「INFP」な私が、その結果に思うこと
「16パーソナリティ性格診断」
聞いたことはあるものの、私の周りでは誰もそのことを話題にしていなかったため、最近まで特に気にしていなかったのだが、つい先日───
「まるおさん、ちょっとこれ、やってみて!」
そんなLINEのメッセージとともに、ついに私のところにも「16パーソナリティ性格診断」がやってきた。
もともと、テストや診断は嫌いではない。
年齢や性別といった素っ気ない質問とは異なり、なかなか興味深い問いが並んでいる。楽しみながら多くの質問に答えていくと、あっという間に診断結果が出た。私は・・・
「INFP(仲介者)」だった。
ちなみに「仲介者」とはどんなタイプなのか───
早速、その診断結果をLINEの向こうにいる友人に報告したところ「そのまんまじゃないですか!」と言われたが、私自身は少し、引っかかるところがあった。
確かに、思い当たることはある。いや、友人の言う通り、ほぼ「正解」と言っていいのかもしれない。ただ、改めて質問内容を確認し、その結果を見たとき、私は思った。
この結果は「本当の自分」を表すものではないのかもしれない、と。
というのも「ありのままの自分で正直に回答してください」と書いてある時点で、これは主観を最優先していいと読めるわけで、「ありのままに」「正直に」回答すれば、そこに客観性が入り込む余地はないと考えるのが合理的だ。
そんな客観性に乏しい回答から導き出された「性格タイプ」に果たしてどれだけの信ぴょう性があるのか。だとすると、診断結果は「本当の自分」というよりは「なりたい自分」であり「他者からどう見られたいか」という願望なのではないか。私はそんな風に思ったのである。
ただ───
そんな釈然としない思いを抱きつつも、一方ではその結果に納得し、いくらか満足すらしていた。その理由はきっと診断によって導き出される「16のタイプ」すべてが魅力的だからだろう。
診断によって導き出される「16のタイプ」は以下のとおり。
診断をすれば、その人は必ず、この中の「誰か」になる。どれも「素敵な肩書」である。
個々の好みはあるにせよ、どのタイプになったとしても、きっと悪い気はしないだろう。
それに、それぞれの特性を読むと、そこにはそのタイプが持つ素晴らしい「資質」について書かれていて、自分らしく生きるためにその背中を押す「言葉」が溢れているが、そのすべてに共通するのが───
行間に溢れる「あなたは価値ある人です」というメッセージ。その想いが、まるで隠し味のようにさりげなく、散りばめられている。
例えば「人間には限りない可能性があり、誰一人、同じ人はいない。そして価値のない人はいない。あなたにはあなたにしかない魅力があり、価値がある」そんなことを真正面からストレートに言われても、おそらく多くの人にはあまり響かないし、届かない。
しかし、この16パーソナリティ性格診断で、
「あなたは巨匠です」
「あなたは指揮官です」
「あなたは主人公です」
そう言われたら、なんだか「自分が特別な人間」に思えてくるから不思議だ。
実際、noteでは多くのnoterさんが16パーソナリティ性格診断を取り上げていて、その診断結果は多くの人を元気づけ、勇気づけ、そして癒し、救っている。
みんな、どこかで自分が「特別でありたい」と思っているのだと思う。当然だ。それが人間の本質的な欲求なのだから。
つまり、16パーソナリティ性格診断で大事なのは、その診断結果の正確さではなく、すべての人に「あなたには価値がある」と思ってもらうことであり、それぞれのタイプに優劣はなく、それぞれがそれぞれに欠かせない役割を担っていて、すべての人が「かけがえのない存在」なのだ、と示すことにあるのではないだろうか。
そして、その人が「本当はどういう人間か」ではなく「どんな人でありたいのか」という視点で捉えることによって、よりよいコミュニケーション、そしてよりよい関係を築けたらいい、そんな願いが込められていると感じているのは私だけだろうか。
あるいは、その人が心に描く「なりたい自分」を知ることで、そのために必要な資質を引き出すためのサポートをすることだってできる。
例えば、その人のタイプが管理者とか幹部だったとしたら、会社で「リーダー」としての役割を与えてみるのもいい。まさに、
「立場が人を作る」のだから。
実際に、私が診断をして得たINFPも、私自身が「こういう生き方をしたい」「こういう自分でありたい」という、日頃から意識していることが結果として出てきたにすぎない。
なので、潜在的な意味においての「本当は自分がどんな人間なのか」はわからないけれど、それはそれでアリだと思っている。
