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英国5月消費者物価指数

英国のインフレ率は依然として9%を超えており、最近のエネル ギー費用の上昇もあって、10月以降のCPI前年比はおそらく2桁台 になると思われます。
イングランド銀行(BOE)が8月に50bpの利上げを行う可能性は高まっていますが、現在の脆弱な成長環境では、これ以上の利上げには限界があると想定されます。

英国のインフレ率は、食品価格の大幅な上昇と燃料費の2%増により、9.1%と僅かに上昇しました。

今後数ヶ月の間にCPI前年比が上昇するものと想定されます。これは、6月にガソリン/ディーゼル価格がさらに10%程度上昇することに関連しており、最近の天然ガス価格の上昇や他の物価上昇圧力も考慮すると、10月にはCPI前年比は10%に近づくと予想されます。
この時期にはOfgemが家庭用エネルギー上限を引き上げることになっており、現在の先物価格ではさらに45~50%上昇する可能性があります。しかし実際には、政府の支援金によって、特に低所得世帯ではこれより低くなることも想定されます。

CPI12ヶ月インフレ率への寄与率(2020年5月~2022年5月)

インフレ率が年内いっぱい9%を超える見通しとなったことで、BOEのタカ派がより声高になるのは当然かもしれません。
先週50bpの利上げに賛成したマンMPC委員は、ポンドの価値を守るためにBOEは積極的に動くべきだと主張しています。
しかし、今回の結果は、2カ月連続で予想とほぼ一致し、コンセンサスを上回る数値が続いていたことに終止符を打ったため、25bpの追加利上げを求める勢力を後押しするものと思われます。

FRBが7月に75bpの2回目の連続利上げに踏み切る可能性も高く、BOEがそれに続いて50bpの利上げに踏み切る可能性は高まっていると想定されます。また、市場では、そのシナリオが完全に織り込まれています。
しかし、実際には、成長率が脆弱であり、インフレ率の背景がBOEの手に負えない環境下では、BOEの利上げは限界があると思われます。
10月までにエネルギーはインフレ率全体に5%ポイント以上寄与することになると思われます。

8月に50bpの利上げの可能性はありますが、BOEがFRBと同程度の利上げを行うとはまだ考えにくく、合計で75bpの追加利上げの想定が妥当なラインかもしれません。


TEAM MAGICIANS FINANCEはFXに限らず、幅広い投資に対応することを目的とし、マクロ経済を中心に、米国、英国、欧州、アジア主要国の経済動向を配信し、ファンダメンタルズ分析の基礎を学べるコミュニティです。

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