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記者会見の戦略1

Image by Ivana Divišová from Pixabay 

敢えて、このタイトルには番号をつけることにしました。
これから時折、戦略についても触れていきたいと思います。


この1週間で第三波と言われるほど感染者が増えてきました。
政府も、専門家も、医師会もそして首長も記者会見ラッシュ。
”気が緩んでいる”ので、気を引き締めて、
感染予防を徹底してくださいと訴えました。
”気が緩んでいる”と言うのも、徹底を訴えるのも当然のことです。
ただ、言い方によっては全く意図したメッセージと反対に作用することを
肝に銘じているのかな?と疑問に思いました。

神奈川県知事は会見では自分も見たが、飲み会などで皆さんの気が緩んでいるという趣旨の発言。これは知事の発言としては反感を買います。
知事がどこまで市井の人の中で様子をわかっているのか?と思われてしまいます。ここで、事実よく知っている!でも関係ないのです。事実はどうでも良い。
どのような印象を与えるかが問題です。
権威的、上から目線と捕らえられたら、
その後のメッセージは一切心に届きません。

日本は法的整備も医療体制の整備も結局後手後手で、
そのまま1年が過ぎようとしていると感じています。
Go Toキャンペーンの矛盾にも疑問、反感を抱く方もいるでしょう。
批判するのは簡単ですが、それでは、
皆様が記者会見を開く立場だったらどう発言ますか?
日本の記者会見はとても型にはまっていますが、
実は戦略や戦術があまりないような印象を与えています。
それが狙いなら良いのですが!

Stay Home!  三密を避けて!
などスローガンは個人的にはあざといなと思うのですが、
分かりやすいので一定の効果はあります。

最新の感染者数、クラスター、医療体制の状況といったファクトを
伝えるのは当然です。
ただ、もう受け手も麻痺してくるので、
そこに文脈を持たせて伝えたほうが良いと思います。
感染者数情報は文脈を持たせやすいですね。
他の時期などと比べてどれぐらい増減したか、第二波の状況と似ているなど。
警鐘になります。
クラスターであれば、こういった場所で発生しました。だけでなく、
そこで、まだまだダウンロード数が足りないCocoaアプリを
ダウンロードしていれば、万が一クラスターに関連した方の近くにいた場合、
情報を把握できて、自分が危ないのか?がわかりやすいので
”是非、皆様もダウンロードして活用してください!”と言うメッセージを
添えても良いですね。
他にも、クラスターの発生源での問題点は何だった?
もしくはなぜクラスターが起きたのかわからない!でも良いのです。
その事実を聞き手が自分の事として考えるきっかけを提供するのも
一つの戦略です。
医療体制もそろそろ現場が逼迫します。ではなく、
病床が幾つあって、ECMOを使える病床が満杯、あと1床などの情報と共に、
ではOX県であと何人重症者が出ると、その後はどうなるのか?という
多少怖いシナリオではありますが、
現実に即した可能性を示唆すればどうでしょうか?

これは全て、さじ加減や使う言葉、話者の態度など
色々な要素が噛み合って、狙っている効果が出せるようなものです。
戦略がなくて、”気が緩んでない?”と言われるよりは
何か一つでも引っかかる→行動変容に繋がる可能性も上がります。

もちろん、全て事実のみで発言する!これは鉄則です。
真摯に事実をお伝えして、迫っている危険性を明示して、
そして、法的拘束力がない、民主主義国家で、
日本人はとても誠実な国民であることに信頼を置いて、
”ご協力をお願い致します”とおっしゃっていただければ、
コロナ疲労で辟易している国民も、
もう少し頑張ってやろうかと思うのではないでしょうか?
OOさんにお願いされたら仕方ないな、一肌脱ぐか!と思わせてくれる方、
周りにいらっしゃいませんか?
まさに、そんなリーダーがいらしたら、国民も頑張れるような気がします。

まずは、もう少し、たいそうなものでなくて良いので、
この発言で何を伝えたいか?目的は何か?から考えて、
(これはされているとは思いますが)
どう伝えるか?
HOWの部分をもう少し練っていただきたいなと思います。

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Image by Peter H from Pixabay



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