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オンライン授業と著作権(2021/10/11)

※注 このブログはあくまで私見です。正確な内容は公式サイト等でご確認ください。

著作権法の改正により、2021年4月から授業目的公衆送信補償金制度が有償化されました。
簡単に言うと、学校の授業のオンライン配信に関する著作権関係を、あらかじめお金を払ってもらえれば、手続きを簡略化して使いやすくしよう、という制度です。

私がこの話を聞いたときに真っ先に思ったことは、
「JASRACと同じ金を巻き上げるシステムをよく考えたもんだ」でした。

私がJASRACに対して抱いているうさん臭さは こちら 等を読むと分かるかと思います。決してこの世に不必要な組織だとは思わないのですが…。

確かに学校で使用しているものの多くには著作権が存在しています。教科書、問題集、参考資料として見せる画像、放送委員が流す曲…。
これが学校の中だけで(教育目的で)使用される分には、学校における著作権の例外措置があるため、それほど細かいことを気にしなくても使えています。例えば教材として新聞記事をコピーして配ったり、運動会や学芸会のBGMに著作権の存在する楽曲を使用しても問題ありません。そのため、教員は著作権に対する意識が希薄なところがあります。

昨年度のコロナ禍から、急速に教育のオンライン化が進んだことで、教育目的とは言え著作物をネット配信する機会が増えました。
他者に著作権があるものをオンライン授業で使用するということは、教室の中で直に見せることとは異なり、データとしてネット上に掲載することになるので、複製権や公衆送信権を侵害する可能性が高いのは事実です。

それを、イチイチ許諾を得る必要があると、オンライン授業をしようと思っている教師は、その事務仕事に忙殺されることになります。
それに授業って水物のところがあり、生徒に話をしながら「そうだあの画像見せよう」とか「あのサイトに参考になる内容載ってたな」とかひらめいて提示することや、生徒から質問されて「それならこれを見るといいよ」と予定にない資料を見せるケースも多々あります。
それが、一か所(SARTRAS)に事前に決まった額を支払っておけば、後は処理しておくよ、という考えようによっては便利なシステムです。

 授業目的公衆送信補償金制度の概要

文化庁HP

現状、著作権保護のためにこういった制度が必要だという根本は理解します。
しかし、私がJASRACと同じうさん臭さを感じてしまうのは、「補償金の分配」が本当に適切におこなわれるのか、というところです。
この資料を見れば分かりますが、当然日本全国全ての学校の公衆配信状況を確認するなんてことはできないので、サンプル方式で調査するようですが、授業の配信なんてのは全世界に公開することはほぼなく、限定公開方式(GoogleMeetやZoom等を含む)で配信していますよね。それで一体何をどう調査するのか疑問を抱きました。

これは、検索すればすぐ出てきました。2021年度については約1,000校が選ばれ、SARTRASからの依頼を受けて、1か月に渡り配信した著作物をまとめた報告書を作成するのだそうです。

SARTRAS-利用報告

いやー・・・、これ、もし私が選ばれてしまった学校の管理職だったら発狂しそうです。もしくはこの期間にオンライン配信は無かったとして0報告してしまいそうです。
(コロナ禍で選ばれてしまった学校の管理職もしくは情報主任の先生は、さぞや大変だったことだろうと推察いたします。)
そんなレベルの膨大な事務仕事が学校に降ってくる恐怖…。働き方改革と逆行していますよね。これ回答の義務はあるんですかね? ただのお願いレベル?
これから徐々に各校・各自治体から補償金が集まってくる(既に集まっている?)でしょうから、ぜひそのお金で調査員を雇って、調査対象になった学校に派遣して勝手に調査してほしいです。学校は暇ではありません。

法的に認められた唯一の管理団体だそうなので(独占禁止法に抵触しないのか?とか考えてしまいますが)、学校の負担を減らすために設立された制度で、特定の学校の負担が激増するような仕組みはやめて、気持ちよく補償金を支払うためにもぜひ、調査員の派遣をお願いします。