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【ネタバレあり】千歳くんはラムネ瓶のなか 3の感想

 いや、お前1巻と2巻の感想書けよってお話ですが、許して。

 今俺が書きたいのは3巻なんだよ!(読み終わったばかり)

 ってことで始まりました感想の第1回は、ガガガ文庫から発刊されている超人気の話題作。

「千歳くんはラムネ瓶のなか 3」

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あらすじ

6月の進路相談会で顔を合わせて以来、俺と明日姉は学校でも会うようになった。

まるでデートのように出かけることも増え、俺は嬉しい反面……どこか切なさにも似た感情を抱えていた。
それがひどく身勝手なものだということも理解しながら。

明日姉は、東京にいく。物語を「編む」人になるために。
俺は、笑顔でこの人を送り出せるだろうか――。

大人気“リア充側"青春ラブコメ、第3幕。
遠い夏の日。君とまた会えますように。

購入場所

 各書店さん、もしくは電子書籍からお買い求めください。

 こうしてキッチリ宣伝するとは読者の鏡。
 さて、それでは感想。

 ここからは自分が気になった所をピックアップして語っていく。

第3巻は『最終回』というよりも始まりである

 書籍が発売した直後、twitterでは絶賛の嵐で埋まっていたが、その中でも「最終回」or「いい最後だったな」といった感想が自分の目にはよく写っていた。

 さて、実際に読み終わって見れば、確かに皆がそう思うのも無理はない全力ぶりだなと思ったのだが、どちらかというとようやくスタートラインに立つんだなといった言葉が最初に出てきた読了後の感想。

 また、ラブコメというよりも暑いバトル作品を読んだのでは? と錯覚を起こす程だった。

実のところ1巻2巻読了時点では余り刺さらなかった

 本格的感想を言う前に、そもそも3巻を読むまでは「千歳くんはラムネ瓶のなか」という作品は自分には余り刺さらなかったのだ。

 素人目で見ても文章のクオリティや構成、各キャラクター含めて魅力満載の作品だったのだが、まぁ刺さらない。

 正直に言うと。

「まぁ面白いし次巻も買うけど、そこまで絶賛する程でもないな……」

 というのが2巻まで読了した時点の感想だったし、もし3巻が2巻の様な構成だったら絶対に途中で飽きが来て買うのを止めてた

 国語弱者の俺では2巻まで読んだけど主人公にピンと来なかったし、タイトルである「千歳くんはラムネ瓶のなか」の意味をよく汲み取れなかったのだ。

 なので魅力のあるヒロインが先行してるけど、主人公を雑に言ってしまえばエロゲでよく見かける主人公キャラ以上でもなく以下でもない。

 しかし決して悪い印象はなく、きちんと魅力あるキャラには仕上がっているのだが、他の作品以上かと言われると首をかしげざるを得ない。

 なので前代未聞の主人公は超リア充というキャッチコピーが先行しすぎていた。

 というのが2巻まで読んだ時点の俺の感想だったのだが……。

3巻の主役キャラである「西野 明日風」編はもっと後だと思っていた

 1巻の時点で、「西野 明日風」通称「明日姉(あすねえ)」は主人公にとってのキーキャラクターだから、この娘のお話がこの作品にとっての土台。

 というよりも根本にあるんだろうなって思っていました……が、思いっきり作者に振り回された。

 正直3巻発売します! で表紙見た時。

「嘘でしょ!?」

 とリアルに声出たのが記憶に新しい。

 さて、そんな3巻で自分が1番伝えたいのは。

主人公含めてどのキャラクター達も『千歳くんはラムネ瓶のなか』というフィルターを通して読んでいるだけで、実在はしないけど彼等彼女等はれっきとした『高校生』だということ。

