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VOA "New Studies Offer Hope in Battling Prostate Cancer"(March 24,2020)より語彙・構造・解釈の解説

Voice of America "New Studies Offer Hope in Battling Prostate Cancer"(March 24, 2020)を教材に医学部受験生のための語彙・構造・解釈のポイントを解説します。*以前、公開したものをブラッシュアップしたものです。

医学部受験を控えている受験生の皆さんの参考になればと書きました。英語のプロ講師としての仕上がりを心掛けたので有料記事になりますが、サービス価格でご提供したいと思います。

まずは、本文を読み分かる範囲で内容を理解してみてください。もし分からない語句があれば辞書で調べてください。2~3回読んでみて、これ以上理解できないなと思った時点で解説を読んでください。もし、一読して理解できてたと思えば、すぐに解説を読み自分の理解とのすり合わせをしてみてください。


本文

New Studies Offer Hope in Battling Prostate Cancer

①The American Cancer Society says one in nine men will be diagnosed with prostate cancer in his lifetime and one in 41 will die from it. Several new studies offer hope that these number could decrease with early and accurate diagnosis.

②A new study based on a randomized controlled trial on 300 prostate cancer patients in Australia has found that a molecular imaging technique is more accurate than conventional medical imaging that uses CT (computed tomography) and bone scan.

③Prostate cancer is treated by surgery to remove the prostate or by intensive radiotherapy that targets the tumor. Doctors often use CT and bone scans to determine if the cancer has spread to other parts of the body.

④A team led by Professor Michael Hofman conducted trials on prostate cancer patients in 10 hospitals in Australia using the prostate-specific membrane antigen PET-CT scan.

⑤“We inject a radio-active small molecule intravenously. It finds its way to prostate cancer cells and we then image the whole body on a positron emission tomography scanner, i.e. PET (positron emission tomography) scanner and this enables us to visualize the distribution of disease spread with striking tumor-to-background contrast,” said Hofman.

⑥The trials showed that prostate-specific membrane antigen PET-CT scan had a 27% greater accuracy than that of conventional imaging, which proved to have lower sensitivity. That means the new imaging has 92% accuracy compared to 65% of a CT bone scan. A follow-up trial conducted after six months confirmed the initial results.

⑦The study, published in The Lancet medical journal, says that “the primary outcome was accuracy of first-line imaging for identifying either pelvic nodal or distant-metastatic disease.”

⑧Hofman’s research team recommends the use of new scans in routine clinical practice instead of the current CT and bone scans for better accuracy. They say a more accurate imagery can help doctors determine whether to use targeted treatment or more advanced treatment for the whole body. A more accurate diagnosis cuts the need for repeated radio-active testing and thus cuts a patient’s exposure to harmful radiation. It also is likely to reduce the number of cancer relapse cases.

引用元

解説

タイトル
New Studies Offer Hope in Battling Prostate Cancer
「前立腺がんとの闘いに希望を与える新たな研究」

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語句チェック
be diagnosed with:~だと診断される
prostate cancer:前立腺がん
accurate:正確な
diagnosis:診断

解釈上のポイント
・says that SVのthatが省略され、SVが2つ等位接続されているので、S+says S’V’ ~ and S’V’~という構造になっている。
・one in 数字:「~人中1人」の意味で割合を表している。
・offer hopeのhopeは名詞で、直後のthat SVという同格節によって内容が具体説明されている。

和訳
米国癌協会によると、男性の9人に1人が生涯に前立腺癌と診断され、41人に1人が前立腺癌で死亡するという。いくつかの新たな研究によって、早期かつ正確な診断によってこの数が減少する可能性があることを示唆されている。

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語句チェック
a randomized controlled trial:無作為化比較試験
a molecular imaging technique:分子イメージング技術
conventional:従来の
medical imaging:医療画像