そもそも、その人の本当の姿や本質など、もしかしたら本人にすらわからないかもしれない。しかし、その人が日頃から目指している自分だったり、なりたい自分を16パーソナリティ性格診断によって示してくれることによって、それがその人の「トリセツ」となり、その人との建設的で平和な「接し方」、そしてその人の「活かし方」がわかる。
それに、初対面だとこうした「パーソナル情報」が事前にあるかどうかで、相手との接触を試みるうえでかなり大きなメリットになる。逆に、相手にとっても、こちらの「パーソナル情報」がわかることで不要なトラブルが回避できるかもしれない。
少なくとも、この性格診断は相手が「どう見られたいか」「どう見て欲しいのか」を見事に表現しているし、それが顕在的にしろ、ある程度「性格特性のようなもの」はわかるからだ。
つまり労せずして相手の「トリセツ」がわかるので、不要な衝突はある程度回避できるし、相手の人となりを知る手がかりとして、これ以上のフックはないかもしれない。ただし───
16パーソナリティ性格診断で「いい結果」が出たとしても、そこで満足してしまっては何の意味もない。
例えばそのタイプが「希少性の高いタイプ」だったり、「より重要な役割を果たすタイプ」だったとしても「そのタイプ=あなたの価値」ではないからだ。
あくまで、あなたにそのタイプの「資質」があるというだけ。それ以上でも以下でもない。
どんなに才能や能力に恵まれても、活かせなければそれはただの「宝の持ち腐れ」。どんなに凄い潜在能力があったとしても、それを顕在化させなければ、それは何も持っていないのと同じ。
「資質」という宝は、きちんと掘り起こし、そして日々磨くからこそ輝く。
すべてはあなた次第だ。
あなたのその宝が「あなたの色」を放ち、そして輝くのを楽しみにしている人、期待している人、ずっと待っている人が、きっといるはず。
ただ───
残念ながら、世界の99%以上の人は社会的に特別だと思われる「有名人」や「著名人」ではない。それが現実だ。
しかし、だからといって世界の99%以上の人が必要な人間でないかと言えば、そうではない。会社は多くの従業員がいなければ回っていかないし、プロスポーツ選手は試合を見て応援してくれる観衆がいなければ、趣味でやっている草野球と変わらない。
それは、アイドルや俳優といった芸能人も同じ。「一見、特別な人」だと思われている人は、実は「一見、特別でない、多くの人たち」に支えられている。
しょせん、世の中なんて、そんなもの。
だからこそ、みんながみんな、等しく尊重されるべきだし、大切に扱われなければならない。誰一人、「いなくていい人」なんていないのだから。
「噓から出た実」という言葉がある。
嘘のつもりであったものが、結果的に図らずも真実となることの意味だが、最初は違っていたはずの人間性が「なりたい自分」になりきるという「嘘」を吐き、そんな自分を演じ続けていくうちに、気づけばその「嘘の自分」が本当の自分になっている。16パーソナリティ性格診断には、そんな風に人を変える力があるのかもしれない。
なりたい自分とはつまり、自分にとって「夢」や「憧れ」のような存在。
一人ひとりが、その夢を叶えることでよりよき世界、よりよき未来へと繋がるのだとしたら、どんどん自分に「いい嘘」を吐いて欲しい。
もし今、自分を好きになれないのならなおさら、今の自分に嘘をつき、その嘘をつき通して「なりたい自分」になって欲しいと思う。
もちろん、大切なのは有名人や著名人といった「一見、特別な人」になることではない。特別なんかでなくていい、「かけがえのない人」になることだ。
そもそも、世界に同じ人間はいないのだから。その人のその存在自体が特別であり、唯一無二なのだから。
そのあまりに根源的な真理をきちんと提示し、認識させ、そしてその人のあるべき自分、なりたい自分への道筋を教えてくれる、16パーソナリティ性格診断はそんな役割を担っているのだと私は思う。
今この時もきっと、世界のどこかで自分に絶望している人がいるだろう。そんな人にこそ、16パーソナリティ性格診断と出会って欲しい。
建築家・論理学者・指揮官・討論者・提唱者・仲介者・主人公・運動家・管理者・擁護者・幹部・領事・巨匠・冒険家・起業家・エンターテイナー。
あなたは間違いなく、この中の「誰か」だ。
何者でもない人など、いない。
あなたにはきっと、価値がある。
「理想と現実は違うよ」
まるで人生を悟ったかのように、こんなことしか言えない「自称」大人は多い。
そんなことをグチグチ言う暇があるなら、私は手を動かし、モノを考えたい。
「今の現実」を「未来の理想」に変えるためにできることは、きっとあるはず。たとえそれが、どんなに些細なことだとしても。
人生は、まだまだこれから。
きっと捨てたもんじゃない。
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