男性読者の感想が聞いてみたい ジェーン・スー『ひとまず上出来』
ジェーン・スーのエッセイは、比喩のうまさや、それ、そう思ってた!の言語化能力の高さなど、いくらでもいいところがあるけれど、なんといっても正直さが読者の信用を生むのだと思う。
山田詠美との対談でも
『ひとまず上出来』では「私にもその価値があるかもしれないのに」で、(セレブを謳歌する)「キラキラを思う存分味わえる健全な精神」への憧れと「すっぴんのままコンビニに行って、誰にも気づかれない人生」の匿名性の楽しさのはざまを、なんとも正直に吐露してくれるのです。あけすけではない、大人のユーモアでもって。
そして「やりたいか、やりたくないかの二択です」は、女性にありがちな「私なんて」の呪縛を解くためのメッセージ。これが『闘いの庭 咲く女 彼女がそこにいる理由』に引き継がれて、女性の成功譚を紹介している。
上野千鶴子が『女ぎらい』で酒井順子を「女子校文化をそのまま持ち込んだ書き手」と称したが、受け身としてのモテを意識しないという部分では、ジェーン・スーも女子校的文化の流れを汲む。
いわゆるフェミニズム論者に対する抵抗感は想像できるけれども、女子校的な、あるいはシスターフッド的な書き手に対して、男性読者はどう感じるのか?ぜひ聞いてみたい。
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