私がnoteで「本名」を使っていない理由(2024年 秋)
私は「teaまるお」というペンネームで記事を書いている。
noteで活動するにあたり、本名でいくかペンネームでいくか、最初にそのことで悩む人も多いと思うけれど、私は悩むことも迷うこともなく、ペンネーム一択だった。なぜなら───
「私の名前が有名人と同姓同名」だったために、本名でnoteを始めるといろいろ面倒かも、と思ったからだ。
ちなみに、私自身はどこにでもいる無名の人である。
名前は有名だけど無名。
これはなかなかしんどい。
「有名人と同姓同名なんて目立っていいじゃん!」
もちろん、そういうマインドの「有名人と同姓同名人」も中にはいる。
だがもし、犯罪者や悪人と同姓同名だったらどうだろう。逆に、偉人や有名人だと「名前負け」などと理不尽なことを言われることがあるかもしれない。
たまたま「有名人と名前が同じ」というだけの「名前だけ有名人」は気苦労が絶えないのである。
例えば、
宅配便で荷物が届いた時やデリバリーのピザを注文した時。
ドアを開けると配達の方が、
「〇〇さん、ですか?」
単なる本人確認なのだろうけれど、なんだかその訊き方が「もしかして、あの有名な〇〇さん、なわけないですよね?」みたいに聞こえてしまう。
そもそも、ウチのオンボロマンションに入った時点で配達の人は「こんなマンションにあの〇〇さんが住んでるわけないよな」と思うだろうが、「だったら、一体あの〇〇と同姓同名の人はどんな人だろう」と好奇な目を向けてくる場合がある。
ただ、これらについては配達する人が同じ場合が多いので、最初の数回我慢すれば、それ以降は相手も「名前」と私に慣れてくれてストレスもなくなる。
次に、ホテルに宿泊する時。
「では、こちらにご記入お願いします」
ホテルでは最初にフロントで宿帳への記載を求められる。
私は正直者である。
素直に正直に、自分の本当の住所氏名を記入する。なのに・・・
一部の不届き者、そして不幸にも私の「名前が有名」なばかりに
「あれ、この人、偽名使ってる?」
と思われかねない。
ちなみに、
ホテルの宿泊者名簿に偽名や偽の住所を書いても「私文書偽造」罪に問われることはない。しかし、旅館業法により偽名や偽の住所を書くことは禁止されており、違反すると拘留や科料といった刑罰の対象になる、そうだ。
私は嘘偽りなく本名で堂々とホテルに泊まっているのに、ホテル側が「コイツ、怪しいな」と思っているとしたら、悲しすぎる。
私は何も悪いことをしていないのに。
私の名前が有名人と同姓同名なばっかりに、相手に余計な警戒心を与えてしまう。
そして、飲食店。
電話で食事の予約をする時に必ず訊かれるのが、
「電話番号と、お名前をフルネームでお願いします」
そう言われるたびに私は心の中で溜息をつき、仕方なしに「有名な名前」を言う。というか、言わされる。
ただ、この場合はまだ救いがある。なぜなら電話の時点で「名前は有名人と同姓同名だけど、明らかに声が違う」から。
厄介なのが「ネット予約」である。
予約確認画面を見るたびに思う。名前だけだと私は間違いなく有名人である。そして、そこには声がない。つまり、名前を見た人は「もしかして本物の〇〇さん?」になってしまう可能性大である。
ネット予約だと最後に「備考欄」があるが、私は毎回思う。
ここに「ちなみに私は有名人ではありません。ただの同姓同名です」と書けたらどんなにいいだろう、と。
しかし、そんなことを書いたら逆に変な人だと思われるだろう。あるいは自意識過剰のイタい人だと思われるかもしれない。
そして、私は予約した飲食店に行くのだが・・・
「予約した〇〇です」
と私が言った時の店員さんの反応が気になる。
お店の人が、
「もしかして、あの〇〇さんがお店に??」
と思っていたとしたら・・・なのに、来たのはただのオジサン。
