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前澤友作、ヤフーのZOZO子会社化の裏で男泣きの理由

 いろんなものを世の中に創造してきた「ZOZO」は、その創造の“仕方”を変えようとしている。

 今朝、流れた「ヤフーがTOB(株式公開買付)でZOZOの50.1%の株式を所得し、連結子会社化する」というニュースは、多くの人を驚かせた。それどころか、前澤さんは退任するという。

僕自身、不思議でならなかったが、先程、それに関する記者会見を見て、ZOZO前社長前澤友作さんの話を聞いて素直に納得できた。

一言で言えば“成長する会社の宿命”だ。

 ZOZOは前澤さんの印象が強いが、新社長になった澤田宏太郎さんがその裏でコンサル出身の強みを生かし、データに基づき、堅実な成長を導いた。いわば影の立役者だ。前澤さんがいうに、自分とは真逆のタイプだと言っており、分析から始まりロジカルに戦略を組み立て、手堅く事業を推進させていくことは、未来のZOZOには必要だと説く。更なる拡大においては、今までのファッション好きだけではないユーザーを取り込む必要があって、その上ではこれらの戦略こそが急務だとした。

 一方で、ヤフーもまた、最近データ・ドリブンカンパニーを謳っている。特にコマースは購買行動やそのデータがその人の人物像を浮かび上がらせるものである。だから、それらはデータに基づく新たな消費を生み出しうる材料として、今後、力を入れていきたいところなのだ。データはまさにこれからのビジネスの試金石で、彼らがPayPayにあれだけの投資をしているのも、それをしてでも顧客の消費行動を把握したいという狙いが見え隠れする。

 故に、データに基づいて購買を増加させていくという点で、両者の思惑は一致していて、かつ年配利用者の多いヤフーに対し、若年層が多いZOZOという具合に、顧客層も住み分けできており、親和性が高いというわけだ。

 勿論、時代を読む前澤さんの嗅覚で切り開いた数々の斬新な発想は、ZOZOを救ってきたと思う。けれど、思うに、ZOZOが前澤さんの直感に依存せざるを得ない状況になっている事に、誰よりも気づいていたのは前澤さん本人だったのかも知れない。

 この日、会見場に現れた孫正義さんには、その胸中を吐露した部分もあったようだし、その孫さんからのアドバイスもあって直接的ではないにせよ、それがヤフーとの結びつきに繋がっていくのだからわからないものだ。

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 話を戻すが、その意味で言えば、ZOZOは大きくなり過ぎたのだろうと思う。「社員を想えばもっとこの会社が成長しなきゃならないけれど、前澤流が通用するのはもっと小さな段階での事だったのかも知れない」。そう前澤さんは悟ったのではないだろうか。

 それは、彼が会見で始終、目にいっぱいの涙を溜めている事が全てを表しているように、社員を想えばこその本当に苦渋の決断だったのだと思った。

 勿論、前澤さんのやりたい事として、2023年には宇宙旅行したいという夢もあったろうし、先程触れた「会社の未来」ということを考えた時、彼特有の直感がまた働いたのだろう。その彼のZOZOの経営のピリオドは突如として迎える。

 一部、彼に対して無責任という声も飛んでいるようだが、僕はそうは思わなかった。むしろ、前澤さんは謙虚で、純粋な人だと見た。最初、ここでも触れたように、ZOZOは今や“成長する会社の宿命”を今まで以上に背負っていて、それを達成することが誰より愛する社員一同の悲願だとすれば、彼にとって身を引くことは当然の結論だったのかもしれない。

 だから、冒頭に書いたのだ。創造の“仕方”が変わったのだと。前澤友作ではなく、社員からアイデアが生まれ、それはデータなどに基づき戦略的に、堅実に運営されていく時代の到来でもあるのだ。

 そこに至るため、前澤友作さんは、真っ直ぐ筋を通して、行動しただけのことなのだと思う。今、記者会見を終えてみて、やっぱりこの決断には、しつこいけれど、僕は前澤友作さんによる社員や会社への愛を感じたのである。涙のわけは、そこにある。

今日はこの辺で。


ペンは剣より強しと言います。だから本気でここで書く一言、一言で必ず世の中は変わると思っています。そのあたたかなサポートが僕への自信となり、それが世の中を変えていくはずです。