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米国 6月消費者物価指数

6月の消費者物価指数(CPI)は事前に加熱することが予想されていましたが、結果はまさに燃えるようなものでした。
CPIは前月比で1.3%上昇し、すでに高くなる設定されていた予想を上回り、前年同期比では9.1%増となり、1981年11月以来40年超ぶりの大幅な伸びとなりました。
FRBにとっては不愉快なことに、この上昇はコアCPIの強さに大きく起因しています。

CPIとコアCPIの推移

食品とエネルギーを除くコアCPIは前月比で0.7%上昇し、さらに悪いことに、コアCPIの上昇は概して広範囲に及んでいます。
コア商品インフレ率は前月比0.8%上昇し、5月の0.7%上昇より一段と加速しています。
小売業者の在庫過剰が指摘されていますが、衣料品は同0.8%上昇し、自動車価格も新車で0.7%、中古車で1.6%と上昇しています。
コアサービス価格は0.7%上昇し、1980年代半ば以来最大の上昇率を記録した賃貸住宅が牽引しました。
また、医療サービス(0.7%増)、輸送サービス(2.1%増)も上昇し、旅行業は、宿泊費が2.8%減、航空運賃が1.8%減となり、物価が下落した分野の一つです。
しかし、航空運賃は、2ヶ月連続で2桁の上昇を記録し、前年比34%増となったため、航空運賃の値下げはあまり印象的ではありません。

過去2ヶ月間のコア商品価格の弾力的な上昇圧力は、FRBにとって歓迎されない展開です。
第2四半期は、食品・エネルギー価格の高騰とサービス・インフレ率が上昇を続ける中、コア商品インフレ率の緩和が唯一の期待となるはずでした。
しかし、過去3ヶ月のコア商品インフレ率は年率6.8%という猛烈なペースで上昇しています。
コアCPI全体では前年比5.9%増と、すでにかなり高い水準にありますが、これでも過去数ヶ月のインフレデータの悪化を控えめに表現している可能性がります。
過去3ヶ月間のコアCPIの3ヶ月年率は7.9%であり、コアCPIがここ数ヶ月で加速している可能性さえあることを示唆しており、低いベース効果と相まって、コアCPIの前年比はまだピークを迎えていない可能性が高いと思われます。

CPI前月比推移

しかし、早ければ来月には、今回の結果が一部緩和する可能性もあります。
エネルギー価格は、自動車燃料が11%上昇し、エネルギーサービス価格も3.5%上昇したため、ヘッドラインの上昇分のほぼ半分を占めています。
しかし、6月中旬以降、ガソリン価格は7%強下落しています。
また、天然ガス価格も急落しており、今後数カ月は光熱費の負担が軽減されると思われます。
食品CPIも緩やかになりそうで、関連商品価格の上昇は6月に転じる前の急激なペースからすでに下落しています。
6月の家庭用消費者物価は1.0%上昇しましたが、原材料、輸送、賃金コストが低下し始めているため、今後さらに大幅な緩和が予想されます。

食品スポット価格と食品CPI

最近の商品価格の下落は歓迎すべきことですが、それだけではインフレ率を決定的に低下させることはできません。
FRBは、コアCPIが低下するまでは、インフレが緩和しているという「説得力のある証拠」を見たとは判断せず、コアCPI低下へのプロセスは、明らかにまだ始まっていません。
さらに、コアCPIは過去3ヶ月で7.9%のペースで上昇しており、物価の安定に近い状態に戻るにはまだまだ時間がかかりそうです。

コアCPI年率と3ヶ月年率

FRBはすでにインフレの定着を懸念しており、それゆえ6月に75bpの超大幅な利上げを実施しました。6月の結果は、こうした懸念にさらに拍車をかけることになりそうです。
FRBの次の動きが50bpまたは75bpの利上げのどちらかに留まるのであれば、75bpが選ばれるのは明らかです。
しかし、インフレがさらに悪化していることから、FRBは7月のFOMCで第3の選択肢として100bpの引き上げを検討している可能性があります。

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