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英文法解説 テーマ9 関係詞 第3回 関係代名詞whatって普通のwhat「何」とどう違うの?

 こんにちは。今回で関係詞の解説の3回目になります。ここまで、「関係代名詞の格」や「前置詞+関係代名詞」について扱ってきましたが、今回は関係代名詞whatについて解説していきたいと思います。特に、what=「何」と思い込んでいる人は、この関係代名詞whatと混同してしまいがちなので気を付けてください。では、さっそく基本から解説していきましょう。

関係代名詞what節の基本構造

 まず、関係代名詞whatは、主格や目的格の関係代名詞としてはたらくので、who[whom]やwhichと同様に、後ろにSやOが欠落した不完全文が続きます。

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 よく接続詞thatとの使い分けが問題になることがありますが、接続詞thatの場合は「完全文」が後続するので、その点が関係代名詞whatと異なります。

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 接続詞thatの後ろには完全文が続きます。上記の例では、she is rightが完全文です。一方で、関係代名詞whatの後ろには不完全文が続きます。上記の例では、she saysが不完全文(Oが欠落)です。

名詞節のはたらき

 who[whom]やwhichなどの関係代名詞は先行詞を修飾するというはたらきをしているので「形容詞節」ですが、関係代名詞whatが導く節は「名詞節」としてはたらきます。つまり、英文中でS・O・Cとしてはたらくということになります。また、修飾する相手が必要ないので、先行詞は不要になります。

 訳し方に関して言えば、名詞節としてはたらく、ということはそれ自体を独立したかたまりとして訳す必要があるということです(修飾する相手がいないので)。慣用表現として用いられている場合を除き、基本的には「(Sが)~Vすること・もの」と訳します。

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 ちなみに、便宜上、what=the thing whichと書いている参考書なども時々ありますが、これは関係代名詞whatの中に先行詞を含んでいるという書き方になります。「先行詞+what (S)V」となることはない、という意味では実質上同じことを表していますが、「先行詞を含む」という考え方より「名詞節としてはたらいている」とした方が、疑問詞whatとの使い分けなどとの整合性も取りやすいので、ここでは「名詞節としてのはたらき」で説明していきたいと思います。

補語が欠落した関係詞節を導く場合

 関係代名詞whatは基本的には主格や目的格として用いられることが多いのですが、補語が欠落した不完全文が後続するケースがあります。その場合は「(Sが)~Vすること・もの」と訳すのは難しいので、訳し方を工夫します。その際にポイントになるのは、V(主にbe動詞が用いられます)の時制です。

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 what節の中のV(be動詞)の時制が、4.では現在時制、5.では過去時制になっています。それぞれの時制に従って、「現在の姿」「過去の状態」とそれぞれ訳しています。be動詞が用いられ、補語の欠落がある場合は「(Sが)~Vすること・もの」ではなく、このように訳すのがポイントです。もちろん、what節は名詞節としてはたらくので、英文全体の中では、4.ではOとして、5.ではCとしてはたらいています。

関係代名詞whatを用いたイディオム

 「(Sが)~Vすること・もの」とは訳さない関係代名詞whatと言えば、イディオムとして用いられるケースもあります。

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 例文で確認しましょう。

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 “what is 比較級”は挿入句として用いられるのが一般的です。そういう意味では独立した副詞句のような語句と捉えても良いでしょう。“what is called[what you call]”は厳密には「~と呼ばれているもの」という名詞節を形成しているので、例文7は「プロのブロガーと呼ばれているもの」という直訳から「いわゆるプロのブロガー」と訳し換えています。“ A is to B what C is to D”も本当は“what C is to D”の部分は名詞節なのですが、あまりこねくり回して複雑に考えるよりも、“A : B = C : D”という関係性で読み取る方が分かりやすいかもしれません。

疑問詞whatと関係代名詞whatについて

 さて、ここまで関係代名詞whatの特徴について説明してきましたが、疑問詞whatと使い方が似ているのに気づいたでしょうか?実際、ほとんどの人にとっては、what=「何」というイメージの方が強いと思います(「疑問詞」については、テーマ13で詳しく解説する予定です)。というわけで、whatが疑問詞か関係詞かをクリアにしていきましょう。とりあえず、次の英文を見てください。

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 上の例文を訳す際は「彼女が誕生日に何が欲しいか知っていますか?」でしょうか?それとも「彼女が誕生日に欲しいものを知っていますか?」でしょうか?もちろん、どちらも正しい訳し方です。つまり、what SV”という名詞節は、「疑問詞whatSV」と捉えることも「関係代名詞whatSV」と捉えることも基本的にはどちらでも良いのです。

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 なかには、どちらかの訳し方が適切の場合もあります。それは文脈によって決まるので、whatSVが用いられている一文だけでは判断できないことも多いです。つまり、何が重要かと言うと、疑問詞whatも関係代名詞whatもどちらもありうるという柔軟な思考で対応することなのです。

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 例文で確認しましょう。

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 このように、日本語に訳す際はどちらかを選ぶことになるわけですが、実際にはどちらで訳しても内容的には同じことを伝えていますよね。ネイティブスピーカーでもwhatを疑問詞だとか関係代名詞だとかを意識しているわけではないと思うので、柔軟に対応するのが得策でしょう。

 というわけで、関係代名詞whatの解説はここまでになります。関係代名詞としてはやや異色なwhatでしたが、基本に忠実に理解を深めていきましょう。次回は、関係副詞になります。ご期待ください。


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