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ゼロからわかる自己調整学習②自己調整できる子、できない子(3)省察段階編

「自己調整できる子、できない子のちがい」シリーズのラストです。
最後は、学習を終えて振り返る段階(自己省察段階)のちがいです。

①自己評価がちがう(自己評価)

スポーツの練習や試合の後に記録や課題をノートに書いて振り返るといったことをやったことがある人もいるでしょう。
自己調整学習のできる子は、学習後に「今日の勉強でどのくらい内容を理解できたか」「集中が途切れることなく続いたか」といった自分の学習過程を点数化したりレベル分けしたり、言語化したりして評価します。
単純な結果やうまくいったことだけでなく、うまくいかなかったことにもきちんと目を向けられるのが、自己調整学習のできる子どもです。

一方、自己調整の難しい子どもは自己評価そのものを避けがちです。
「とにかくやったんだから、もういいんだ」という投げやりな気持ちや
「どうせ○○くんよりできてないし…」と人と比べて落ち込むなど
できたこと・できなかったことを冷静に振り返ることをしません。
周囲から見れば、以前より少しでも進歩していることもあるはずなのですが、それに気づくこともできず、ネガティブな思考をしてしまいます。

②原因の考え方がちがう(原因帰属)

うまくいったり、いかなかったりした原因を分析することも自己調整学習では大切なことです。
このとき、その原因がどこにあったのかを考えることを、「原因帰属」といいます。
この、原因がどこにあると考えるかによって、自己調整学習のサイクルが回るか回らないかが決まってしまいます。

例えば、テストで目標以下の点数になってしまった場合、その原因について2通りの考えができます。
①原因は「変えられるもの」にある
 (例)練習量が足りなかったから、勉強のやり方が適切でなかったから
②原因は「変えられないもの」にある
 (例)運が悪かったから、自分の頭が悪かったから

①ならば、努力を増やす(時間を増やすなど)、勉強のやり方を変えるといった改善方法が思いつきます。だから自然と次の学習サイクルにつながっていきます。

しかし②だと、どう改善してよいのかわかりません。そこでやる気や自信をなくしてしまい、次の学習に向かうことをためらうことになります。

これは「うまくいった時」にも当てはまります。
次のどちらの考え方が、学習サイクルを回すのに効果的でしょうか。

①原因は「変えられるもの」にある
 (例)じゅうぶん練習したから、勉強のやり方が適切だったから
②原因は「変えられないもの」にある
 (例)運が良かったから、自分の頭が良かったから

②の場合でも、その時は前向きな気持ちになるでしょう。
しかし、この考え方が危険なのは、「失敗に弱い」ということです。
一度失敗してしまうと、がくんと自信をなくしやすくなります。
これでは継続して学習サイクルを回すのは難しいですね。

ちなみに、この振り返り段階(自己省察段階)で、
「もっとやろう!」「次はこうしたい!」と次の学習へ前向きな気持ちをもつことを「プラスの自己反応」
「もういやだな」「次はやりたくないな」と後ろ向きな気持ちをもつことを「マイナスの自己反応」といいます。

まとめ


「自己調整ができる子、できない子」と題して、各段階ごとに違いを解説してきました。
もちろん最初から、「できる子」のように勉強できる子はいません。
そこで教師の「指導性」が必要になります。
では、どのようにして子供の自己調整の力を伸ばしていくのか。
次回は、自己調整能力がどのように発達していくかをご紹介します。


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