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GBP/USD 来週のポイント

  • ポンドドルは、重要なFRBとBOEの決定を前に、レンジを下抜けした

  • 成長率とインフレの懸念が再燃する中、リスクオフの流れが優勢となる

  • FRBとBOEの政策乖離が鮮明になれば、ポンドドルは後退

今週の振り返り

マイナスで週を終えたポンドドルは、次の方向性を探るため、来週のFRBとBOEの金融政策決定を待っています。
今週は、景気後退の危機とインフレ率の上昇をめぐる緊張が高まりが金融市場を支配し、安全資産であるドルが有利な展開となりました。
一方、英国の政治的な不安と厳しい経済見通しがポンドの重しとなっています。

ポンドドルは、少し下げて始まり、週を通してレンジで変動しています。
ブルズは、1.2400付近でのサポートを試しつつ、引き続き1.2600を目指しました。
多くの市場参加者は、英国の政治的緊張と世界的な景気後退の可能性のリスクの中で、ポンドドルに新たなポジションを置くことを控え、傍観の姿勢を保ちました。

月曜日に1.2480付近でサポートを見つけ、週明けの取引日に小幅な反発を見せました。ジョンソン英首相が、首相と保守党党首の地位を維持するための信任投票に備える中、ブルズは希望を持ち続けました。
週明けは、欧州のウィットマンデー休暇を考慮した薄商いの中、リスクフローが戻り、ドルは上値が重く、投資家は主に北京の新型コロナ規制緩和のニュースを好感しました。

火曜日にジョンソン首相の信任投票が行われ、211人の議員が賛成票を投じたことで、ポンドドルも上昇しています。
しかし、英国の政治的不安は依然として残っており、1922年委員会の議長であるグラハム・ブレイディ卿は、今後1年間は信任投票ができないという猶予期間に関する規則を変更することは技術的に可能であると述べ、ジョンソン首相の在任中に再投票が行われる可能性が復活しました。
また、ジョンソン首相による新政策の発表を前に、市場は依然として不安を抱いており、この日の相場は、1.2600付近でレジスタンスに遭い、2週間ぶりの安値となる1.2430まで下げています。

世界銀行とOECDが2022年の成長見通しを下方修正したことで、景気後退の可能性に対する懸念から、ドルに対する安全資産としての需要が復活したため、水曜日から流れはポンドドルはベアに傾いています。

原油価格の高騰はインフレ懸念を増幅させ、主要中央銀行による積極的な金融引き締めへの期待感を高め、市場の沈滞ムードを助長しました。
オーストラリア準備銀行(RBA)と欧州中央銀行(ECB)が、インフレを抑制するため、政策会議で予想以上にタカ派的な評価を下したため、懸念が現実のものとなっています。

ポンドドルは再び1.2400付近の数週間ぶりの安値に向かいました。
ジョンソン首相は政策演説を行い「英国は過去よりも良い状態にある」と述べ、「ウクライナ情勢に即効性のある解決策はなく、すでに猛烈なインフレ圧力を煽っており、今後も続くと予想される」と付け加えました。
市場参加者は、このジョンソン首相の演説を精査しています。

リスク回避は引き続き勢いを増し、ドルの上昇を後押ししました。
また、国債利回りは金曜日に発表される米国CPIを前に月間最高値を更新し、ドルの上昇をさらに後押ししています。

金曜日に発表された米国の5月消費者物価指数(CPI)は、4月の8.3%から5月には8.6%となり、40年ぶりの高水準に押し上げられました。
食品とエネルギー価格の変動を除いたコアCPIは6%に低下しましたが、市場予想(5.9%)を上回っています。米国CPIを受け、安全資産フローが市場を支配し、週末を前にドルは強さを増し続け、ポンドドルは1.2350を下回る数週間ぶりの安値に急落しました。

来週の見通し

来週は忙しい1週間になりそうです。
月曜日には、英国の4月の月次GDP、鉱工業生産などが発表されます。
火曜日の経済指標は比較的忙しく、英国の雇用統計に続き、米国の生産者物価指数(PPI)の発表が予定されています。
木曜日のイングランド銀行(BOE)の政策金利発表の前に、米国小売売上高とFOMCの政策決定が大きな市場の動きとして浮上します。

FRBは6月のFOMCで事前公約通り50bpの利上げに踏み切る可能性が高く、9月の利上げ規模に関するヒントは、ドルの評価を精査し、最終的にポンドドルに影響を与えることになります。

BOEは、木曜日に25bpの利上げを行い、8月4日の次回政策決定会合でさらに25bpの追加利上げを行うと予想されています。
しかし、BOEがインフレ対策と同時に成長のバランスを図るため、主要金利を1%に据え置くシナリオも完全には否定できません。
BOEの議決構成、利上げガイダンス、インフレ見通しが、ポンドの次の方向性の鍵を握ると思われます。

金曜日には、英国小売売上高、MPCメンバー発言で1週間を締めくくることになります。

ポンドドル日足チャート

テクニカル目線

5月中旬に付けた安値圏から戻りを付け、その後1.2400-1.2600のレンジを形成した後に大きく下落しています。
レンジからの下落のため、ベアの勢いが増したことが示唆されています。
日足では2月24日以降、紫SMAを上に抜けておらずペア派がポンドドルの動きを支配していることが確認されます。

下降局面では、キリ番の1.2300が最初のサポートとして機能するかどうか、ここを終値で下回った場合、3月下旬に始まった下落トレンドの終点である1.2200に向けて下落し、1.2150で2年ぶりの安値にタッチする可能性が視野に入ります。

上昇局面では、1.2500を上抜けると先週のレンジ下限に戻ることになり、ここがサポートとして機能し始めると、先週のレンジ上限の1.2600、紫SMAが下降してくるであろう1.2650に向けて回復する可能性があります。

<参考>
紫SMA 60、青SMA 240、赤SMA 720、茶SMA 2880

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