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INTERVIEW with the artist 真っ新な世界に現した頭角 -人生の文脈をたどる- #4

"INTERVIEW with the artist 真っ新な世界に現した頭角"、クリエイティブ系制作チーム、team Alliesのメンバーが夢を持って挑戦するアーティストの方々にインタビューをさせていだだく連載コラム企画です。 

INTERVIEW with the artist 第四弾。
今回、大阪府八尾市を拠点とするBlankMapの淡路さんと山本さんにインタビューしてきました。「アート思考なまちづくり」をテーマに、“明日をちょっと良くする”取り組みをしているおふたり。1ヶ月後に起業を控えた今、BlankMapさんが思い描く未来図を聞いてきました。 (この記事は2021年6月25日にインタビューしたものです。)
 

Q1. BlankMapさん(以下敬称略)の名前の由来はなんですか?
 
A.淡路さん:名前は特にこだわりはなくて、最初に集まった時に名前の候補をいくつか持ち寄った中の1つです。もともと名前は何でも良かったので一番それっぽいやつを選びました。その証拠に僕のアイデアではなくて、テザイナーの山口のアイデアが採用されました。インスタにある「白地図に1歩目を踏み出していく。」というのは後付けで、ぐっさん(山口さん)以外は名前をつけるのが苦手なんです。

BlankMap Instagram ▼
https://www.instagram.com/blank.map

Q2.BlankMapを立ち上げようと思ったきっかけはなんですか?

A. 淡路さん:学生団体でいうと僕の一人の活動が手一杯になったことが大きいです。とてもしんどくて、朝の5時半からバイトして、帰ってシャワー浴びて大学行って、夜はずっとイベントの打ち合わせやら何やらで、生産性も低いし、限界がきました。仲間を探していた中で数名に声をかけたという感じです。会社でいうと僕は一人でも挑戦したいという思いが大きかったので、それに乗っかってくれているのが今のメンバーです。

山本さん:僕は、淡路から電話をもらった際に当時の学生団体に加入しました。学生団体から会社として立ち上げることになったときは、誘われたというより成り行きでって感じですね。起業するのは、できることを増やそうという意識で、社会的に信用が得られる法人という形にしました。

淡路さん:起業するのは、皆んなが思ってるほど大ごとではないです。学生団体から会社に変えようと思ったのは、ビジネスコンテストに2次審査で落ちたのがきっかけですね。良いビジネスアイデアなのに、経験や実績不足で、勝ち上がれませんでした。いつかは起業したいなと思っていたので、考えたビジネスアイデアを磨いて、会社を立ち上げようと思いました。

山本さん:「会社を立ち上げようと思う」と淡路が言ってきたときは、そんなに重くは捉えてなくて、やりたいことがやれる機会が増えるならやってみようかなという思いで始めました。

淡路さん:ビジコンに落ちたのが今年の2月くらいなので、起業しようと思って準備を始めたのは3月くらいですね。8月の頭に起業する予定で、クラウドファウンディングの目標18万円を今日(2021年6月25日)達成しました。

一同:「おめでとうございます!!」拍手(^^)

Q3.BlankMapの活動理念である「明日をちょっと良くする」ですが、何を良くするという目的で掲げられたのでしょうか?

A.淡路さん:「良くする」の意味はチームのメンバーそれぞれ違うと思います。BlankMapは1つのチームだけど、良い意味で個人主義的にメンバーそれぞれが好きなことをやっているんです。僕の場合だと、「良くなる」の対象物が周囲の人であり、まちであり、アートであり、僕の関わる全てだと認識しています。「ちょっと」というのも含め、すごく曖昧な表現ですけど逆にそこにこだわっています。曖昧な中でそれぞれが成⻑していきながらちょっとの範囲を明確に広げていけるといいなと思います。


Q4.今後の活動として、どのようなことをされるおつもりなのでしょうか?
 
A.淡路さん:1個目の活動は商店街でのアーティスト支援です。やりたいことというよりは、やりたいことをやるために必要だからやる。という感じです。学生が作った絵やデザインを、企業のチラシや名刺作成の際に使ってもらえるよう売りこんでいくという事業を考えているのですが、それをするために学生アーティストとの繋がりを作る必要があるんです。大人のアドバイスももらって活動しています。
 

Q5.「アート思考なまちづくり」とはどのようなものですか?

