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商品は単品で完結しない時代へ「Tamagotchi Uni」

・デジタルとの融合で迎えた新たな局面

 これから商品はこうやってデジタルと融合して、新しい価値を生むんだなと痛感しました。それは、僕が東京ビッグサイトで開催されている「おもちゃショー」でバンダイからお誘いを受けた「Tamagotchi Uni」の発表会で、思ったことです。

 Tamagotchi Uniというネーミングでわかる通り、たまごっちの最新版で、デジタルとの融合を果たして、おもちゃとして新しい価値を見出しています。語弊を恐れず言えば、それはもはや「商品」ではないということです。

 どういうこと?そう思われるかも知れないけど、Tamagotchi Uniはデジタルへの入り口にすぎなくて、デジタルを通して広がるその世界こそが、彼らの展開したい本当の“商品”なんです。つまり、それはメタバースの世界です。

 いままで「たまごっち」で通信などはできました。でも、あくまで近くにいる人にすぎない。でも、今回自らの育成したキャラとやり取りできるのは世界中の人です。

 だから、今回はAWSのサーバーまで使い、それ専用のクラウド環境を使って「Tamaverse」という世界を作り上げます。この時点で、商品を作って終わりではないことを意図しています。だって、商品単体での売り上げを考えたらAWSにお金をかけないはずです。

 繰り返しますが商品は入口に過ぎません。出会うことにメインを置けば、一層、「育成に精を出す」ことになります。

 ここで大事なのは彼らの原点は「育成」にあるということ。ただデジタルをやるってわけではなく「育成」の最大化を図るためにデジタルを活用する。

 この日、たまごっちファンでもあるタレントの「あのちゃん」が現れて、その出会いがもっと楽しくなるためのプラスアルファの要素を紹介してくれました。それは「アクセサリー」。


実は、メタバースのアバターさながらに、育成したキャラに、アクセサリーを装着できます。見た目だけでなく、コーディネイトでアクセントをつけられます。見た目はいじれず、服でカバーという要素に人間さながらのリアリティがあります。

 育成の仕方次第で「あまえんぼう」になったり、「やんちゃ」になったりするらしく、それを選ぶ好みも各々変容するわけで、それがまた、個性となります。

・商品は世界観をアシストする強力な武器となる 

 それを「Tamaverse」で存分に発揮して、コミュニケーションに繋げるのです。そっちの方に舵を切り、コミュニティを育てていく。そうすることで、“デバイス”となった「たまごっち」を常にバージョンアップさせていくことになります。


 この時に「あのちゃん」が語ってくれた言葉に的を得ていて、案外、賢いな(失礼!)と。周りの方々が口々に過去の「たまごっち」を懐かしむ中で、彼女はそうではなくてひとつひとつ「アップデート」しづつけていて、現在進行形であることをにおわせていました。

 まさにその印象が今回は特に強い。だとすると、もはや商品ではなくコンテンツとして強化していくのであり、コンテンツとして強化するほど、デバイスである商品が売れていく。

 すると、iPhoneのように継続的な利用に繋がりますよね。Appleがそうであるように、リアルの商品を買い続けなければいけません。すると、一つ一つの「たまごっち」は切り離されることなく、アップデートしていき、継続顧客になります。まさにアップデートです。

・たまごっちの「育成の価値観」をデジタルで開花させる

 学びとなるのは、商品は個々の所有にとどまらせないのだということ。商品を起点にどう人が繋がるか。それを仕向けている姿勢が新しい着想だと思いました。いうなれば、これからのメーカーは商品を作るだけではダメ。

 これは別に、おもちゃだからとか、バンダイだからとか、そういうことは関係なく、商品を手がけるということは、そういうことなんです。

 売る側も、買う側も繋がり方に関心を持ち、そこに多様性が生まれて、個性となって継続することになることがわかります。売る側も、作る側も、そういう価値を念頭に置いて、提供していく事がこれからの小売などにおける肝なのではないかと思うんです。

今日はこの辺で。

出典:145MAGAZINE 2023.06.08



ペンは剣より強しと言います。だから本気でここで書く一言、一言で必ず世の中は変わると思っています。そのあたたかなサポートが僕への自信となり、それが世の中を変えていくはずです。