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【定着率改善】採用で競合他社に勝つための環境整備

こんにちは!

突然ですが、経営者の皆様は良い人材と出会うために、どんな『下準備』をしていますか?

ハローワークやindeedに、自社が希望する条件の求人を掲載する"だけ"で終わっていませんか?

これは特に地方の中小企業などに多いケースなのではないかと思います。

中には既存の従業員に対して『紹介してくれたら○○万円』など、社員紹介制度を導入している企業もあるかと思います。

ホームページやSNSで採用に関する情報を発信をしている企業もあるかもしれません。

しかし、上記は全て採用の『下準備』の上に成り立つものです。

例えば店舗の集客を行う時、商品やサービスが無いのに広告を打つ方はいないかと思います。

集客してお客様に足を運んでいただいても、良い商品・サービスが提供できなければ、リピーターになっていただける確率はかなり低いでしょう。

同じように何の下準備もなく、とりあえずこちら側の希望で求人を出し、なんとなく採用していては、良い人材には巡り合えず、定着もしてくれません。

これまでの時代は働く世代の人口が多く、企業は多くの人材の中から欲しい人材を選ぶ側でいることができました。

ですが残念ながら、時代は変わってしまいました。

下のグラフの通り1995年以降、日本の生産年齢の人口は急激に減少しており、その流れは今後も加速していく見通しです。

引用元:総務省


労働需要に供給が間に合っていない現代では、逆に求職者側がある程度仕事や職場を選べる時代となっています。

これはつまり、自社が求職者から選ばれない企業になる可能性を考慮しなければいけないということです。

お客様だけでなく従業員も含めた、本当の意味で人を大切にし選ばれ続ける企業が生き残る時代になってきており、それはこれからも加速していくでしょう。

ではどんな『下準備』が必要なのでしょうか?

自分は前回の記事にて企業の『衛生要因』と『動機付け要因』が従業員の定着率に繋がるとお話ししました。


まずは『求める人材像の設定』をし、『衛生要因』と『動機付け要因』の整備という下準備を行い、『求める人材を惹き付けるための求人広告』を打つことで、自社にぴったりと合った人材を採用し定着させることがゴールとなります。

今回は『衛生要因の下準備』について詳しくお話いたします。

1.衛生要因とは


前回の記事でもお話ししましたが、そもそも衛生要因とは、アメリカの心理学者フレデリック・ハーズバーグが提唱した『二要因理論』のうちの1つです。

ここでは主に以下の5つを取り扱います。

  • 給与

  • 労働時間

  • 休日数

  • 職場環境(社内環境とアクセス)

  • 人間関係

これらは別名『不満足要因』とも言われ、ここの整備が疎かになっていると社員の不満に繋がります

しかし満たされたからといって、それだけでは長期的な満足には繋がりません。

給与が上がったりボーナスが貰えたりするのは、一見するとかなり社員の定着率に繋がりそうですが、実はそのモチベーションが持続するのは2~3ヶ月と言われています。

ここでは詳細を割愛しますが、長期的な満足には『動機付け要因(別名:満足要因)』が必要不可欠です。

今回は上記の衛生要因5つについて、押さえるべきポイントをお話しいたします。

ぜひ自社の現状と照らし合わせながら、読み進めてみていただければと思います。

2.給与設定


まずは給与設定のポイントです。

もちろん高いに越したことはありませんが、先ほどお話した通り、上げれるだけ上げても一時的なモチベーションにしか繋がりません。

採用や求人目線で見た時の給与設定のポイントは『競合他社との比較』です。

ここでいう競合他社は、自社の従業員が通勤できるエリア内における同業他社というように設定していただければ問題ありません。

地方であればマイカー通勤が一般かと思いますが、一般的に車で往復2時間以内ぐらいの範囲が通勤可能なエリアになるのではないでしょうか。

そのエリア内の同業他社が出している求人より、低い額を提示している場合は要注意です。

もちろん、実際に行う業務の差や求められる実力などに応じて額は変化するかと思いますので、金額が低いなりの理由、その他のメリットが明確に見られれば問題ない場合もあります。

