【ネタバレあり】自称Fランクのお兄さまがゲームで評価される学園の頂点に君臨するそうですよ?9の感想
これは書かずにいられない。
読んでしまったが最後、絶対ここに書くと読む前から分かってた。
めっちゃめちゃ好きで……と思わず関西弁が素で出てくるぐらい好きな作品。
正直さっさとアニメ化してほしいと個人的には思ってる。
今回はそんな私が大好きな作家さんの中でめっちゃめちゃ好きな作品。
MF文庫Jから発売の。
自称Fランクのお兄さまが
ゲームで評価される学園の頂点に君臨するそうですよ?9
三河 ごーすと先生 X ねこめたる先生
この超豪華先生方で作られる自称Fランクシリーズ最新刊の感想を書いていきます。
あらすじ
最強Fランク×学園ゲーム×頭脳バトル、第九弾!
ゲーム至上主義の学び舎――獅子王学園に君臨した元生徒会長・白王子透夜の過去がついに明かされる。
生徒会選賭で拉致されてからの壮絶な旅路を経て、透夜は新たな強者と共に遊戯の場へと帰還する。
そして幕を開ける《獣王遊戯祭》第二段階。
各クラス代表一名による《ディベート・ゲーム》に、砕城紅蓮は《絶対不運》を持つフラヴィアを送り出す。
《絶対幸運》を持つヴァチカンの誇る《聖女》・クリステラ、紅蓮への憎悪を燃やすミラなど、透夜以外にも各クラスのエース級が参戦する遊戯に《偽りの聖女》をぶつける紅蓮の真意とは……?
紅蓮VS透夜、至高の盤上遊戯が開戦!
二人の鬼謀が絡まり合い、物語は衝撃の展開へ――。
購入場所
各書店さん、もしくは電子書籍からお買い求めください。
内容を語る前に1番注目したい所はズバリ挿絵
ねこめたる大先生のイラストも最強なんですが、今回言いたいのはそっちじゃなく、この作品で決して離されないゲームの解説イラストが入ってるんですよ。
「ファイブ・ミミック」
「ディベート・ゲーム」
今作では先生のオリジナルゲーム2種がイラストで説明されており、これを読んだみんなも一緒に遊べるようになっています。
レッツプレイ!
※やってはいけません。
おかえりさないホモストーカーさん
前巻である8巻で颯爽とAクラスを襲撃し、脱落させた僕らのホモストーカーさん白王子透夜様が華麗に降臨。
今巻ではそんな透夜がどうしてアルセフィア王国で開催されている獣王遊戯会(以後ベスティア)に行けたのか。
これが今回語られます。
億年スイッチの刑に処された透夜は何と驚きの40億年超というとんでも体感時間でも廃人とならずに元気なのは、正直言って化け物としか言いようがない。
きっかけは作中で。
「白王子のアクセスキーを使用して、外部端末から何者かがクオリア端末にログインしたようだ。これは……?」
「接続先は獅子王レジャーランド? それも客室から簡易ログインだと? しかも白王子の端末……《億年スイッチ》への強制アクセス‼」
と作中で書かれた事件から目覚めることになるのですが、これ仕組んだの絶対に獅子王創芽でしょ。
獅子王創芽については後ほど語ります。
この謎アクセスで拠点が暴かれてはマズイと思った研究者は。
「透夜なら40億年も体感させたし廃人になってるやろ!」
と思って《億年スイッチ》を停止させてしまうんだよね。
白王子家が産んだ化け物はそんな研究者の想像を置き去りに復活してしまう。
復活早々自分の場所を特定し、拘束してる部隊の男2人の脇腹を撃ち抜いて、麻酔銃撃たれるも。
『着弾点を見極め、身を躱しただけだ。さて、それで終わりか?』
などと申してサクッと避け、ヘリで逃げようとした研究者を、離陸しかけとはいえ跳躍してダイナミック侵入そして顔面にワンパンチ。
一体どこの化け物だよ!
と言いたい。
「待っていろ、宿敵よ。砕城紅蓮よ。――今、往こう」
じゃねぇよ!
透夜陣営の佐々木枠登場
読む前は。
「また、ねこめたる先生……こんな可愛い娘描いちゃって(しゅき)」
って思い、どんな狂気じみた王族なんだろう……って思ったものの、一家に一台みんなの『佐々木枠』だった。
ただ違うのは、THE 普通(作中では)の佐々木ちゃんと違って、アルセフィアという姓を持ってるぐらい最低限の胆力と度胸を持ってる王族だなと感じた。
透夜も
(偽物ではあるまいに。身分証明付きの名刺はクオリアの承認を得た本物だ。ならば――これは、何を考えている?)
