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米国 6月消費者信頼感指数プレビュー

  • 消費者信頼感指数は106.4から100.4へ低下すると予想

  • 6月のミシガン大学消費者態度指数は50と、過去最低を記録

  • 消費者の不満はあるものの、支出は安定している

  • FRBは消費者信頼感に関係なく、金利プログラムを継続

米連邦準備制度理事会(FRB)と市場が景気後退に警戒を強める中、米国の消費者は相反するシグナルを発し続けています。
過去1年間、インフレが高進したため消費意欲は急落していますが、しかし、過去40年間で最も高い物価にもかかわらず、米国の家計は支出を続けています。FRBが経済のソフトランディングを実現できるという希望は、米国の消費が下落するまで続くと思われます。

コンファレンスボードの消費者信頼感指数は、前月の106.4から6月は100.4に低下すると予想されます。

ミシガン大学が調査した消費者心理は、今月に50に落ち込み、44年の歴史の中で過去最低となりました。消費者心理は、昨年8月に81.2から70.3まで予想外に落ち込み、崩壊し始め、11ヶ月で38%の下落は、記録的な急落です。
インフレが最大の原因であり、消費者は一貫して経済的困難の要因として挙げています。

ミシガン大学消費者態度指数

米国の消費者は、経済状況や個人的な経済状況に不満の声を上げていますが、その消費行動はほとんど変化していません。米国経済は国民によって動かされており、GDPの70%は個人消費が源泉となっています。

小売売上高は、この半年間、前年同期比で顕著に増加しており、昨年12月から5月までの売上高は月平均0.83%増加しました。この増加分のすべてではないにせよ、ほとんどは物価上昇によるもので、小売売上高の数値はインフレ調整を行っていません。
年間の大半を記録的な低失業率で推移した2019年の小売売上高の月平はは0.45%でした。

個人消費支出(PCE)とインフレ調整後の実質PCEとの対比では、昨年12月から4月までの5ヶ月間、PCEは平均0.82%であったのに対し、インフレ調整後の実質PCEは0.28%に過ぎません。
PCEの月次上昇の大部分、正確には3分の2はインフレによるもので、購買量の上昇によるものではありません。消費者は支出を止めてはいないかもしれませんが、消費の数字が示す見出しの増加は、物価上昇によって大きく歪められている可能性があり、小売業者、輸入業者、製造業者による実際の購入額の増加は、はるかに小さいものかもしれません。

小売売上高の結果と企業の実質的な利益との間にも同様の差があると想定されます。
賃金・所得は1年以上インフレ率に劣っており、平均時給(AHE)の月次上昇率がインフレ率を上回ったのは、2021年3月が最後となります。 可処分所得は昨年12月から4月までの月平均で0.12%の増加しましたが、インフレ率で補正した実質可処分所得は、月額0.42%減少と大きな差が生じています。

市場は米国の景気後退を予測しています。
インフレによる消費者の購買力の低下とFRBの利上げが重なり、第2四半期には景気が減速し、景気後退の定義に合致すると予想されています。
FRBは物価に対して強硬な姿勢を示しており、市場は7月27日のFOMCで75bpの利上げが行われる確率を93.9%と見ています。

ワイルドカードは消費であり、消費の先行指標は消費者心理です。ミシガン大の消費者心理が歴史的な急落に見舞われたにもかかわらず、消費は比較的よく持ちこたえていますが、消費者心理の落ち込みが長引くと、消費への影響も大きくなります。

コンファレンスボードの消費者信頼感指数は、歴史的にミシガン大の調査よりはるかに楽観的でした。
例えば、ミシガン州の6月の数値は50で、2008年と2009年の金融危機の際の最も弱い数値を下回っているのに対し、コンファレンスボードの5月のスコアは106.4で、6月の予測も100.4と、10年以上前の金融危機の時の30以下という数値をはるかに上回っています。

コンファレンスボード消費者信頼感指数の推移

米国経済はリセッションに入るか、それに近い状態にあるとも想定されており、6月の消費者信頼感が弱ければ弱いほど、これらの想定に根拠を与えることに繋がります。


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