これから話す項目のほとんどに共通するのは『競合と比較されている意識を持つ』ということです。

ちなみにここまで同業他社とお話ししてきましたが、別業界の同職種までリサーチできるとなお良いです。

これは業界問わず職種で求人を探している人も多いことからです。

例えば『事務職』で求人を探している人は『自動車ディーラーの事務職』と『工場の事務職』などを比較することも少なくありません。

できる限り競合となりうる求人をリサーチし、少なくともエリア内最低の賃金とはならないように意識しましょう。

3.労働時間

次は労働時間のポイントです。

業種により業務量なども違ってきますので、全ての企業が法定内の労働時間におさめるというのは難しいかと思います。

ここでのポイントは残業時間と拘束時間を減らすことです。

まずは残業をできる限り減らしましょう。

これはトップの方が「残業を減らします」と宣言するだけでも効果がある場合もあります。

中には付き合い残業をしていたり、残業代欲しさに作業を長引かせている従業員がいる可能性もあるからです。

しかし、現場が忙しく残業が常態化している場合は、ただ早く帰ろうと言うだけでは、現場からの不満に繋がります。
仕事が終わる目処も立っていない状態で、帰ろうと言われても喜んで帰れません。

この場合は作業の効率化や業務量・フローの見直し、システムの導入などを、残業を減らすための声かけとセットで行っていく必要があります。

ちなみに自分の以前勤めていた会社では、付き合い残業が常態化していました。

仕事が終わっているのに喫煙所でタバコを吸い、なかなか帰らない従業員と、それを黙認している経営者という状態でした。

仕事が終わった人から帰るという当たり前のことができない会社が未だに存在しています。

無駄な残業を無くすことは、無駄な残業代の支払いを無くすことにも繋がります。
どうしても忙しいという時期を除き、残業はできる限り減らしていきましょう。

次に、拘束時間を減らしましょう。

拘束時間とはその名の通り職場に拘束されている時間です。

例えば極端な例ですが、稼働時間が8時間であっても休憩時間が2時間もあれば拘束時間は10時間となります。

朝のラジオ体操や着替えや掃除、朝礼などを始業時間前に行うことも、拘束時間を伸ばす原因になります。

稼働時間内にできることは稼働時間内に行い、休憩時間の短縮を行うことなどで、拘束時間を減らすことを検討してみてください。

飲み会や社内行事など仕事以外で拘束される時間を減らすことも一定の効果があります。

ちなみにどうしても1日の労働時間を減らせない場合、労働時間を増やす代わりに休日数を増やすという手もあります。

例えば同じ週40時間労働でも、1日8時間の週5日出勤ではなく、1日10時間の週4日出勤という制度を取ってみるという方法です。

ワークライフバランスなどという言葉ができるぐらい、現代の日本では「給与もそこそこでいいから働く時間もそこそこにしたい」人は意外と多いです。

2024年、内閣府が行なったワーク・ライフ・バランスについての調査によると、現状の「仕事」「家庭生活」「個人の活動」の優先度が、自身の希望する通りになっていると感じている方は全体の15.2%に留まっています

自己実現の時代と言われる昨今、企業にできることは何なのか、企業・仕事はどうあるべきか。

会社と人の時間の使い方について、一度見つめ直してみましょう。


4.休日数

次は休日数です。

一言でポイントをお話しすると、年間休日が100日を切る会社は要注意です。

労働時間が1日8時間、週40時間という法定通りであれば、年間休日は105日となるはずです。

自分が以前勤めていた会社は入社当時は年間休日が85日、途中従業員からの声もあり増えましたが、それでも92日でした。(しかも休日数が増えた分、営業ノルマはキツくなりました…。)

2023年に厚生労働省が行なった調査によると、令和4年1年間の年間休日総数の全国平均は110.7日となっています

様々な求人票を眺めていても、年間休日が100日を切るというのは今では珍しいケースですので、自社の休日数がしっかり100日以上確保出来ているか、確認してみてください。

100日を切っていた場合、かなりの確率で求職者から「休みが少ない会社」と思われているので、休日を増やすことを検討してください

また医療機関などによく見られる半日出勤も要注意です。

例え法定内の労働時間でも、やはり丸1日休める日が少ないと、応募に影響が出てきます。

また休日数を増やせないという場合は、有給休暇を有効的に活用してみましょう。

有給休暇を積極的に取得させたり、日数を増やしたりしてみてください。

ちなみに有給日数を増やすということは実質給与が上がることと同義なので、給与が上げられない場合、有給日数で調整するのも1つの手です。

労働時間と休日数について、もう一点ポイントがあります。

それは求人の時点でネガティブなものを隠さず正しく伝えるということです。

例えば休みの日や終業後に「自主勉強会」という名のもと、従業員の時間を拘束している企業があります。

給与などは発生せず、あくまで「自主的」なものということですが、従業員からすると暗黙の了解、半強制的に感じるだろうということは想像できるかと思います。

それ自体が悪いということではなく、そういった時間が存在するということは入社前に伝えるか、できれば求人票などにしっかりと掲載しましょう。

会社と従業員の期待値のズレ、ギャップを無くすことも、従業員の不満を不必要に生まないために重要となります。

入社した後に「こんなに時間が拘束されると思わなかった」という不満を持たれないよう、時間の管理も一度見直してみてはいかがでしょうか。

5.職場環境(社内環境とアクセス)