と思考するほど、紅蓮や透夜みたいな化け物からしたらTHE 普通人の行動と思考に予測つかないんだよね。
これは紅蓮も同じく『佐々木咲』をそう評価していて、作中でエーギルちゃんの評価は透夜と同じ。
この2人は今後展開を引っ掻き回す重要やキャラだと思う。
さて、そんな透夜はエーギルを連れて仲間探しをするわけなのですが……。
片目と顔の半分を代償の痛みを伴っても紅蓮の事を考えるホモの鏡
お仲間探しの旅を初めた透夜とエーギルちゃん。
「まだ見たこともない未知(クオリア的な意味で)の強いやつと戦(遊戯)えるなんてオラ、ワクワクすっぞ!」
などと申して(直訳)遊戯村(デュエルしそうな名前)まで面白いからという理由だけでラクダで向かった透夜様。
自分の嗅覚を頼りに遊戯村最強の男カムランくんに戦いに挑むわけですよ。
※また男か……。
罠にかかって顔の半分に致命傷を受け、片目は失明するという大怪我を負うものの、それすらも。
「眼球を貫かれるこの痛み。仮想世界の話とはいえ奇しくもあの砕城紅蓮が、御嶽原水葉との遊戯で体験したものと同じ。ククク……俺は今、奴の味わった快楽を時と場所と相手を変えて追体験できているのだ。以下略……」
などと、もう頭がキチってるとしか言いようがない変態ぶりはさすがとしか言いようがない。
ルール上嘘は1回しか駄目というのに対して2回嘘を言った透夜。
「宝箱に細工をしたのは俺ではなく……そこの凡夫なのだからな」
などと口上を申し立てて上手いこと詭弁で場を掌握するのは流石としか言いようがない。
さて、そんなカムランも戦うのが大好きで、お前たちサイヤ人か何かかよ! って思うバトルジャンキーを引き連れてベスティアに向かうわけです。
戻りつつある砕城紅蓮
さて時系列は戻り8巻後のお話に続いていくわけなんですが、9巻では紅蓮様は遊戯をしないで見学に徹します。
この9巻での主役は心の底からクリステラを憎んでるフラヴィアと、バトルジャンキーを引き連れて戻ってきた僕らの白王子透夜様……なんだけど。
個人的に1番注目してほしいのはやっぱりこの作品の主人公砕城紅蓮。
作中ず~~~~~~~~~~~~~っといつもの紅蓮様と違う違和感マシマシで描かれているんですよね。
リムジンで窓に映る赤い目にゾクリと戦慄したり、いつものツッコミもない。
今まで日常を大事に愛していた紅蓮はさよならバイバイ、おかえり絶対勝利のチケット砕城紅蓮という避けられない未来だったんですよね。
そのスイッチを早めたのは悲しいことに実妹である可憐ではなく、白王子透夜って所が皮肉って感じ。
可憐からすれば、この昔のお兄様に戻るというのは大歓迎なわけなんだけど、本当にこれお互い大事に思っているのに交じることのない兄妹って悲しいというか哀れというか、このままじゃいつまでたっても交じることはなくて駄目だな……とは感じる。
というのも、モナが『未来視』……というか占い、それとも同じ『女性』だからなのか。
「――貴方の未来、今進もうとしているその道は……『辛い』わよ。とてもとても嫌な『選択』が、望まぬ『未来』が訪れるかもしれない」
と語っているわけなんですよね。
読者としても、このままじゃ危ういよな……とは思うわけで、こういう細かい機微に1番敏感なキャラクターなのが佐々木咲なんだよね。
このキャラクターを端的に言えば、読者に近い位置にいるキャラクター。
本来ならこの作品ではモブとして扱われるキャラクターなわけなんですが、結構作品で重要な位置づけのキャラクターとして置かれているんですよね。
というのも、特設サイトでも。
こうしてしれっと理事長の横にいるんですよね。
自称Fランクのお兄さまがゲームで評価される学園の頂点に君臨するそうですよ?6.5では
表紙まで飾るこの優遇ぶり。
作中でも佐々木咲は
「……あの時と、同じ顔じゃないですか。大丈夫なんですかね……佐々木は心配ですよ」
と不安そうにしているのが見て取れる。
上記セリフ後の可憐と佐々木のシャワーシーン(意味深)では
「紅蓮様のこと、見てあげてくださいね、可憐さん。それができるのって佐々木じゃなく、妹である可憐さんだけだと思いますから。ほら佐々木、モブキャラですので」
と忠告しているんですよ。
誰よりも今の紅蓮を理解してるのが、実妹で兄を男として愛しているメインヒロイン砕城可憐じゃなく、モブと自分でも自称する佐々木咲って所が皮肉だなと感じる。
