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煎茶とかぶせ茶の違いが理解しにくい理由

煎茶=露地栽培?NO!

「かぶせ茶ってカバーかけて育てるやつで、普通の煎茶はカバーなしで育てるんですよね?」

…日本茶を勉強している方によく聞かれる質問です。私も昔そう思ってました。

結論からいくと、現在は煎茶も摘む前にカバーをかけて育てる被覆栽培が主流で、露地栽培のものを見つけるほうが難しいです…😱

「え、じゃあかぶせ茶と煎茶の違いってなに?」ってなりませんか?これ、日本茶を勉強した人ほどとても悩んでいたりするので、今日はそれを少し詳しく見ていきましょう。

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⚠️なお、日本茶関連の試験では以下に書くことは気にせず、機械的に覚えて答えてくださいね!試験ってそんなもんです。

⚠️お茶の場合、露地栽培の反対語は被覆栽培または覆下栽培(カバーをかけたり上に棚を作ったりして日光を遮る栽培法)です。ハウスがまだあまり一般的じゃないので…。

被覆栽培についてはこちら👇️

まずそれぞれの定義って?

こういうときに役立つのが日本茶業中央会の「緑茶の表示基準」。業界の「お茶を売るときはこういう感じで表示しましょうね~」という指針です🍵

さて、この基準の「名称と定義」のパートから、まずは煎茶の項を見てみましょう。

1 煎茶 茶葉を蒸熱、揉捻、乾燥して製造したもの

シンプルですね。要は、煎茶というのは生の葉を蒸して揉んで乾燥して作ったものですよーということです。とくに摘む前に被覆をしろとも、しちゃダメとも書いてありません。ここポイントなので、覚えといてくださいまし。

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ではかぶせ茶の項と、わかりやすくするために玉露の項を引用します(太字は著者)。

4 かぶせ茶  摘採前 7 日程度藁や寒冷紗などの被覆資材で覆った茶園から摘採した茶葉を煎茶と同様に製造したもの

3 玉露  一番茶の新芽が伸び出した頃からよしず棚などにコモ、藁、寒冷紗などの被覆資材で 20 日程度覆って、ほぼ完全に日光を遮った茶園(「覆下園」)から摘採した茶葉を煎茶と同様に製造したもの

はい。栽培時の特定のタイミングで茶園を覆うように!という条件がつきますが、どちらも製造方法は煎茶と同じです🍵つまり、こういう定義の書いてある資料を素直に読むと

「煎茶とかぶせ茶・玉露の違いは栽培時の被覆の有無ってことかな?」

ってなります。試験ではそれでいいんです。が…実際に買うときはそこに落とし穴が!!

限りなくかぶせ茶に近い煎茶

思い出してください。

1️⃣煎茶の項に「被覆せずに」とか「露地栽培で」という条件は書いてありましたか?

→なかったですよね。

2️⃣かぶせ茶の定義には「7日前後の被覆」とだけあり、玉露のように「ほぼ完全に日光を遮る」等の条件は書いてありません。ではかぶせ茶と同じ方法で5日だけかぶせたお茶は…?

→煎茶ですね(“前後”なのでちょっと微妙といえば微妙ですが)。

3️⃣そもそも7日以上カバーをかけて製茶した場合に必ず「かぶせ茶」を名乗らなきゃならないものなんでしょうか?

→いいえ。煎茶を名乗るのに「露地栽培」という条件はないので、7日以上かぶせたお茶を煎茶と呼んでも問題ありません!逆に露地栽培の煎茶をかぶせ茶と言ったらウソになっちゃいますけど😅

そう、煎茶とかぶせ茶の境というのはちょっと…というかだいぶ、ときにびっくりするほど曖昧。これが混乱してしまう理由なんですね。

図にするとこうなります。「実際は~」ってくだりは、大量のサンプルを仕事で見てきての体感なのでご参考までに。

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昔はもっとはっきり「煎茶は基本的に露地、かぶせ茶は被覆」…と分かれていたのかもしれませんが、被覆栽培をすると旨味が強くて緑色も綺麗になるため、近年はすっかりかぶせた煎茶がメインストリームになっています🍃

つまり、5日間程度被覆した煎茶はそこら中に溢れているし、7日どころか10日以上カバーをかけて育てていても、かぶせ茶を名乗らずに煎茶として流通することもある。ということです。

👇️カバーかけのお手伝いをした煎茶用の畑。この子たちは10日くらいかぶせておくことも

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だから日本茶を本で勉強して、いざ煎茶とかぶせ茶を飲み比べてみよう!とお茶屋さんやECサイトに繰り出したときに

「かぶせをかけることでまろやかに育てた煎茶」「この煎茶は10日間被覆していて…」

の文言に「????????」ってなる、と。

なので「煎茶とかぶせ茶の違いとは?」という質問に対する、実情に則した答えは

「露地栽培の煎茶とかぶせ茶については教科書通り被覆の有無といえる。ただし現在主流の被覆した煎茶とかぶせ茶になると境は非常に曖昧で、特に7日以上被覆したものについては作る側売る側がどう称するかによる」

といったところです

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もしこれが玉露であれば極端に長い被覆期間と「ほぼ完全に日光を遮り」という遮光率の条件やカバーのかけ方の違いがあるのでまずいっしょくたにはされません。

なにより、格段に手間がかかりすぎるので、ちゃんと玉露として売り出さないともったいない!

👇️摘む直前の玉露園の中は真っ暗です

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結論:聞いて買うしかない

さて。謎が解けたところで、じゃあ露地の煎茶とかぶせ茶を飲み比べたい!という方もいらっしゃるかと思います。

とりあえず「煎茶 露地 送料」でググったり、BASEあたりで検索してみましょう。多くはないですが、見つかります🍵

店頭なら露地栽培の煎茶ありますか、って聞いてみてください。ただ流通量は少ないので、問い合わせておくか、Webサイトをチェックしてから行った方がいいですね。

同じお店でかぶせ茶と両方買えるのがベストですが、別々のお店で買う場合にはなるべく品種と蒸し度合い(深蒸しか浅蒸し)は揃えるとわかりやすいです。

かぶせ茶はフワッと漂う海苔のような香りとまろやかなうまみ、露地の煎茶はストレートなそのお茶の香りが楽しめます👍️

…ものすごく当たり前なソリューションですみません😇

個人的には、露地栽培のすっきり感ももう少し評価されてほしいな…と思いますし、今の状況だと煎茶とかぶせ茶の消費量を分けて茶の動向のデータを取ってもあまり意味がないと感じています🍵まあそれはまた別の機会に。

図で見たい方はこちらをどうぞ(過去記事紹介)

こちらの過去投稿にはフローチャート風の図を載せてるのでぜひ👇️








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