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地獄のアニメ視聴

欧米のアニメ好きに日本語を教えているオンライン日本語教師の日常。

オンライン言語学習プラットフォームで教え始めて3年。今私のお客さんは全員アニメファンだ。今は特に私の好きな少年漫画のファンの生徒さんに絞って集客している。

どの生徒さんともアニメの話で盛り上がれる。全員が大体私と同じようなアニメが好きだ。趣味があう生徒さんしかいない。こんなに幸せなことはない。

しかし、最初からこんな素晴らしい環境ではなかった。始めた当初は、まずはお客さんが欲しくて、ターゲットはアニメファン全般。どんなアニメが好きな人でもバッチこい!いや、そんなアニメ好きじゃなくてもいいよ!ちょっと見たことあるでもいいよ!といったゆるーいゆるーいターゲットだった。
そんな訳で、最初だけはアニメ好きも、そうじゃない人もどちらも来た。(そうじゃない人は、3ヶ月後には私の世界からは消滅してしまったが…)

そして私の教えるコースは、初級の文法のコースと、フリートークがメインだったが、フリートークは、最初どんなレベルの人でもオッケーにしていた。

とにかく日本人とアニメの話がしたいというニーズがあるというのを知っていたから、こうしたのだ。

でも、これがそもそも間違いだったのだと思う。

ある日、私のレッスンをとった男性がいた。レベルはひらがなカタカナが分かるが、〜です。〜ます。も言えるか微妙な、初歩の初歩だった。
そんな彼からフリートークのレッスンの申し込みがあった。

フリートークではアニメの話がしたいということだったので、どんなアニメが好きかメールで事前に聞いた。すると10個くらい名前をあげてくれたのだが、なんと一つも見たこともないアニメだった。

どーしよ、どれも分からん!

アニメファンを豪語してるのに、一つもわからないのはさすがに、よくないと思った。

フリートークは明日の朝。それまでにはまだ時間がある。今すぐ何か見なければ!

そんなわけで、真夜中に、名前は聞いたことのある彼の推しアニメを第一話を見た。

つまらない。

どうしよう、全然好きじゃない。

好きな人には本当に申し訳ないのだが、萌え系のアニメは本当に苦手だ。

彼の挙げた作品は、スライスオブライフ、いわゆる日常系といわれるジャンルが多く、登場人物はほぼ美少女だ。

しかしながら、つまらないからと見ないわけにはいかない。明日は1時間もアニメの話をしなきゃいけないのだ。第一話見ただけでは15分も持たない。

しかもビデオを数話見ても、彼の推しキャラが出てこない。最終的にそのアニメは10話くらい見る羽目になった。

そして、やはりもう一つくらいアニメを見なくては…と別のアニメを見始めだが…気がついたら、パソコンに突っ伏したまま朝になってしまった。

迎えた朝のフリートークは、そりゃあもう、しんどかった。付け焼き刃の知識で、アニメトークは30分はできた。本人も好きなアニメの話ができてとても喜んでいたが、のこり30分はグダグダ。
しかも初心者だから、向こうは8割英語。もはや日本語レッスンではなく、私の英語レッスンと化した。しんどすぎた。and眠すぎた。  

私は2度とこんなフリートークはやるまいと思った。

こんなことがあってから、集客の要である私のプロフィールは大幅に変更。

まず、ただ、アニメ好きと書くのをやめた。
アニメファンって一言で言っても、ジャンルは色々。読書が趣味ですというくらい、広い。だから、好きなアニメのタイトルを具体的にたくさん書いた。それからフリートークは、中級者以上と書いた。

おかげで今は、私の好きなアニメが好きな人しか来ない。おかげさまで、今新規の集客がいらないほど人がたくさん来ている。

涙流しながらアニメ視聴した甲斐があったというものだ。

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