これ完全にこう……フラグじゃん。
堕ちた聖女と墜ちる聖女
そんな暗雲立ち込めるキャラクターの心情を他所に作中ではクライマックスに突入。
紅蓮はフラヴィアに大事な物を捧げさせようとするんですよね。
ユーリの時と同じく、それは『今』の自分自身を支える唯一のもの。
捧げてしまってはもう二度と元には戻れない。
言葉という悪魔との交わりで偽聖女は堕ちてしまうわけなんですよ。
ディベートゲームが開催し、ここでフラヴィアが何故聖女クリステラをここまで憎んでいるのかという理由が語られるのです。
聖女クリステラが《絶対幸運》を持っているのに対して偽聖女であるフラヴィアは《絶対不運》。
表と裏、光と闇みたいな絶対的な関係なんですよね
ここでフラヴィアがクリステラを倒すには普通にやっても倒せない。
いや、倒せる方法がないんですよね。
紅蓮も
「お前の信仰は最もにくい仇に対してのみ一切の役に立たないガラクタだ――と」
フラヴィアに語りかけるこのセリフが全てですよね。
どんなに憎くて憎悪しても自分じゃ絶対に倒せないという相手を倒す為に悪魔が求めたものが『憎いやつを愛させろ、そして自分も愛せよ』という地獄の片道切符。
ここでフラヴィアがクリステラにした一手、それは……。
キス
聖女にとって処女性は大事なもので、クリステラは《絶対幸運》の為に『性愛』から切り離されてきたんだよ。
一般人からすればたかがキスなんだけど、処女性を大事にしている聖女にとって『性欲』という汚れは天敵すぎるというありがちなお話。
ヴァチカンもクリステラを『性欲』から隔離していたのが仇になり、『性愛』を知ってしまった聖女は墜ちるわけなんですよね。
聖女を堕とす悪魔となったフラヴィアはもうまさに『色欲』が相応しく、ここ読んでて思ったのは……。
ごーすと先生はこの辺りやっぱり『七つの大罪』をモチーフにされてますよね?
ユーリの時もそう思っていて、こうなんだかシックリと感じるんですよね。
読者に恐怖を感じさせる主人公
そんなディベートゲームも1位ミラの2,000枚で決着と思いきやゲーム終了後の順位はEクラスである透夜が1位に。
これはペラペン先生が『1219枚』は中央棟、遊戯準備室に保管するって言葉にしていて、ゲームはここから既に始まっていたんですよね。
ここで透夜がやっていたことは、ゲーム中もずっと紅蓮のことを見ていて、2人だけの思考勝負をしていたわけなんですよ。
紅蓮と透夜、2人の実力は五分五分で、唯一紅蓮が負けているのが『仲間』なわけで、今回は透夜に分配が上がります。
ここで透夜は
『貴様の血はもう、飲み飽きた』
「次の勝負が、最後だ。それまでに目覚めておかねば――貴様も、貴様の大事な者達も」
と言葉を残して去っていくんですよね。
好敵手である紅蓮のライバルキャラである透夜が強くなって帰ってきた今巻ですが、正直そこよりも強烈だったのはやっぱり紅蓮。
「ばーか」
「今のは完全に、おはようございます、だよ」
のセリフとねこめたる先生の挿絵で紅蓮ドアップ。
ここ見て恐怖覚えない読者いるか? ってぐらい初めて作品の主人公に『恐怖』という感情を思い起こさせる作品ってないよ。
遂に日の目を見る今作史上最大の敵
多くを語られないのですが、最後の最後で大事なことを残していて、獅子王創芽と紅蓮が駆け引きをしていたわけなんですよね、透夜との思考戦をしているのにも関わらず。
ようやく表に出てきた《原初の十三人》の1人である獅子王創芽とクオリアAI。
これら13人とAIがこの作品で最後に戦う遊戯者だろうなと思うと、まだまだ未知の怖さと世界が広がっていくなと感じる。
今後の展開と予想
今後直近の展開としては、おそらく次の10巻は
・御嶽原姉妹
・朝人と姫弧カップル
・お気楽トリオwithアビゲイル
この3グループの遊戯戦が展開されるんじゃないかなと思う。
紅蓮と透夜の戦いは11巻かそれ以降に持ち越しかなと思う。
多分長くても14巻か15巻ぐらいには獣王遊戯会編も終わるんじゃないかな? とは思うけど、五分五分という感じ。
まだまだ未知の凍城兄妹もあるし、本当に次巻が楽しみ。
最後に
この感想を執筆中に知ったわけなんですが、ごーすと先生はもう10巻の詳細プロット書き終わったんですよね? 10巻期待しています!
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