解釈上のポイント
・無作為化対照試験:ある試験的操作(介入・治療など)を行うこと以外は公平になるように,対象の集団(特定の疾患患者など)を無作為に複数の群(介入群と対照群や,通常+新治療を行う群と通常の治療のみの群など)に分け,その試験的操作の影響・効果を測定し,明らかにするための比較研究のこと。RCTと略される。
・分子イメージング技術:生物が生きた状態のまま外部から生体内の遺伝子やタンパク質などの分子の量の変化や働きを可視化する技術
・found thatのthat節の比較構文は、a molecular techniqueとconventional medical imagingを比較している。また、accurateは辞書的な意味では「正確な」だが、ここでは「精度が高い」の意味。

和訳
オーストラリアで300人の前立腺がん患者を対象とした無作為化比較試験に基づく新しい研究では、CT(コンピュータ断層撮影)や骨スキャンを用いた従来の医療画像よりも、分子イメージング技術の方が精度が高いことが明らかになった。

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語句チェック
intensive radiotherapy:集中的な放射線治療
tumor:腫瘍

解釈上のポイント
・determineは「決定する」と覚えられていることが多いが、「判断する」と訳した方が良いケースの方が多い。
・determineの直後のif節は名詞節なので「~かどうか」

和訳
前立腺がんの治療は、前立腺を摘出する手術や、腫瘍を標的とした集中的な放射線治療が行われます。 医師は、がんが体の他の部位に転移しているかどうかを判断するために、CTや骨スキャンを使用することが多い。

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語句チェック
trial:臨床試験
prostate-specific membrane antigen:前立腺特異膜抗原

解釈上のポイント
・SVOの後ろに副詞句が連続して置かれている構造に気を付ける。特に、usingは分詞構文で「~を使って」の意味である。by usingと同じ働きをしている。
・前立腺特異膜抗原: 前立腺から分泌され精液中に含まれている酵素(生体物質)で抗原性を持つ物質。 前立腺癌の腫瘍マーカーとして使用されるが、前立腺炎や前立腺肥大などでも上昇する。

和訳
マイケル・ホフマン教授率いるチームは、オーストラリアの10の病院で前立腺特異膜抗原PET-CTスキャンを使って、前立腺がん患者を対象とした臨床試験を行った。

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語句チェック
inject:を注入する
radio-active small molecule:放射性の低分子
intravenously:静脈内に
fine one’s way to:~に到達する
positron emission tomography:ポジトロン断層撮影

解釈上のポイント
・2文目は、andによってSV~が3つ等位接続されている。
・ポジトロン断層撮影:陽電子検出を利用したコンピューター断層撮影技術である。CTやMRIが主に組織の形態を観察するための検査法であるのに対し、PETはSPECTなど他の核医学検査と同様に、生体の機能を観察することに特化した検査法のこと。
・this enables us to V~:無生物主語構文になっているので、「このこと(PET)によって私たちは~することができる」と訳す。

和訳
「放射性の低分子を静脈内に注射します。放射性の低分子を静脈内に注入し、それが前立腺がん細胞に到達した後、PET(ポジトロン断層撮影)スキャナーで全身を撮影することで、腫瘍と背景のコントラストを強調して病変の広がりの分布を可視化することができます」とHofman氏は述べている。

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語句チェック
imaging:イメージング
compared to ~:~と比較して
follow-up trial:追跡試験

解釈上のポイント
・that of conventional imagingのthatはthe accuracy「精度」の代用。前立腺特異膜抗原PET-CTスキャンの精度と従来のイメージングの精度を比較しているのだが、実はこの場合、thatは文法上不要。

和訳
試験の結果、前立腺特異膜抗原PET-CTスキャンの精度は、感度が低いことが証明されている従来のイメージングと比較して27%高いことが示されました。 つまり、骨CTスキャンの65%と比較して、新しい画像診断の精度は92%になったということだ。6ヶ月後に行われた追跡試験では、初期の結果が確認された。

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語句チェック
the primary outcome:主要アウトカム(主に得られた結果)
first-line imaging:第一選択画像
pelvic nodal:骨盤結節性疾患
distant-metastatic disease:遠隔転移性疾患

