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「プラーナを体験しよう!」三浦敏郎先生

サンガ新社&ティーチャーズ共同開催、オンラインサンガOPEN企画 「ヨガの世界観をカラダで味わう プラーナを体験しよう」を開催しました。講師は 三浦敏郎先生です。

三浦敏郎先生は、日本で長年クリパルヨガとフェニックス・ライジング・ヨガセラピーの普及・啓蒙に努めてこられました。( ⇒ クリパル・ジャパン)。子どもの時からとても体が弱く、瞑想の先生からヨガをするといいと勧められたのが、この道に入るきっかけだそうです。クリパルヨガは1970年代にインドからアメリカに渡ったインドの伝統的なヨガの流派で、個人の体験を尊重し人々とコミュニティをエンパワーするヨガだと言われています。


ワーク① 瞑想 ⇒ 呼吸法 ⇒ 瞑想

まずは5分間の簡単な瞑想からスタートしました。
自然呼吸で、注意を鼻先に向け、その後で完全呼吸法を挟み⇒再度、呼吸瞑想をしました。そして次のような問いかけが三浦敏郎先生からありました。

「1回目の自然な呼吸に対する集中力と2回目の自然な呼吸に対する集中力とに違いはありましたか?」

すると、ほとんどの人が「2回目の方が集中できた」と答えたのです。

つまり、最初はマインドが忙しくて呼吸に注意することが難しいのですが、一度呼吸法によって意識的に呼吸を動かした後は、呼吸をビビッドに感じ集中しやすくなったということです。その理由として、「心は何もすることがないと落ち着かないが、何かすることが与えられると集中しやすくなる」という心の性質についての説明がありました。。


プラーナについて


ヨガの世界観と言っても一枚岩ではなく、時代によって変遷してきました。第1回目の「トリグナを体験しよう」では、自然界をつかさどるのは3つのグナ(サットヴァ、ラジャス、タマス)という世界観でした。その一方で、「自然界を動かしているのはプラーナというエネルギー(=生命力)だ」という世界観もあります。

クリパルヨガの創始者スワミ・クリパルはこういいます。
「この世界はチッタとプラーナでできている」
彼によれば、チッタ(心)はプラーナを見て観察するのです。
そしてチッタ(心)はコントロールしたがるという性質があります。一方、プラーナはコントロールされる側にあります。一方で、プラーナが勢いづくと、チッタはプラーナにコントロールされ巻き込まれることもあります。これは自然界を例にとるとわかりやすいですね。例えば、外が嵐のときは心も影響を受けて、不安になったり動揺したりします。

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多くのヨガや瞑想はチッタとプラーナを意識して行われているそうです。

ワーク②:フェルデンクライスの応用

フェルデンクライスというボディワークでは、神経回路を上手く使うことで身体の動きをスムーズにしていきます。今回は実際に体をねじる動きて体験してみました。立って数回ねじりの動きをした後で、目をつぶって動き続けていることをイメージします。その後でもう一度体にねじりを加えてみると、「より深くねじれた」と感じる人が大半だったのです。

つまり、チッタがイメージすることによって身体に変化が起きた、ということです。心が何かを思い描くと身体に感覚が生じます。自分のマインドがどこへ向かっているのか、なにをしようとしているのか。チッタが持っている意図はとても大切で、それによって実際の体験や体そのものが変わってくる可能性があることがワークを通してわかりました。


ワーク③ 身体を尊重して動かす体験

その後で、「身体の動きを尊重し、体が望むように動かす」という体験をしました。ふだん私たちは、コントローラーであるチッタが指示を出す形で身体を動かしています。今回のワークではその逆のことをしました。

まずはリラックスして5~6割の力でシンプルな動きを繰り返します。身体の感覚に意識を向けてマインドフルに動きます。一瞬一瞬の感覚をとおして、体を確認しながら動き続けるのでです。そして短く簡単な動きをするたびに、次のように現状確認を繰り返しました。

現状確認(今どういう状態なのかをチェック)
・床とのふれあい具合(頭、首、肩、両腕、背中、腰、両足)
・左右差(右半身と左半身)
・呼吸(深さ、速さ、流れ)、呼吸に伴う体の動き
・身体の中に注意を向けたまま普段の日常生活している様子へ意識を向けると、どんなイメージ、感覚、フィーリングが湧いてくるのか観察する。

このワークを通して、参加者からは次のような感想がでました。

・最初は左右差を感じたが、終わると左右均等、呼吸も滑らかになった。                       ・日常の自分は、マインドがせわしなく体が緊張している状態。でも体にフォーカスすることで、体と呼吸と気持ちがリラックスした。
・最初は左右差を感じたが、最後には体と床が融合していく感じだった。


ワーク④ 意図的に体を動かす体験

今度は先ほどとは逆に、心が体をリードし意図的に身体を動かしていきます。チッタでコントロールして身体を動かすという、いわゆる、ヨガでポーズをするときの動きです。

自分の意志でのポーズを保って呼吸を動かした後、一体何が起きたかを観ていきました。動かされた体のエネルギー、プラーナの余韻・・・その自然なプラーナの展開に、チッタはどれくらいフォーカスしているのか・・・そして実際に体に何が起きているのか・・・丁寧に観察していきます。

このワークを通して、参加者からは次のような感想が出ました。

・2回目は自分の中で達成感が湧きおこった。そのあとのリラックス感は、十分にやれた、満足感、達成感、リラックス感と開放感があった。
・緊張している心の動きとリラックスする心の動きと両方のことを一緒にできるんだなと思った。


そのうえで、最後に「プラーナを体験しよう!」というの中で持ち帰りたいこととして、参加者から次のような声が聞かれました。

・チッタとプラーナの相互関係を身体で感じ、深い理解を得た。マインドがとても静かになった。
・心と体のつながり、普段の自分の在り方が見えてきた。より意識的になるための呼吸とリラックスを感じた。
・緊張、リラックス、集中、コントロールの共存ができることに気づきました。

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私自身が体験したこと


仰向けでゆったりと体を動かすワーク③では、気づきが深まり、より丁寧に観察することができました。その一方で集中力という点では、少し眠くなったり散漫になるところもありました。ワークを終えると体がマットに沈み込むようなリラックスを感じました。その時「普段の日常の自分を見る」という声かけがあり、いつもマインドが忙しく緊張している自分をカラダで感じることができました。

うつ伏せで、マインドをコントロールしながら動くワーク④では、かなり集中して体を感じることができました。いつもは頑張りすぎる傾向にあるので、6~7割のペースでやってみると、呼吸に注意が向いたり体全体のバランスや動かしていないところの力を抜く余裕が生まれて、一体感や穏やかな解放感を感じました。

ブレイクルームでシェアリングをしたり、チャットを使って参加者それぞれが感じたことを丁寧に受け取れることができたので、全体として気づきを深めることができました。三浦先生は「一人ひとりの体験がみんなの学びになります。」と言われたが、まさにその通り。そして最後にこんな言葉で締めくくられました。

「今、自分がどこにいるのかに気づいていることが大切です。まずは、心を鎮めることから働きかけること。そのためには心に仕事を与え、プラーナを動かす。すると心はさらに集中します。」(三浦敏郎先生)

そうすることで、その時その時に合わせたヨガの練習になるのだそうです。分かっていたようですが、改めて体験から学ぶって本当に楽しくて奥が深いなぁと思いました。本当にありがとうございました。


(文責:松倉福子)

米国クリパルセンター公認ヨガ教師(500時間)/マインドフルネス瞑想指導/朗読家。https://fukuko.yoga/

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