 いや、サブタイ長すぎでしょ。もうちょい短くしろよと思いましたが、本当に1文字も削らずにこれを言いたい。

 1章の作中でも朔と明日風がお互い言っていた。

「女子高生、なんだね」
「女子高生、なんだよ」

 というこの言葉が2人だけのメッセージではなく、作中から飛び出して読者にぶつけてくるとは思わなかった。

 決して他の作品でもよく見かける魅力あるキャラクターではなく『女子高生』というよりも主人公含めて『年頃の高校生』なんだ。

 っていうのがキャラクターを通して作者からのメッセージだと勝手にだけど読み取れた。

1章中盤までの他キャラクターピックアップは、ボリューム増っていうだけではなく、本巻に必要な内容だった。

 自分は電子書籍なので特別短編も最後に読んだのだが、ここまで読んでから改めてこの1章を読み終わると。

「千歳 朔にとって本当に大事な『仲間』なんだな」

 と思ったし、あとがき後にあった特別短編はこの為にあるんだと感じた。

 正直、先に読んでも後で読んでも変わらないかもしれないけど、個人的な意見を言えば後で読んで欲しい

 むしろ何故このエピソードが特別短編なんだ。本編じゃねぇか! って声を大にして問いたい。

 特に1番のお気に入りは青海 陽とキャッチボールする所だよね。

 無茶苦茶カッコ可愛いし、3巻で登場した魅力あるキャラクターランキング(勝手)第2位だったよ。

 特にみんなでショッピングした所のイメージチェンジは絵で見たい。

BUMP OF CHICKENの『ギルド』ここテストに出ます

 BUMP OF CHICKENは自分も好きなアーティストで、特に作中で登場した『ギルド』という曲の歌詞にはこういった言葉があって。

汚れたって受け止めろ世界は自分のモンだ
構わないからその姿で生きるべきなんだよ
それも全て気が狂う程まともな日常

 もう本当の事いうとgoogle先生に頼んで歌詞検索して全部読んで欲しいし、なんなら全部引用したいのだがこの場では控えさせてもらう。

 ただ、このギルドという曲の上記の歌詞が1番心に響いたよね。

 ただただ懐かしいし、自分の青春時代を思い起こされたよ。

『どうか君の隙間を埋められるピースが見つかりますようにと、願いを込めて。』

 そう明日風から手紙を貰って貸してくれたユグドラシルのアルバム。

 この曲を聴いた時の朔はどれだけ救われたことだろうか。

3章でのラブホお泊りシーンで、もしセックスをしていたのなら

 千歳 朔という人物にとって絶対にあり得ない選択なんだけど、もしもそういう選択をしていたらというif。

 セックス出来たかどうかで言えば、セックスは出来たと思う。

 ただ個人的な予想だけど、そこからエピローグまでの流れにはならなかったんじゃないかなと。

 もしあそこでこのまま西野 明日風が千歳 朔に抱かれていたのであれば、もう西野 明日風という人間は死んでいて、千歳 朔に依存するだけの西野 明日風が新しく生まれていただろう。

 その依存は夢を壊して堅実に福井で生きる道を選ぶ。

 そして千歳 朔を思い続けながら別の誰かと結婚して普通の幸せを送るんじゃないかな。

千歳 朔というキャラクターについて

 ただ単にギフトが他の人よりも多かっただけで、いいことばかりではなく朔もれっきとした『高校生』だ。

 出来すぎるからこそ小学生の時からの重しは辛かっただろうなと思う。

 それでもヒーローを捨てることが出来ずに不器用な行き方は正にヒーロー。

 リア充という簡単な言葉表現したくなくて、千歳 朔もれっきとした熱い主人公だと思う。

 今巻を読んで、ガッツリイメージが変わった読者もいるんじゃないかな。

ヒーローとヒロイン

 ヒロインってみんなヒーロー惚れるじゃない? 『モテる』とは当然外見や話術といった所が最初に来るけど、あくまで最初だけでその人と付き合い続けたら中身が当然見えてくるよね。

 その中の部分をこの作品のヒロイン達は経験から見ているんだと思う。

 だからこそ朔がたまにやるエロい振りにもヒロイン達は乗っていけるし、自分からも振れる。

 それは千歳 朔が心の底から安心できるヒーローであると信じているから。

 だからこそ彼女達は安心しているのと同時に非常に難しい立場にあるだろうなと思う。

 実の所、本当のヒロインは彼女達5人ではなく『千歳 朔』じゃないかな。

最後に

 最後だから少しだけ自分語りを入れるのだが、こうして3巻で刺さったのは明日風の悩み。

 作中でも語られていたけど、高校生の時に明確として将来の夢をイメージできる人って本当に少ないと思う。

 漠然と大学入って、そこで多分やりたいことを見つけて、就職して結婚していく。

 ただ実際はその殆どは大学に入ってもやっぱりやりたいことは見つからなくて、適当な会社に就職している人は多いんじゃないかな?

 自分は高校時代、運よく夢を見つけることができた。

 だからこそ本巻の内容は非常に自分に刺さる。

 それは高校時代の自分を思い出したからだ。

 ただ明日風との違いは、親が自由にさせてくれた事に尽きる。

 そしてやると決めたらテコでも動かないワガママなクソガキだった。

 お陰様で今でも夢だったホームページを制作するWEB屋さんをやれている。

 もうちょっと語れるけど、自分語りはちょっと恥ずかしいのでこの辺で。

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