特に店員さんが若い女性だと、本当に申し訳なくなってしまう。きっと彼女はガッカリしてるんだろうな、と想像し、いたたまれなくなる。
もしかしたら彼女は「有名な〇〇さんかも!」と思って、休み返上で頑張ってバイトに入ったのかもしれないのに。彼女の貴重な休みの日を私が台無しにしてしまっていたとしたら本当に申し訳ない。
そもそも、私は最初から期待させるつもりなどさらさらないのに、私の名前が独り歩きして勝手に期待させてしまうのだから、どうしようもない。
期待させて、ガッカリさせる。
これって本当にキツい。
でも、だからこそ私には野球選手とかサッカー選手とか、オリンピックに出場する選手たちの気持ちが「少しは」わかる。
試合を見ている人は間違いなく、選手たちが活躍してくれることを期待している。なのに、その期待に応えられなくて、多くの人を失望させてしまえば選手たちは相当つらいだろう。ただ───
私と選手たちの間には大きな違いがある。
選手たちは活躍できる時と活躍できない時があるけれど、私の場合、活躍できる場など最初から用意されていない。
「期待させて、ガッカリさせる」しかない。こんなひどいことがあるだろうか。
だって、私は有名人と同姓同名なだけで、それ以上でも以下でもないのだから、活躍しようがない。
もはや、ため息しか出ない。
さらに、病院ではこんなことが起きる。
病院で私が名前を呼ばれると、それまでスマホを見ていた人が、さりげなく私を見てくる。そして私が「ただ有名人と同姓同名なだけのオジサン」であることがわかると「何だ、違うじゃん。損した」みたいな感じで視線をスマホに戻す。
「期待させて、ガッカリさせる」いつものパターンだが、私が病院にいるのはほとんどの場合、具合が悪いとき。しかし───
具合は悪いが、私は何も悪くない。
具合が悪い時はいたわって欲しいのが人情、なのにこの仕打ちである。
具合は悪いけれど、なんだか腹が立ってくる。
よって私は、よほどのことがない限り病院には行かない。もちろん薬局にも行かない。
私は絶対に病気をしないぞ、という強い気持ちで日々を生きている。
人間、やはり気持ちが大事。
昔から言うではないか。
「病は気から」と。
だから私は日頃からかなり健康に気を遣っている。
もしかしたら、私が「有名人と同姓同名」じゃなかったら、ここまで健康に気を遣ってはいなかったかもしれない。そう考えると「有名人と同姓同名」なのも悪くない、今はそんな風に思うよう心掛けている。
それに、私には「まだ死ねない、こんな理由」もある。
この先、婿養子になって名前が変わることはないだろうし、改名するつもりもない。「有名人と同姓同名」のまま、この先も生きる予定だ。
だから、
私は頑張る。
この名前で、くじけず頑張る。
noteを始めるとき「有名人と同姓同名」であることをネタにすれば、もしかしたら興味を持ってもらえたり、面白がってくれる人もいるのではと一瞬思ったが、もともと目立つことが苦手な性格も災いし、結局、消去法的に「teaまるお」になった。
noteではいかにアピールをして記事を読んでもらうか、それが大事であることはもちろんわかっているだけに、もどかしさもあるけれど。
ちなみに───
ペンネームを「teaまるお」にした理由は、紅茶好きなこと、そして家で「まるお」と命名したガジュマルを育てているところから、その二つを合わせて「teaまるお」にした。
「teaまるお」
結構、気に入っている。
それに「teaまるお」と同姓同名はいないだろう。なので、もうしばらくは「teaまるお」でいるつもりだ。
有名人と同姓同名というのは、どこかで「バッタもん」扱いされているような気分になることがある。同じ名前で優劣を感じるのは、なんだか悲しい。
「ナンバーワンではないけれど、オンリーワン」
「自分という人間は一人しかいない」
もしかしたら、私はそのことにこだわっているのかもしれない。