次は職場環境のポイントです。

まずは社内環境ですが、休憩所と水回り(キッチンやお手洗い)は明るく清潔に保ちましょう。

特に女性はお手洗いの清潔感にはかなり気を遣います。
まずはお手洗いだけでも、できる限り綺麗な環境を整えましょう。

休憩所はできる限りゆったりと、従業員が安心して休める環境を整えましょう。

店舗のバックヤードなどによくある、薄暗くて物が散乱しているような休憩室では、従業員もゆっくりと休めません。

節電といって電気や空調を付けない会社もありますが、薄暗くて夏は暑い、冬は寒い休憩室では気が滅入ってしまい、暗い雰囲気の職場になります。

光と人間の感情は密接に関係していますし、気温などの環境は体調も左右します。

心身ともに健やかに仕事に取り組めるよう、できる限り快適で明るい環境を整えましょう。

ちなみに先ほど、給与によるモチベーションアップは一時的というお話をしましたが、利益を給与に反映するのではなく、休憩室の設備をアップグレードするなど、社員の環境に反映するというのは、中長期的な社員のモチベーションに繋がります。

例えば電子レンジも無い休憩室では、従業員は毎日冷たいご飯を食べることになります。

利益をそういった設備に還元することも、従業員満足度に繋がるポイントになるので、意識してみてください。

次にアクセスですが、地方ではマイカー通勤がメインになるかと思います。

不便の無い駐車場があるかどうかや、近くの巨大企業と通勤時間が被って渋滞にならないかなど、できる限りで良いので、環境の見直しを検討してみてください。

6.人間関係


最後は人間関係です。

正直1番厄介な部分になるかと思います。

実は退職の理由のほとんどはこの人間関係だったりします。
人間関係が良好なのに、月給が1、2万円高い企業や休日数が5日多い企業にわざわざ転職はしないのではないでしょうか。

逆に人間関係に不満があれば、給与が2万円低くなるぐらい、休日が5日減るぐらいは、転職の許容範囲になってしまいます。

それほど重要なのが人間関係です。
ここまで全ての環境を綺麗に整えてきても、人間関係が全てを台無しにしかねません。

ただやはり人間同士のコミュニケーションなので、性格などいろんなことが絡む、かなり深い問題です。

ここではまず押さえてほしい簡単なポイントを1つお話しいたします。

そのポイントとは、仕事上必要なコミュニケーションが問題無くスムーズ取れるかどうかです。

あくまで仕事なので、友達のように仲良くする必要はありません。

仕事で分からないことを聞き合える、協力し合える、情報の共有ができる、悪口や噂話を言わないなど、仕事上のコミュニケーションをスムーズに取れるかどうかが重要です。

ここで重要になるのは「自分が受け入れられている」と感じれるかどうかです。

挨拶をしても無視されたり適当に返されたり、質問や相談をしても面倒がられたり不機嫌に対応されたり、ミスを過剰に責められたり、そのような状況では「自分が受け入れられている」という感覚は無くなり、コミュニケーションをスムーズに取ることが難しくなります。

仕事なのだから我慢してコミュニケーションを取るしかないと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、「いつでも相談できる雰囲気で相談する」のと、「相談しずらいけど我慢して相談する」のでは、満足度に差が出てくるのは当たり前かと思います。

我慢してコミュニケーションを取るのが仕事なのではなく、良好なコミュニケーションを職場内で行うことも仕事のうちだと、社内全体で共通認識にしていきましょう。

人間関係については奥が深い部分になりますので、別の記事で深掘りしてみようと思います。

7.まとめ


いかがでしたでしょうか。

改めて、今回お話しした衛生要因は、従業員の不満足を防止するためのものとなります。

一度従業員に『今の職場を友人や家族など親しい人に勧められますか?』と匿名アンケートを取ってみてください。

勧められないという回答が多ければ、ここまでに記したどこかに改善点があるかもしれません。

まずは今いる従業員が不満を感じない環境を整備し、その上で『動機付け要因』によって社員の仕事に対する満足度を上げていけば、環境の下準備は完璧です。

次回の記事では『動機付け要因』について、詳しくお話ししていきたいと思います。

最後までご覧いただきありがとうございました!

今日も皆さんが活き活きと働けますように!

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