利回り、ドルの動向はさらに強まると思われます。

50bpの利上げ

最も確率の低いシナリオかもしれません。
WSJの記事がニック・ティミラオス記者の憶測の産物である可能性は低いと考えられ、これは意図的なFRBの市場へのコミュニケーションと考えられます。
FRBは毎回、FOMCの前に2週間のブラックアウト期間を設けています。
その制約の中で、FRBが市場にその意図を伝えるには、メディアにリークするのが唯一の方法です。
もしFRBが50bpの利上げとなり、市場を驚かせたとしたら、株式は急騰し、国債利回りとドルは最近の上昇分の一部を取り消すことが想定されます。

予測資料とバランスシート

FRBは年に4回、金利、インフレ率、GDPの予測を更新しています。
3月の発表では、FF金利の年末予想は1.9%、GDPは2.8%、PCEインフレ率はコアで4.1%、全体で4.3%と予想されていました。
2023年末と2024年末のフェドファンド金利は2.8%と予想され、経済成長は来年は2.2%、翌年は2.0%とは緩やかになり、2023年のインフレ率は2.7%、コアで2.6%でした。
この数字は、特に今年と来年については、大きく見通しが変化しています。

4月までのPCEインフレ率は今年平均6.30%、コアPCEは5.15%です。
第1四半期の成長率は-1.5%で、第2四半期は0.9%と推定されています。FF金利とPCEインフレ率の上方修正の程度は、FRBの政策にさらなるシグナルを与えると思われ、これに対して市場は素直に反応し、推定値が高ければ利上げの見通しが強化されることに繋がります。

FRBは5月に9兆ドルのバランスシートを縮小する範囲を定めましたが、その半分は2008年の金融危機後に取得し、半分は今年と昨年のロックダウンによる経済崩壊に対応するものでした。
満期を迎えた証券のロールオフは6月に月475億ドルから始まり、国債300億ドルとMBS証券175ドルに分け、3ヶ月後には各カテゴリーを倍増させて950億ドルまで増加させる予定です。

FRBは、金利上昇を示す修正案を2つ考えているかもしれません。
950億ドルの全額削減は直ちに実施される可能性があり、これは象徴的ですが、9兆ドルのバランスシートに何の影響も与えないので、それ以上のことはできません。
もう一つの選択肢は、FRBのポートフォリオから積極的に売却することで、これはFRBが金利上昇を望んでいるという非常に強いシグナルを市場に送ることになります。
FRBが、国債利回りや商業銀行の金利をどこに誘導するのかについて無限の憶測を呼び起こし、ビジネスと経済の環境を不確実なものにするリスクもあります。

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