淡路さん:僕が勝手に決めました。「13歳からのアート思考」という本を読んで面白い、響きが良いと思って。人として生きていくための心地よさ、一見無くてもいいけど生理的に求めているようなもの、精神衛生的になくてはならないものを考え続けて、まちというフィールドで表現することだと思っています。
例えば、八尾で長屋を改装してコミュニティを作るという活動をしていますが、学生アーティストたちも別に仕事が欲しいわけではない。自分の興味があることを自分のために伸ばしていきたい。ここで好きなことをやって、好きな人を応援したい。という想いを後押ししたいと思っています。

末永 幸歩著 「13歳からのアート思考」



山本さん:まちで暮らす一人一人が自己を探求し、興味を深掘っていくことで新たな可能性が生まれると信じてて、そんな可能性を広げる機会や場をBlankMap が提供することで、人々の興味や想いでまちの魅力を引き上げることだと考えています。今の若い人たちは自分の思いを表現したいけどできていないことが多いなと思っていて、実際自分もそうなのですが…
長屋のコミュニティはそんなまちの人が思いを語れる場所にしたいと思っています。それがアーティスト支援にもつながっていると思います。

BlankMapの運営しているコワーキングスペースNuts Instagram▼

 https://www.instagram.com/coworking_nuts

コワーキングスペースNutsの外観
コワーキングスペースNutsの内観

Q6.地域を活性化させたその先の目標はありますか?

A. 淡路さん:あんまり考えてないですね。今興味があることをやりたいです。長い期間まちの人と関わっていないと信頼は得られないので、まちの中で頼ってもらえる存在になってから考えたいと思います。


Q7.事業を通して解決したい環境問題や社会問題はありますか?

A. 淡路さん:学生が挑戦できる社会にしたいですね。高校生の時に、学校のイベントで2泊3日広島の離島に行き地域の良さを知る機会がありました。それが自分にとっていい刺激となり、それまで特に勉強もしない腐った学校生活を送っていたけど、色々な地域のイベントに参加するようになったんです。僕はその経験から力をもらえたので、地域へ恩返ししたいなと思って今の活動をしています。

山本さん:僕も学生が挑戦できる社会にしたいし、やりたいことが見つからない若者の挑戦を後押ししたいです。僕は八尾にこだわっているのですが、きっかけは八尾で一人暮らしを始めたことですね。マンションのウェルカムパーティーで3回生の先輩に八尾のボランティア団体「はちのじ」に誘われました。先輩に憧れを抱いて「はちのじ」に入ったのですが、それがターニングポイントですね。社会人の方と会える機会があったのですが、いい人ばかりで、ほんと良くしてもらって、自分たちもこの街に還元していきたいなという思いでやってます。

学生団体はちのじ▼
https://pando.life/8noji-8ao8ao8


Q8.活動する上で大切にしていることはなんですか? 

A. 淡路さん:主観で満足しないようにあえて一歩引いて俯瞰から批判的に考えることですね。自分で考えたアイデアって自分の中では完璧だと思い込んでしまいがちじゃないですか。だから、ストップをかけられる人がメンバーの中で1人はいたほうがいいと思っていて、それを僕がやってますね。だから他のメンバーは意見とかアイデアを言うのが嫌かもしれないです。僕がストレートに批判的な見方をしたり、物申したりするので(笑)でもどんな団体でも、代表がちゃんと意見を言えることは大事なんですよ。
あと大事にしていることは、好きなことをやるために嫌なこともやるってことですかね。今まで自分は嫌なことから逃げて、好きなことだけやってきました。学校を休もうが親に何も言われなかったですし。でも、こういう活動をやっていると9割くらいがしんどいんですよ。それを我慢して楽しいことをやるために頑張ってます。

山本さん:僕は、自分自身がアート思考を心掛けることを大事にしてますね。もともと、やりたいことを主張することが少なかったため、そんな自分を変えるためにも挑戦の中で自分のやりたいことを形にすることを意識しています。淡路がストッパーの役割なら、僕はどんどんやりたいを形にする役割だと思っています。


Q9.学生が挑戦できる社会にするために、BlankMapさんはどういったアプローチ考えられていますか?

A. 淡路さん:今やっている全ての事業は、学生が挑戦できる社会にすることにつながっています。意図していなくても考えつく事業が自然とその方向になるんです。僕も山本も学生としていろんな活動をしている中で、「社会がもうちょっとこうなったらいいのにな」っていうのが思いつくんだと思います。学生を応援できる社会にしたいんですよ。


Q10."会社を立ち上げたいけど一歩踏み出せない人"にアドバイスはありますか?

