第20回 村長散歩日記【村内編】 230706(毎週ほぼ木曜配信)
(島田啓介マインドフルネス・ビレッジ村長による村長日記です♪)
今年は空梅雨なのでしょうか? 晴れが続くのは嬉しいけれど、体力は奪われていき、長い夏を乗り切れるのだろうかという余計な心配もしてしまいます。どうなるのかわからないのにね。憶測は当てにならないものですし。
「心頭滅却すれば火もまた涼し」という言葉がありますが、余計な考えに頭を悩ませなければ、涼しいとまでは言わなくても暑さを味わうくらいはできるのではないでしょうか?
思考にはトリックがあります。体はちゃんと汗をかき、バランスを取ってくれているのですから心配ないのです。(それでも水分補給、冷房の冷えにも注意しつつ、健やかにお過ごしください)
ビレッジは村外向けの参加自由のイベントもあります。興味を持ったらぜひいらしてくださいね ⇒ 体験入村
~~~~~~~~
【第20回:声が人と人をつなぐ場を作る】
*小学校に読み聞かせに通っている。最近機会が増えて(というより自ら増やして)ほぼ毎週だ。何がいいと言って、小学生の反応である。「最近の子は・・」と太古から人類は言い続けてきたそうだが、そんな人類史を貫く大人の愚痴など吹き飛ばすかのようにぶつかってくる。
教室に入るとすぐ話しかけてくる子。絵本を開く前に表紙を見て叫ぶ子。どこから来たの?と質問を浴びせかける子。それら声の洪水にもめげずに絵本や詩を朗読し始めると、教室の中は一転しんとする。そのコントラストが見事だ。
それが場を作る。だからぼくは安心してうきうきと入って行ける。最初からしんとしていたら、居心地が悪く、無理してでも場を作ろうと力が入ったかもしれない。「安全・安心な場」とよく言われるが、それはちゃんと関心を向けてもらえる場であると思う。あとから入ってきた者でも認識してもらえる。仲間内だけで閉じてしまわない、つねに開き続け、生きて活動する場だ。とりわけ声をかけてもらえること、それが重要だと思う。子どもたちは極めて自然にそれをしている。
大人になると忖度が働くのか、場の雰囲気が気になるのか、自分から率先して声を出すことが少なくなるような気がする。文化的な影響もあるだろう。声をかけることが当たり前の国や文化の中に入ると戸惑うこともある。ラテン系の国では、知らない外国人にも言葉が通じるかどうかなどお構いなく声をかける。会話が成り立たなくても話しかけてきて、こちらもどうでもよくなりお互いの言語で話し続けることもあった。愉快な体験だ。
通じることより、心を向けているかどうかが大切なのだ。通じるか(実際の効力)が気になりだしたら切りがない。日本人が外国語に憶病になる原因がそこにある。まず話してみて、わからなくても話せばいいじゃない?という気持ちでいると、じつは言葉でなくてもけっこうイケるものだ。旅をしていると、現地語が一切話せなくてもそれなりに対話している猛者に出会う。
言葉というより声なのだ。声が相手に届いているかどうか、その方が問題だ。内容はしっかりしていても、届かぬ声は何も伝えない。それは空疎な会話になる。
10か月生活を共に歩く旅をつづけた「パナマ—ワシントン諸宗教合同巡礼1992年」のメンバーの中には、様々な言語圏から参加者が集まってきていたが、その中でも印象的だった二人がいる。
一人はスペイン人の若い男性。まったく英語を解さない。数の数え方も知らないし、英語を覚えることに興味がなさそうだった。アメリカを除く旅のほとんどがスペイン語圏だったこともあるだろう。もう一人はアメリカ人の老婦人。驚くほど健脚のクエーカー教徒のオープンでこだわりのない人だった。しかしスペイン語はからきしできないし、覚えるつもりもない。
この二人がたいそう気が合って、年中会話しているのである。歩くときも食べるときも、二人で楽しそうに。何を話しているのか気になって近づくと、それぞれが勝手に自分の言語で話している。驚くべきことだ! さすがに細かいことまでは伝わらず、ときおり通訳を頼れた。「この人何言ってるの?」と笑いながら訴えてくる、楽しそうに。ぼくも日本語で話せばよかった。さぞかし愉快な三人組になったことだろう。
安全・安心とは、そういうことではないだろうか? 心を向け、声かけをすること。共通の言語とは、言語外にあるものだ。あるときには温かなまなざしだったり、食べ物の取り分け、席を譲ること、黙って示すことだったりもする。それらすべてを指して、「声」というのだ。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
*毎月のスケジュールはこちら(ときおり変更もあるので、必ず以下から確認してください)
https://mindfulness-village.mystrikingly.com/schedule
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?