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「損しない」求人票の作り方【概念編】

こんにちは。
TEAM FORWARDの竹田です。

少しずつ春の息吹を感じる季節になってきました。
私の自宅ワークスペースは窓が3つあり、よく風が通るのですが、
ふわっと気持ち良い風が吹くと、何かが始まるようでワクワクします。
忙しい日々の中でも、季節の変化を感じる感性は持っていたいものです。

さて、本日は「損しない」求人票の書き方です。
仕事柄、毎日たくさんの求人票、求人広告を見るのですが、
「あーもったいない!」と思うことがよくあります。
誤解を恐れずに言えば、"誰にも届かないであろう求人票"が溢れているのです。
直接お話をする機会がある方には、おせっかいがてらアドバイスをさせて頂き、「竹田さんに言われたとおりやったら応募増えたよー!」なんて言って頂けることもあるのですが、お会いできる方は限られていますので、少しでも多くの方に届くと嬉しいです。

求人票の前提条件

求人票は「採用したい人に応募してもらう為のラブレター」です。素敵なラブレターを書く為には、準備が大切です。まずは以下のことをチェックしてみてください。

採用したい人は明確になっていますか?


起きやすいエラーとしては、求人票を作成する人(主に人事担当)と面接官(現場責任者や経営者)が異なる場合に、採用したい人の認識がずれているというケースがあります。面接官がジャッジする観点が求人票に盛り込まれていなければ、採用したい人と会えないのは当然です。
「私はいい人だと思うんですけど、現場が全員書類NGにするんですよねー」こんな話、実は結構あります。無料ならまだしも、有料サイトでこれをやるのはあまりにも費用がもったいなさすぎます。
人事サイドからすれば、採用環境の厳しさがあり、現場サイドからすると即戦力が欲しい、というニーズがある。この落としどころを事前にしっかりすり合わせしておきましょう。落としどころを見つける為の第三者として外部人材を入れるというのも一つの方法です。

転職したい人が何を求めているか知っていますか?

出展:転職動向調査2022年版(2021年実績)/株式会社マイナビ

多くの人は、在職中に転職活動を行っています。職が無いから探している訳では無く、「何かを変える」為に転職をするのであり、それが叶えられないのであれば、転職する必要はありません。これだけ世の中に転職したい人が溢れているにも関わらず、実際に転職するのは労働人口の5%程度であるのはここに理由があります。
貴社の求人票には“わざわざ”転職したいと思う何かが含まれていますか。今一度、見直してみましょう。

万人に届けようとしていませんか?


「うちの会社は給料が高い訳でもないし、他との違いなんてない」こんな声も聞こえてきそうです。では、今貴社で働いている社員の方たちは数ある企業の中でなぜ貴社に入社したのでしょうか。そこには必ず理由があるはずです。
万人に届かなくても、採用したい1人、2人に届けば良いのです。採用環境が厳しい為、なるべく多くの人に届けようとしてしまいがちなのですが、逆効果です。なんといってもラブレターです。
パターン①「仕事でトラブルが起きた時に、忙しいのに深夜まで一緒に作業に付き合ってくれて、上司にも"彼女のせいじゃない"と庇ってくれたと聞きました。そんなあなたのことが好きになりました。付き合ってください。」
パターン②「職場でいつも優しくしてくれるあなたと付き合いたいです。」
こう書けば、どちらが届くか(そしてその結果も…)明白だと思います。
しかし、実際には、パターン②のような求人票がたくさんあるのです。
・未経験歓迎
・先輩がしっかりフォローします
・安定企業です
・なるべくたくさんの人と会いたいと思っています
こんなメッセージを見て「この会社は私を求めているんだ!」と思う人がいるでしょうか?
メッセージはなるべく個別具体的であるべきです。そして、相手を知らなければ何を具体的に書けば良いかは分かりません。きっとそれを一番知っているのは、職場にいる社員の皆さんです。ぜひ聞いてみてください。人事評価への影響や気恥ずかしさから本音が出てきにくい場合は、社外のキャリアコンサルタントなどを活用する方法もあります。