A.淡路さん:僕自身はやるかやらないかの選択肢で悩むことはないですね。何をやるかで悩むことはありますが。悩むならやらないほうがいい。もし今やるかやらないかで悩んでいるのであれば、今はまだやるべき時ではないのかもしれませんね。

Q11.お二人が影響を受けた人物を教えてください。

A.淡路さん:一般社団法人Nanoful代表の鎌田亮太郎ですね。高校からの仲でいつも自分の一歩前を走っている人です。彼は途上国支援をしていて、教え合う関係ではないが、彼が頑張っているから自分も頑張ろうと思える関係です。考え方や姿勢を見ると影響を受けますね。

一般社団法人Nanoful▼
 https://nanoful.or.jp

山本さん:特定の誰かではないですが、八尾で活動されている社会人の方々に影響を受けました。楽しみながら活動している方が多く大人だけど子供心を忘れていない雰囲気があって、学生が挑戦することに前向きで。学生団体で社会人の方々と活動する中で、こんな大人になりたいと思ったし、人がまちの魅力になることに感動しました。やりたいことをやっている人はかっこいいし憧れです。もちろん淡路のことも尊敬しています。

Q12.Blank Mapの今後や事業の将来について教えてください。

淡路さん:僕自身の「面白い」がみんなの「面白い」になって、小さなコミュニティの中で経済的にというよりも人と人との繋がりを創出して生きがいを生むということ、そのツールとしてアートを用いることに注力したいです。 
今までいろんな街を見せてもらう機会があったんですが、大体街に1人はすごい人がいるんです。その人が何か言ったら街が動くみたいな。僕はそうなりたいです。人々に信用されて、任せてもらえるような人に。地域とアートは相性がいいと思ってて、理想のまちづくりのためにアートを用いてます。岡本太郎の「今日の芸術」って本がおすすめですよ。

岡本太郎著「今日の芸術」

山本さん:BlankMapのつくる「ちょっといい明日」のファンが増え、結果的にまちの活性化につなかがればいいと思っています。学生と企業や、人と人がつながる中で、やりたいことに挑戦できるまちが形成されていくことを目指します。 ファンを増やしたいっていうのはずっとあって、人であろうが会社であろうが、結局はファンだなって思います。面白いことやってるなって推してもらえて、企業がお金を稼ぐだけの箱にならないようにって思っています。ファンが増えることで、自分たちの影響力が大きくなっていって、BlankMapが運営している街ができたらいいなと思います。BlankMapが人と人とのつながりを生んでいきたいです。その中で今、アーティストと企業、またはアーティスト同士のつながりを作ろうとしています。

たくさんの質問に答えていただき、ありがとうございました。
ここからは、あるテーマについて淡路さんと山本さんの対談形式でお話を伺っていきたいと思います。


Q.ここ数年新型コロナウイルスの流行により、大きく様々なことが変化しましたが、コロナ禍の社会についてどう思われますか?

山本さん:自ら動かないと何もできない世の中になったんじゃないかと思う。団体やってても一歩目が踏み出せない子たちっていつまでも踏み出せなくて、動くメンバーって固定されちゃうんよな。意欲の低下があると思う。

淡路さん:1人で動ける人が減ったな。周りの人が動かなきゃ自分も動かないみたいな。実際1人で動くって難しくて、動き出したとしても、1人だとどうしても疲れたタイミングで一休みしちゃったりするから。

山本さん:コロナが動かない言い訳になってるよな。

淡路さん:そうやな。コロナがあっても別にちょっと外出られへんくらいで、あんまり大きくは変わってない。イベントはできないかもしれないけど、イベントの内容を考える時間はある。「コロナ明けたら、すぐイベントできます。」って状態にできるはず。

山本さん:人の目を気にしちゃう問題はあると思う。僕自身もそうだったし。僕が何かやるきっかけを作ってくれたのは淡路やと思うし、「人の目を気にしすぎるな」っていうのは淡路自身が団体で体現していることだと思う。

淡路さん:俺は人に何言われようが関係ないと思ってる。知らん人にまで気を使う必要はないし、気を使いすぎると自分がしんどくなる。それでも人目を気にする人はいるから、背中を押したいなって思ってて。性格を変えるのは難しいし、1人でやるよりみんなでやろうって考えてる。やりたいことがあるなら、失敗できる年齢で挑戦したほうがいいと思うし、好きなことで生きていくのであれば、覚悟も必要やな。
 

学生が挑戦できる、学生を応援できる、そんな街を実現するため活動している淡路さんと山本さん。その一歩目として、アートで人と人とをつなげる活動をしています。彼らのつくる街がこれからどう発展していくのか、楽しみです。

この記事を読んだあなたに、自分のやりたいこと、挑戦したいことに向けて、一歩踏み出す勇気を与えられたなら、このインタビューは成功です。

インタビュー=Aoi (team Allies)
記事=Yatch (team Allies)

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