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【1話完結小説】セクシー美女になりたい

もしも願いが叶うならセクシー美女になりたい。
好みの服に身を包み、毎日男に言い寄られ、その日の気分で遊び相手を取っ替え引っ替え。しかし「本当の私を見てくれる人はどこにもいない」と心には常に冷めた風が吹いていた。最終的に選んだ男は胡散臭いがカリスマ性のあるIT社長で「この人だけが私の真の理解者だ」と半ば洗脳されつつのモラハラ奥様ライフ。我に返り離婚成立した時には美貌のピークもとうに過ぎていた。外見にあぐらをかいて内面を磨こうとせず、快楽をただ享受する刹那的な日々。そんな生活のツケか、今の私に誇れる物は何ひとつ残っていなかった。休日のショッピングセンターや公園で、馬鹿みたいに平凡な家族連れを見て「ああ、幸せそうだな。なぜ彼らごときがあんなに幸せそうなのに生物学的に優れているであろう私は幸せではないのだろう」とぼんやり考えながら一人紫煙を燻らす。公園で煙草を吸っていると、決まって、よく肥えたママ様達がヨレヨレのチュニックを着て“正義は我にあり”といった風情でこちらを非難がましい不細工な顔でチラ見してくるのが可笑しくて毎日やってしまう。でもそれもそろそろ飽きてきたな。今から英会話でも習いに行けば私の人生何か変わるかしら。見上げた空には、雲に隠れて太陽なんてどこにいるのか見当もつかない。
…そんな最低な結末までひっくるめたセクシー美女になりたい。

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