求人効果測定をどこで行うか

どこを向いても「採用が難しい」と言われる中で、そんなことをして本当に人が来るのか?これは、何を以て効果があったとするか、によって異なります。
私は、「会いたい人と何人会えたか」を測定項目とすべきであると考えます。特に費用を掛けて求人広告を利用する場合などは、「X応募くらいは出ると思います」「同業他社でX応募来ています」という営業トークや、「採用出来なかったですけど、X応募は来ましたよね」という振り返りトークを耳にしたことがある方もいらっしゃると思います。
しかし、会いたくない人から何人応募があっても仕方がありません。20代を採用したいのに、40代以上の応募がたくさんあっても、不採用連絡をするのが大変になるだけで、むしろ工数分マイナスです。また、サイトの特性によって応募しやすい設計になっているものもあります。定期的に応募があると何となく安心してしまうのですが、応募数という文脈で効果を議論することは危険です。
また、「会いたい人と会えた」以降、つまり選考フェーズでの不採用や辞退などは、選考プロセスや動機づけ力、主観にならざるを得ない人柄などの要素が大きく、基本的には広告効果ではないと考えます。この場合、見直すべきは広告内容や媒体選定よりも、選考プロセスや場合によっては採用基準の目線合わせであることが多いです。
実際に私がお手伝いさせて頂いてる企業では、世間平均と比較して応募数が多いということはありません。同じか、若干少ないくらいだと思います。ただし、応募から採用までの歩留まり率の高さは評価を頂くことが多く、結果的には関わっている求人案件の採用率は高いです。
応募数は多く無いので、私自身も毎回緊張しますが、ベストだと信じるラブレターを届けたら、それ以上のことは出来ません。求人広告の営業マンは“応募ゼロ”が怖いので、1人でも2人でも応募が出る方法をチョイスしがちです。最悪の場合、お叱りを頂くとしても、私は最も採用可能性が高い方法を選択します。自分とお客様が信じる「勝ち筋」に懸ける覚悟です。

採用成功のハンドルは自社で握るべき

自社採用の強みや勝ち筋は、自社で握っておくべきです。
以外と見落としがちなのですが、
求人広告会社の営業は基本的に転職希望者と話したことが無く、個人情報保護の観点から企業の応募者情報なども閲覧することは出来ません。立ち話程度はあるかもしれませんが、転職の本音を深く聞いたことがある人は採用担当か人材紹介のキャリアアドバイザー経験者くらいでしょう。
しかし、転職希望者アンケートなどのデータはたくさん持っています。結果、データから導き出される結果を基に提案を行うので、求人広告に表現される内容もどうしても抽象的にならざるを得ません。首都圏で大量採用をするような場合にはこの方法がマッチしていますが、地方の中小企業採用は「この採用を待っている誰かにラブレターを送る」作業です。世の中にどんな人がいて、何に悩み、苦しみ、リスクを負ってまで転職を決意するのか、を知っていれば、「敵を知り、己を知れば百戦危うからず」です。
また、求人広告を作成するライターや営業の方も、プロとはいえ、頭は一つしかありません(当たり前)。毎日求人広告を作り続けている人が30分、1時間という時間でヒアリングした情報は、その人の思考の“型”にはまりがちです。こういう求人が大量生産された結果、
・どの求人が自分に向いているのか分からない
・どれもいいことばかり書いてあって、何が本当なのか分からない
という転職希望者の声なき声が聞こえるようになり、
有名企業や待遇の良い企業に応募が集中し、
中小企業で採用できるのは採用ハードルが低い企業、という現象が起きているのだと感じます。

昨今、様々な採用ツールがありますが、今一度原則に立ち返れば、採用は企業と転職希望者の2者間で行われるものであり、それ以外は全て媒介手段に過ぎません。ツールは使うものであって、使われてはいけません。その為にも、自社の勝ち筋は自社で握っておきましょう。

あとがき

具体的な求人票のテクニックに関する記事を書くつもりだったのですが、前提条件を書いていたら3000文字を超えてしましました。。従って、無理やり後付けで【概念編】としました。笑
近日中に【テクニック編】を公開するので、カミングスーンということでご容赦ください。
文章が長くなるのは私の悪い癖です。スミマセン。