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監督からのメッセージ

HIDARIのクラウドファンディングをご支援いただいている皆様、本プロジェクトをサポートいただきありがとうございます!

世界中のたくさんの方々にサポートいただき、さらにYouTubeなどでもたくさんの熱い応援コメントをもらい、これはなんとしても長編映画化しなくては!という気持ちをさらに強めました。自分が観たいと思ったものをともかく全部つぎ込んだ作品に対して、同じように思ってもらえる人がこんなにも沢山いたことを本当に嬉しく思います。

僕はこれまでたくさんのミュージックビデオやデジタルコンテンツなどを作ってきました。その多くは「見たことないビジュアル・アイデア」を使った、映像ギミックを中心とした作品が主でした。例えば「Webcamだけで撮影されたミュージックビデオ」や「カメラのストロボでできた光のアニメーション」や「映像に触った気分になれる擬似ハプティック体験」などです。しかし本作では「木彫り人形によるストップモーションで、木彫り職人の話を描く」というアイデアの上に、はじめてオリジナルキャラクター(左甚五郎という元ネタはあるけど)から考えた「物語」のある作品づくりにチャレンジしました。物語が必ずしも必要ない短尺の映像とは違って、ストーリーのある長尺作品は、そもそも成立させるために必要とされるアイデアの質が全然変わってきます。それを作りながら学びつつ育てていく、刺激的なプロセスでした。

多くの人はもしかしたらこの「物語」が気になっているのではないかと思います。今回のパイロット・フィルムでは予算や時間の都合で、5分程のフィルムしか制作できないと判り、その時点で今回はアクションシーンにほぼ全エネルギーを注ごうと決めました。まずはこの「木彫り人形を使ったアクション満載のストップモーション」という映像を可視化して、その凄さを証明したいと考えたからです。しかしそのため、肝心の物語の部分がかなり削られてしまいました…。でも実はこのパイロットフィルムを作るにあたって、20稿ほど「物語の全容」を書き直していて、今は大体80%くらい長編シナリオが完成しています。その長編の物語や世界の全体像が存在していたからこそ、5分だけを切り取っても、描かれている以上の長大ストーリーやキャラクターの背景を想像できるような作りにできたのかなと思います。まだ多くは語れないのですが、長編では歴史上本当にあったイベントや実在の人物などとファンタジーをミックスし、甚五郎のオリジンや、復讐の結末が描かれる予定です。孤児だった甚五郎が大工棟梁の甲良宗良(彼は実在の人物)に拾われる話。江戸城改築工事(これも実在の史実)の際に陰謀に巻き込まれ親方や右腕を失う話。復讐を誓い鍛錬を重ねて強靭な体とカラクリ義手を手にする話。そして敵討ちの果てに、ついに黒幕が操る巨大ロボと化した江戸城との決戦を繰り広げ、それが後の世では「明暦の大火」と呼ばれるようになる話。このように史実とファンタジーが絡み合う物語が展開する予定です。パイロットが完成したばかりではありますが、制作パートナーや80〜90分の制作に必要な資金を確保出来次第、長編制作に着手したくてウズウズしています。

ここまでの制作裏話を読んでくださったらお分かりのように、本作はこのチームの誰一人欠けても成立することができなかった作品です。全員がそれぞれの一隅を照らしまくった結果、誰も見たことない太陽のように眩しい映像ができたと心の底から思っています。キャラクターデザインをはじめコマ撮り監督として不慣れな僕に足りないものを補い続けてくれた共同監督の小川さん、木彫りの人形をここまでの完成度でデザインし甚五郎や犬丸に命を吹き込んでくれた八代さん、超絶かっこいい変形可能な犬丸ロボを作ってくださった武内さん、この世界の空気までも感じるような細やかな美術を制作してくれた能勢さん、それが一番美しく見える光で照らしてくれた加藤さん、驚くようなアクションシーンをストップモーションで実現してしまった稲積さん&オカダさん、そのありえないはずの世界にリアリティを与える素晴らしい音を作ってくださった勝亦さん、ドンピシャすぎる最高の音楽を提供してくださったSPIN MASTER A-1 & Shing02…。そして今回のプロダクションノートでご紹介しきれなかった他大勢のスタッフのみんなも、本当にありがとうございました!

最後に、僕が幼少の頃から観てきた、この作品のインスピレーションとなった作品の数々や、そのクリエイターたちにリスペクトと感謝の意を表したいと思います。小さい頃に見て衝撃を受けた「アルゴ探検隊」の骸骨兵や「タイタンの戦い」のメデューサといった傑作ストップモーションクリーチャーを生み出し続けたレイ・ハリーハウゼン、スターウォーズのAT-ATやロボコップのED-209や最近ではMad Godというヤバい作品を作り上げたフィル・ティペット、「道成寺」や「火宅」といった作品で日本の美とストップモーションを繋いだ先駆者・川本喜八郎さん、ビビりながら見た魔人ハンターミツルギ、金田伊功さんから今石洋之さん・吉成曜さん・亀田祥倫さんなどに繋がるジャパニーズアニメーションの唯一無二なアクションシーンの数々、300・Kingsmen・Raid・用心棒などの殺陣、Kill Bill・John Wick・Old Boy・修羅雪姫といった復讐劇、シグルイ・ベルセルク・火の鳥鳳凰編・死霊のはらわた・丹下左膳などの隻腕ヒーロー物語… (これは書けば書くほど出てきますねw )

お伝えしたかったのは、様々な先人たちの素晴らしい映像や物語の数々が僕に与えてくれた影響によって、この作品は出来上がっているということです。僕らのHIDARIはまだ完成こそしていませんが、同じように次のクリエイターたちのインスピレーションになれることを願っています。

みなさま今後とも、HIDARIへの応援、よろしくお願いいたします。
ぜひ長編映画を楽しみにしていてください!

川村真司 拝

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