アビが鳴く

年明けのライブに行くことが決定してから、再熱したポルノ愛。
熱したり冷めたりを繰り返しながら、それでもやっぱり「好き」という気持ちが変わらないことを痛感する今日この頃だ。

そんな私が昨年手始めにやったのは、ティックトックのフォロー。そこで、オンライン配信で厳島神社の奉納ライブをやることを知った。
夫に子どもたちを任せ、万全の体制で自室に引きこもって聴いた数曲のなかにあった「アビが鳴く」。
リリースはオンラインライブよりも前だったが、私にとっては初めて聴く曲で、優しいくももの悲しいメロディーと、何よりもメッセージ性の強さに感銘を受けた。

小さな船で波を切り裂き
朱い大鳥居をくぐれば
あらわれる水上の神殿
見上げて私は祈るよ

ポルノグラフィティ「アビが鳴く」より

一瞬で「厳島神社だ」とわかる歌詞。そして、タイトルの「アビ」とは何ぞやと調べたところ、広島の県鳥であることも知った。

あの夏を語れる者も
一人二人と去って

ポルノグラフィティ「アビが鳴く」より

「アビ」「厳島神社」ときたら、言わずもがな、これは原爆が落ちた日のことだろう。

世界がどんなに変わっても
平和を祈る想いだけは
百年先に生まれる子らと
同じでありますように

ポルノグラフィティ「アビが鳴く」より

サビの歌詞は、子を持つ親には響くのではないだろうか。
まだ小さい子どもたちだが、彼らが成長した未来も、そしておじさんやおじいさんになっても、争いごとや貧しさのない、恵まれた環境で人生を送って欲しいとは、常々思っている。

「平和」「広島」などというワードがあからさまに出てくるわけではないのに、聴く人の胸に刺さるメッセージを伝えてくれる。この曲の作詞は晴一さんらしいが、「解放区」もそうだし、本当に語彙力のない表現だが「天才」だと思う。

先日のライブでも、当然のように演奏されたこの曲。素晴らしい歌詞と、アキヒトさんの優しい歌声に涙がこぼれた。

いまも世界や争いごとが起こっているが、私たちにとって「戦争」は遠い国での出来事で、昔あったことになりつつある。
「いまの子どもたちにとって、恐ろしいのは『人災』ではなく『天災』だ」という話を、耳にしたことがある。

しかし彼らの故郷・広島には、過去に確かに起こった恐ろしい歴史の傷跡が残っている。私たちは繰り返してはいけないし、忘れてはいけない。そのうえで明るい未来を祈りいまを生きるのは、大切なことだと思う。
そんな姿は、苦しい時代を生きた人たちにも、喜んでもらえるのだろうか。

わからないけれど、次の時代を生きていく子どもたちが幸せでありますようにと、私も大好きなアキヒトさんの歌声を聴きながら、明日に祈るのだ。

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