薪割りしてたら子供の頃の夢が叶った
子供の頃に虫取りをしたことはあるだろうか。
私の住んでいた場所の近くには小さな山があり、様々な虫を捕まえていた。
その中でも一番心を奪われたのはクワガタだ。
なぜなら、どこを探しても捕まえたことが無かったからだ。
1匹500円で売られていたコクワガタしかお目にかかったことがない。
当時、なけなしの小遣いでコクワガタ1匹を買った。
虫カゴに入れ、家の近くのケヤキにコクワガタをくっつけ、
「クワガタ見つけたぞごっこ」をやろうとしたら、
木にくっつけた瞬間どこかへ飛んで行ってしまった。
それがクワガタを目にした最後である。
図鑑に載ってるようなオオクワガタを捕まえたい!
という子供ながらの夢は結局叶うことが無かったのだ。
そして現在。
湿気を含んだ土の匂いを体全体で感じる。
地面から勢いよく伸びる雑草の顔ぶれも増え、
楽しみながら草むしりをするには少々厳しくなってきた。
梅雨直前だ。
薪を割らねばならぬ!
我が家では薪ストーブを使っている。
パチパチと爆ぜる木の音、種類によって変わる木の香り、
ゆらめく炎と遠赤外線で体の芯からポカポカに暖まる。
脳がとろけたように眠るネコを見ながらコーヒーを飲む瞬間だけは
世界一幸せだと断言できる。
おかげで四季の中で冬が一番好きになった。
薪ストーブには当然薪が必要だが、
我が家では色々なところから薪を調達している。
嫁さんの実家、ゴルフ場、ご近所さんの庭、河川敷の配布など。
伸びすぎた木や伐採した木は、ほとんどの人にとってはただのゴミ。
処理するにはお金も手間もかかるからだ。
しかし、薪ストーブのある家にとって薪はまさにお宝なのである。
非常にわかりやすいWin-Winの関係がここにはある。
おかげで薪のほとんどは無料で手に入れることが出来ている。
その結果、楽しくなって木を集めすぎた。
薪というのは写真のような玉切りの状態から斧で割ることで、
初めて効率的に乾くようになる。
本来であれば虫が少なく、木の水分が少ない冬に薪割りがベストだが、
木が多すぎたために薪割りが終わらなかったのだ。
しかし梅雨に入ると、放置している木は水分でグズグズになってしまい
薪としては非常に使いにくくなってしまう。
というわけで全開で薪割りしてきた。
夏も冬も、木の中には虫が多数生息している。
もう慣れてしまったが、夏だと木と樹皮の間にゴミムシや松食い虫などが
多数生息しており、薪を割った瞬間にボロボロと落ちてくる。
その中に初めて見つけたのだ、コクワガタ(メス)を!!!
樹皮から大量のゴミムシと一緒に落ちてきたので、
子供の頃に夢見ていた捕まえ方とは大分違うが、
30年ぶりにクワガタを触ることが出来た。
指の先で動くクワガタをじっと見ていたら、なんかこみ上げてきた。
こんな歳になっても、いきなり子供の頃の夢が叶うことってあるんだなぁ。
嫁さん(田舎育ちの昆虫強者)は喜ぶ私を見て、「そんなに嬉しいことなのか」と心底不思議そうにしていた。
せからしかー
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