解釈上のポイント
・SとVの間に、published ~ journalが挿入句として用いられているので注意。
・遠隔転移:がん細胞が最初に発生した場所(原発巣(げんぱつそう))から、血管やリンパ管に入り込み、血液やリンパ液の流れに乗って別の臓器や器官に移動し、そこで増えること。

和訳
Lancet医学誌に掲載されたこの研究によると、「主要アウトカムは、骨盤結節性疾患または遠隔転移性疾患のいずれかを識別するための第一選択画像の精度であった」 

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語句チェック
routine clinical practice: 日常臨床
targeted treatment:標的を絞った治療
radio-active testing:放射性物質検査
radiation:放射線
be likely to V:Vする可能性が高い
relapse cases:再発例

解釈上のポイント
・instead of:「~の代わりに」という「代用」の印象が強いが、「対比」の意味で用いられることが多い。この場合は、the use of new scansとthe current CT and bone scansが対比関係になっている。
・whether to use A or B:「Aを使うべきかBを使うべきか」という解釈。
・cut the need:「必要性をカットする」→「必要性がなくなる」と解釈する。
・cut a patient’s exposure to ~:「患者が~に晒されることをカットする」→「患者が~に晒される回数が減る」と解釈する。

和訳
Hofman氏の研究チームは、より精度の高い画像を得るために、現在のCTスキャンや骨スキャンの代わりに、新しいスキャンを日常臨床で使用することを推奨している。より正確な画像があれば、医師は標的を絞った治療を行うか、全身を対象としたより高度な治療を行うかを判断するのに役立つという。より正確な診断が可能になれば、繰り返しの放射性物質検査の必要性が減るため、患者の有害な放射線への被曝を減らすことができる。また、がんの再発例も減る可能性が高い。

全訳

前立腺がんとの闘いに希望を与える新たな研究

米国癌協会によると、男性の9人に1人が生涯に前立腺癌と診断され、41人に1人が前立腺癌で死亡するという。いくつかの新たな研究によって、早期かつ正確な診断によってこの数が減少する可能性があることを示唆されている。 オーストラリアで300人の前立腺がん患者を対象とした無作為化比較試験に基づく新しい研究では、CT(コンピュータ断層撮影)や骨スキャンを用いた従来の医療画像よりも、分子イメージング技術の方が精度が高いことが明らかになった。前立腺がんの治療は、前立腺を摘出する手術や、腫瘍を標的とした集中的な放射線治療が行われます。 医師は、がんが体の他の部位に転移しているかどうかを判断するために、CTや骨スキャンを使用することが多い。マイケル・ホフマン教授率いるチームは、オーストラリアの10の病院で前立腺特異膜抗原PET-CTスキャンを使って、前立腺がん患者を対象とした臨床試験を行った。「放射性の低分子を静脈内に注射します。放射性の低分子を静脈内に注入し、それが前立腺がん細胞に到達した後、PET(ポジトロン断層撮影)スキャナーで全身を撮影することで、腫瘍と背景のコントラストを強調して病変の広がりの分布を可視化することができます」とHofman氏は述べている。試験の結果、前立腺特異膜抗原PET-CTスキャンの精度は、感度が低いことが証明されている従来のイメージングと比較して27%高いことが示されました。 つまり、骨CTスキャンの65%と比較して、新しい画像診断の精度は92%になったということだ。6ヶ月後に行われた追跡試験では、初期の結果が確認された。Lancet医学誌に掲載されたこの研究によると、「主要アウトカムは、骨盤結節性疾患または遠隔転移性疾患のいずれかを識別するための第一選択画像の精度であった。」 Hofman氏の研究チームは、より精度の高い画像を得るために、現在のCTスキャンや骨スキャンの代わりに、新しいスキャンを日常臨床で使用することを推奨している。より正確な画像があれば、医師は標的を絞った治療を行うか、全身を対象としたより高度な治療を行うかを判断するのに役立つという。より正確な診断が可能になれば、繰り返しの放射性物質検査の必要性が減るため、患者の有害な放射線への被曝を減らすことができる。また、がんの再発例も減る可能性が高い。

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