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任された仕事を全うするということ

※学級通信のネタに困ったときに、どうぞご自由にお使いください。


「杉村太蔵さん」という方をご存じですか?
 元国会議員で、今はタレントとしてテレビ等で活躍されている方です。
 昔、彼のことが書かれている本を読んだことがあります。

 彼は国会議員になる前、トイレ掃除のアルバイトをしていたそうです。
 職場は東京のオフィスビル。有名企業の入った大きなビルだったそう。
 トイレ掃除、皆さんは好きですか?汚いし、臭いし、嫌だなあと思う人もいますよね。そのオフィスビルのトイレも、決して汚くはなかったけれど、人が多い分、多少汚れと臭いの目立つトイレでした。
 そんなビルのトイレ掃除に配属された杉村太蔵さん。
 彼は汚れたトイレを見て「任されたからには徹底的に仕事を果たそう」
と考えたそうです。そして雑巾とスポンジで便器の中、床、洗面台、トイレ内の全てをピカピカに磨き上げました。彼曰く「トイレの中で布団を敷いて寝られるくらい」だったそうです。

 数か月後のある日。
 いつものようにトイレをピカピカに掃除した彼に声をかける人が。
 ビルで働く有名企業の社員さんです。
「貴方に話があるという人がいるのですが、少しお時間よろしいですか。」

「自分は何かしただろうか・・・」
 不安になりながら指定された場所に行ってみた彼。
 すると、そこはなんと有名企業の重役室でした。
 待っていたのは会社の幹部です。
「わざわざありがとう。さっそくだけど・・・」
と彼を呼び出した幹部の方が杉村太蔵さんに語ったのは
「うちの会社で働かないか」という誘いでした。
 皆が知っているような大企業です。幹部の方はこう言いました。

「頭のいい人間。運動のできる人間。いろんな人間がいるけれど、私たちが最もほしいのは、人が嫌がる仕事だろうと、任された仕事は責任もってやり遂げる人間だ。そして、君はそんな人間だと思う。うちで働かないか。」

 今週、学級の中にも
「任された仕事にすすんで取り組もう。責任をもってやり遂げよう」
という姿を見せてくれた子が何人もいました。
 嬉しいなあ、と胸が温かくなりました。
 1年生のお世話、プール掃除、朝ボランティア、配り物、給食準備・・・。 
 目立たないけれど、必ずその姿を見てくれている人はいます。
 その輝きが広がり、クラス全体がそんな雰囲気に包まれたら。きっと素敵な集団になりますね。


掃除は誠実さを測るバロメーター

 大人の中にも、任された仕事を適当に済ませる人間と、責任持ってやり遂げる人間がいます。
 どちらを選ぶかは最終的には自分自身なのだけど、どうせやるのだったら、自分も相手も気持ちが良くなるような誠実感あふれる仕事をしたいものです。

 この学級通信は、学級が安定し、少しマンネリ感が漂い始めた頃に出したものです。
 委員会の仕事やら授業で終わらなかった課題やら、子どもたちに
「これやってねー」と頼む仕事は結構たくさんあります。
 そんな、締め切りを設定された仕事(課題)を前にすると、やはり子どもたちも大人同様、二種類の行動パターンに分かれるわけです。

「これ、1分で終わることだから、今から机に戻ってやってくれる?」
「わかりました!」
「よしよし。いい返事だなあ。すぐ戻っておいでね。」
「なあなあ。今日帰ってからスケボーやらない?んじゃ集合はさあ。」
「じゃあ隣のクラスのあいつも誘おうぜ!」
 そのままトイレへ行き、忘れてしまう子どもたち・・・。
 今を生きる男子たちによく見られる行動です。

 まあ、そうやって刹那的に過ごすのも一つの生き方なのですが、やはり縁の下の力持ちとして周りのためにさりげなく誠実な行動をしてくれている子どもたちを輝かせてあげたいと個人的には思っています。

 直接頑張っている子たちの名前を載せるというのも一つの手だと思うのですが、縁の下タイプの子どもたちは目立つことを嫌う子も多い印象を受けます。だから、こうして有名人の方を引き合いに出したりしながら、頃合いを見計らって直接褒めたりしています。

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