炊飯器にて |エッセイ
炊飯器を開けた。
大学から使ってる炊飯器だ。
「しまった…」
保温をかけたまま数日が経過した中は、内釜にそって焼き米のようになり、無事であろう部分も全体的に黄みがかっているように見えた。
3合、一食200gのルーティンを思い出すと先日一食分食べたきりであるからして、ここには四食分残っていることになる。
思った以上の量である。
夏でなかったことを感謝しよう。
計量計、茶碗、ラップを準備し、三食分を確保する。
おこげだけをきれいに残されたような炊飯器は、場合によれば美味しそうに見える…かも。
いつもなら捨てるところである。
しかし量が量であったこと、思い出すと気にはなっててそれでも放置してた罪悪感で、このときの私は無性に捨てたくはなかった。
「どうにかできないかな~」
食べると石をかじったときのような不快感は免れない。
一度それで歯を痛めたこともあるので、できれば柔らかく食べたい。
こんな風にしておいてなに様だろうかと突っ込んでいると、
「💡ひらめいた」
朝に試すため、残りの一食分をラップに取った。
炊飯器は晴れて空となった。
翌朝それは雑炊となった。
うどんスープの素、塩少々、溶き卵を入れ、気持ち程度のネギ。
冷凍ネギは放置しすぎてほぼ氷であった。
男飯なのでこんなものだ。
味は…おいしい
風邪のときにちょうどいいやつだ
散々な言われようだったお米も、無惨な姿は見る影もなく、普通のお米に生まれ変わった。
結局工夫をすれば、普段は捨てるようなものもおいしくなれるんだ。
身を持って実感した。
対応力に自信のついた私はやる気に満ち溢れた。
冷蔵庫をあけ、戸の紙パックを手に取った。
日付を見た私はそれをもとに戻し扉を閉め、期限切れ2週間になりかける牛乳は見なかったこととなった。
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